第15話 作者って怖いね

 東京が……消えた?

「ああ、言い忘れてたな」

 全員が窓雨太郎を見た。

 何を隠していたんだ?

「俺が『バンッ』って言うと、どっか街がひとつ消えるんだ」

「は?」

 どう意味だよと、そこらじゅうから声が聞こえる。知らないうちに学校中の人が集まって来ていたらしい。教室、廊下、校庭。どこもかしこも生徒と教職員で埋まっている。

「どういう意味だって、そのままの意味だよ」

「いやわかんねえよ」

「物分りの悪い奴だな」

「納得する方珍しいし、納得しない事は作者のお前が一番分かってるはずだろ」

 窓がはあとため息をついた。

「それならお前は納得してるだろ」

「してねえって言わなかったか?」

 バカなのかこいつは。そうだった。バカだった。

「作者の俺が納得してるって言えばしてるの!」

「無理やりすぎんだろガキか!?」

「ガキじゃない。窓雨太郎だ」

「ありふれたセリフやめて」

 なんだこの茶番。サンを救うはずだったのにナンまでいくんだよ。

 そろそろ戦えよーと、周りから声が聞こえる。意外に呑気な声だ。一応東京消えてんだけど?

「そんじゃ、ぼちぼちやりますか」

 そう言うと窓は割り箸を取り出し、それに何かを書き始めた。

「何してんだよ」

「戦うやつをくじで決めるんだよ」

「そういうこと」

 ………………。

「じゃねえよ。くじで決めんな」

「先生、割り箸に書いてる数字見えないように持ってくれませんか?」

「話を聞け!」

 自由すぎだろ作者。まあ、俺のモデルらしいんだけど。俺ってこんなに自由なのか?

 窓は先生に割り箸を持って貰うと四本同時に抜いた。

「えーと……。六、十五、九、四……。男子ばっか。出席番号四、六、九、十五。プラス大地。おいでよノンケの堀」

「BLやめようか」

 そう言いながら俺は歩き出した。

「えー俺かよ」

「っしゃあ!」

「うわあああんやだー!」

「…………」

 他の四人もいやいや言いながら……、1人を除いていやいや言いながら歩いて来た。

 選ばれたメンバーは

「出席番号四。駿斗はやとだよー」

「六番のかえでだぜいよっしゃ!」

「九番、京太郎きょうたろう

「十五番、紗彩さあや。帰りたい」

 この四人だ。楓嬉しそうだなおい。

「二人新キャラだな」

「どうでもええわ」

「大地、俺らでコンビ組もうぜ。『大地に降る雨太郎』みたいな」

「ぜってーやんねー」

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