第14話 お前にヨンを救えるか
「ま、まじかよ……」
「世界が……終わっちゃう……の?」
「う、嘘だよな?」
「まだやりたいこといっぱいあるのに……」
周囲からクラスメイトの嘆きが聞こえる。全責任は俺にかかっているんだ。そう考えると、腹がキリキリしてきて……、キリキリ……。
しない。
「おい腹! キリキリしろよ!」
俺が全く緊張してないみたいじゃねえかよ。
「ははははは!」
全ての元凶、窓雨太郎は高笑いをした。
「お前にかかってんだぞ!」
「そうだよ大地!」
「なんとかしてくれ!」
「私達を救って!」
期待の眼差しが俺に向けられる。
ここまできたら流石にキリキリ……。
「キリキリしろって!」
「はははははは!」
窓の高笑いがうるさい。何か喋って欲しい。
「大地くん」
田中山先生が真剣な眼差しを向けてきた。
「なんですか?」
「ハッピーエンドが一番です」
知ってるよ!
だから、そう。答えは決まってる。
「窓雨太郎!」
俺は教卓の上にいる作者に向かって指をさした。
「お前を倒して、ハッピーエンドだ!」
「フッ。お前にサンが救えるか?」
「いや、もうヨンなんだけど」
一体何までつづくんだ?
「大地かっこいいぞー!」
「いいぞ大地!」
「似合わねえぞ大地!」
「厨二病だな大地!」
「がんばれよクソ大地!」
周りから声援が……って、
「途中から悪口じゃねえか。てかクソっつったの誰だよ!」
士気が下がるだろうが。士気なんてねえけど。
「はははは!」
また窓の高笑いが聞こえる。
「本当におもしれえクラスだな。本当に……」
下を向いて窓はニヤリと笑う。
「本当に、ぶっ壊してやりてえよこんな世界!」
「それ作者がいうか!?」
こいつ大丈夫かよ! まあ、俺の分身的な奴ではあるらしいけど。
「じゃあ、攻撃仕掛けさせて貰うぜ」
そう言うと窓は手を上に上げて叫んだ。
「ばんっ!」
一言だ。
「は?」
意味がわからん。これが攻撃か?
「っは。作者も大した事ねえかもな」
「これなら大地でも勝てるんじゃね?」
「CFC食らわせたれ大地!」
CFCは俺のデコピンの事だ。
でも確かに、こいつは弱いかもしれない。だって……
「所詮俺の分身か」
そういうことだ。
「ちげえよ」
窓が驚き気味な顔で言った。
「お前が俺の分身な」
「もうどうでもいいわそこ」
勝てる希望がある。それだけで十分だ。
そこへ、ガラガラと扉が開き、中年男性が入ってきた。
「校長先生?」
慌てた顔の校長先生だ。
「元凶はここですか!?」
「ど、どうしたんですか?」
田中山先生が対応する。
「た、大変です」
校長先生の顔色が悪い。何があったのだろうか。
「東京が……、消えました……」
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