第4話 筆記試験
「では試験用紙を渡しまーす。名前をしっかり書き問題をちゃんと読んでくださいねー。」
そう言って職員は試験用紙を渡した。
テストの成績は普通レベルだが、ひらめきだけは優れていてIQが百四十の俺ならどんなクソ問題が来てもなんとか切り抜けれる筈だ。
しかし、テストの問題はクソでも優しい程のゴミ問題だった。
さあ。みんなも一緒に考えてみよう!
問1、主に土で体が構成されており、小さい物から巨大な物まで多く存在する、怪物・巨人種に分類されるモンスターは何か。
問2、冒険者がモンスターと戦闘し、攻撃を受ける事で減少、レベルアップで最大値が増加するポイントをアルファベット二文字で書きなさい。
問3、三百年前、魔王を討伐した伝説の勇者の一番慕っていた家臣の名前を漢字で書きなさい。
問4、次の古代文字を現代語訳しなさい。努力的冒険者
問5、獣人の平均寿命を答えなさい。なお、鯨族は数えないものとする。
……………………………………………………
わかるか!!!!!!!!!!
問1はゴーレムだと思う。これはわかる。
問2も恐らくHPの事だと思う。
でも他の問題は分かるわけないだろ!
問3に関しては、この世界の歴史学んでない。
問4は、漢字が並んでるから漢文かと思うが、意味はわからない。多分冒険者の事を書いているのだろうが。
問5とかホント知らねえよ。てか鯨の獣人っているのかよ。
その他にもこっちの世界で生活しなければ分からないような問題が沢山出題された。
こんな問題だもんな。ゲームとか全然やんなそうな大舞なんか空欄だらけだろう。
そう思い大舞の方を見てみた。しかし……
「はあぁ!?」
つい声がでてしまった。
「ど、どうしたの!?」
「い、いや……なんでも……」
「あぁ……そう……」
言えねえよ。
答えめっちゃ埋まっててスラスラ解いてやがるのにビックリしたとか本人に言えねえよ。
ま、まず自分のを解こう。
結局俺は殆ど書けなかった。
「やった!百点だあ!」
大舞が跳ねて喜んでいる。
そうですか百点ですか。良かったですねー!
え?俺?
俺は…………………………
三十二点だよ。文句あるか?
あるよな。あんなに異世界の知識豊富そうに振舞っておいて三十二点だもんな。
寧ろ文句つけない優しいやつに会ってみたい。会わせてくれ。慰めてくれ。
「てか大舞。お前なんでそんなにわかったんだよ」
「ふふふ……それはね……」
大舞は少し不気味に笑い、驚くべき事実を伝えようとする。
俺は唾を飲み、その事実を待ち続ける。
「それは……」
大舞ままだ溜めている。
「それは……」
まだだ……
「それはね…………」
まだかよ。
「それは……………………」
「早く言えよ!!!!」
俺は我慢の限界が来て遂にキレた。
「ごめんごめん」
大舞は笑いながら謝り、ために溜めまくった事実を遂に告げた。
「実はね、このテスト、裏に答えついてたんだよ」
え?
俺は急いで自分の試験用紙の裏を確認する。
「マジだ……」
そこには確かに、答えが全てついていた。
「お前、よく気づいたな。」
「ウチ、裏あるかとかちゃんと確認する主義だから」
それはとってもいいことですね。
にしてもやっぱり、俺が気づいていたら……俺も確実に百点だった筈だ。
まあ、答え見てるから百点は当たり前か。
「そうだ。アナちゃんはどうだったの?」
大舞がアナに聞いた。
確かに気になる。
「え?私ですか?私は……その…………」
アナは戸惑いながら試験用紙を見せてきた。
書いてあった点数は……
は、八点…………
「………………」
「………………」
「………………」
沈黙が流れる。
ここは何か言わなければ。
「ま、まあ、点数が全てじゃないしさ。このテスト、問題が問題だもんな。だ、大丈夫だよ」
「何がですか?」
痛い!胸が凄く痛い!
「はーい。そろそろいいですかー?次の『戦闘試験』に行きますよー」
次のは戦闘試験か。
自信ないわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます