第7話 Life on the ded

「ここが俺らのギルド『Life on the ded』の拠点や!」

エドルに連れられて来たこの場所は……

「……俺ん家じゃん」

異世界転生する前に俺が生活をしていたマンションだ。

「いや、俺らのギルドハウスやで?」

「そうじゃなくてさ」

俺はエドルに転生する前に住んでたところだと説明する。何故か時間がかかった。

「そうなんか。それはすごいな。こういうのが『運命』って言うんちゃうか?」

納得したエドルは少し楽しそうだった。

「あの……寒いんでそろそろ入りませんか?」

アナが寒そうに震えながら言った。

「そうやな。んじゃ入ろか」

そう言ってエドルはドアを開ける。

「ただいま!」

「おかえり。遅かったじゃないか」

キッチンの方から女の人の声がした。

「悪いなあしん。新人見つけてきたんよ」

「へぇ、新人ねえ」

女の人は『新人』に興味をもって玄関に出てきた。……包丁を持ったままだ。

「おう。コイツらが新人達や。仲良うしてやってや」

「ほう……女の子もいるのかい」

そう言って女の人は包丁を持ったまま俺に近づいて来た。

「あんた、名前は?」

「き、きき、木下小吉ですっ!」

さ、刺される!

「へぇ。ちっちゃい体に似合った名前じゃないか。そっちの子達は?」

「だ、大舞花奈です!」

「あ、アナ・ルイですぅ!!」

こ、このままじゃ全員刺される!

「ははは。三人ともそんなに怯えんでも真はお前はんらを刺したりせんで」

「なんだ。あんたら怯えてたのかい」

だって包丁持ってるもん!!

「そうだ。あたしは張真ちょうしん。よろしく」

中国人っぽい名前だ。

「真は中国出身やから。たまに変なところあるで」

やっぱり中国か。

って、中国って国名はこっちでも同じなのか?

「エドル!こっちでは『チャルカ』だろう!?」

やっぱ違うじゃん。

「大丈夫やて。コイツらも向こうから来た奴らやから」

「そうか。なら良かった。」

「真さんもなのか?」

「真って呼び捨てでいいよ。そう。あたしも向こうから来た」

という事は……

「ということは、能力者ですか?」

言いたかったのにアナに言われた。

「ああ。あたしの能力は『騒音』。音の大きさを操れる力だ。あんた達は?」

「俺たちは――――――」

「コイツらは小吉が『予言』、花奈が『秘密』、そしてアナが『滑走』や」

こんどはエドルに言われた。

でも……あれ?

「俺の能力は言ったが、大舞とアナのはなんで知ってるんだ?」

二人のは教えてないはずだ。

「ああ、俺の『触手』の能力なんやけどな?触っただけで相手の情報がわかるんや」

もうなんでもありじゃねえか触手。

「まあ、玄関で立ち話もなんだし、中入ろうよ」

「せやな」

玄関で立ち話しまくった後に言うなよ。

……俺も言わなかったけどさ。


「それじゃあこれから、新人歓迎会を始める。カンパイ」

「「「「カンパーイ!!!!」」」」

リビングに入り、真が俺たちの分も食事を作った後俺達は『新人歓迎会』なるものを始めた。

学校で言うなら、入学式の宴会かもしくは部活の顔合わせ会のようなものだ。

……どちらにも参加したことは無いが。

「いやぁ、小吉。今日はギルド『Life on the ded』に入ってくれてホンマにおおきにな」

「いや、ギルド名『死と共にする人生』って怖すぎだろ。変えろよ」

「一度登録したギルド名は変えられんのや」

「あとお前、エセ関西弁やめろよ。関西の人怒るから」

「こういう喋りかたの人に教わったんやからしゃーないやろ」

俺がエドルに文句を言い、エドルが笑いながら返すというやり取りが行われる一方……

「真ちゃんオッパイ大きくて魅力的だよね」

「そうです。どうすればそんな体になるんですか」

「いやいや。あたしは全然だ。それより、大舞だってメイクちゃんとして綺麗だし、アナも凄い可愛いぞ」

「私なんかメイクしないとクソブスだしダメダメだよ!」

「私も全然可愛くないですし……何の魅力もないですよ」

「女はオッパイが全てじゃないぞ」

……男子隣にいるところで何話してんだよ。

いや、これがガールズトークなのか?俺の理想が低かっただけなのか?

そんな調子で始まった俺の異世界生活。

今後ちゃんとやれるのだろうか……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る