第9話 必要性

 俺は中学校入学時から夢があった。

 それは……友達とプリクラを撮る事だ。

 プリクラを撮るには条件が必要。その条件とは、


 一つ、現実の友達と一緒であること。二次元は含まない。


 一つ、メンバーが多すぎないこと。五人までが限界。


 一つ、自分から誘わないこと。クズが「プリクラ撮ろう」など言ったら明日がない。


 この三つを満たして初めてプリクラを撮る事が出来る。……俺の中では。

 一つ目の友達と一緒、二つ目の五人以内はギリギリクリアだ。

 では、三つ目。……誰が言い出すか。

 順也はプリクラはあまり好まないタイプ……だと思う。

 駿士はどうでもいいから遊びたい奴。言い出さないだろう。

 愛司は皆で楽しければそれでいいというタイプ。

 維斗は他の人に合わせる男だ。

 もう一度聞こう。

 答えは簡単。

 では次に、このメンツに「プリクラ撮ろう」言って了承を得るか。

 それもまた簡単。

 中心的な順也と駿士が撮らないと言うだろう。こういう時に限ってどちらも。

 愛司と維斗はいいかもしれないが、順也と駿士がダメなら皆撮らない意見だ。

 つまり、俺に勝ち目はゼロ!

 左様なら俺の夢……

 その時、声が聞こえた気がした。

『諦めるのは早いぞ』

 老年ジジイの声のようだ。

「だ、誰だ!?」

『ワシはプリクラ神じゃ。お主にはプリクラを撮って貰いたい。じゃから諦めるな。さあ、誘え!』

「ジジイがプリクラの神とか……。でも、わかったぜ神様。俺、諦めないで挑戦してみる!」

『そうじゃ!やる前から諦めるな!』

 心の中で一人演技し、決心した俺は皆に話かけた。

「ねぇみんな……」

「なに〜」

 さあ、勇気を振り絞れ男大地!お前ならやれる!

「あのさ……」

「…………」

 皆の視線が俺の自信を更に失くす。

 しかし、答えがわからないうちに諦めてはいけない!頑張れ俺!

「あの……、プリクラ撮らない?」

 言った!神様、俺は言ったぞ!

 さぁ、答えは?きっとYESだ!

「プリクラ?やだ」

「めんどくせぇ」

「僕お金無くなりそうなの」

「それより太達やろう」

 ………………

 全会一致でNOでした。

 左様なら。俺の中学校生活……

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