第13話 ラブコメの一話目的な

 十三話だけど……。

 今のところ異常はない。今朝も普通に父さんに殴って起こされ、卵かけご飯を食べ、母さんに蹴られて家から出た。

 ……窓雨太郎もこんな生活なのか?

 取り敢えず、何事も無く学校にいるわけだが、まあ、このままの調子で十三話が終わればいいんだ。

「みなさん、おはようございます」

 田中山先生の声だ。十三話では何も怒らなくても、めんどくさい今日が始まる。

「今日は転校生が来ます」

 ……いや、十三話めんどくさいこと起きたぜコレ……。


「転校生の窓雨太郎くんです」

「窓雨太郎です。よろしく」

 お前かい!!

「なんでお前が転校して来るんだよ窓雨!」

「転校生役のアシスタント見つからなかったんだよ。俺が知り合いに片っ端から声掛けたけど」

「情けねえ作者だなおい」

 周りからは「窓雨太郎って作者なのかよ」という声が聞こえてくる。

「んで、転校生が何か問題でも起こすのか?」

「問題起こすぜ。予告通りな」

「起こすのかよ!」

 俺の声が教室、いや、学校中に響く。

「大地うるさい」

「……さーせん」

 隣の女子に怒られ取り敢えず謝った。

 俺はふうと一息つく。

「で、どんな問題を起こすんだよ」

「んーそうだな」

 窓、基作者は腕を組み考える。

「ここら辺で終わらせたいしなあ」

「いや終わらせんなよ」

「えー。終わらせて良いだろうが。俺が不幸アピールするだけの痛い小説なんてよー」

「自覚あんのかよ」

 本当に、なんなんだこの作者。計り知れない馬鹿かもしれん。

「お、そうだ」

 窓は手をポンと叩く。

「世界終わらすか!」

「おーそうかそうか。…………は?」

「「「は?」」」

 クラス全員の「は?」が一致した。奇跡だ。って、そうじゃなくて。

「世界を……、終わらせる?」

 何を馬鹿な事を。

「だって、そっちの方が効率良いだろ」

「なんのだよ」

「決まってんじゃん」

 窓は窓の外を見て……、いや、ダジャレとかそういうつもりは無いから。窓の外を見て言った。

「この物語を終わらせる。その効率」

 窓は教卓に上がって叫ぶ。

「さあ選べ! 俺が世界を破壊し、物語を終えるか。それとも俺を倒し、世界は救われましたとハッピーエンドで物語を終えるか。さあ!」

 長い、沈黙が流れる。

 俺は叫び、その沈黙を壊した。

「……どっち道最終章かよ!」


 第1章は最終章だ。

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