第3話 色恋沙汰
いくら周りに良く思われて無くても、俺にだって親友くらいいる。
俺みたいに嫌われていて、俺から見てもたまにキモいと思う奴だが仲良くしている。
そいつとは小学校以来の付き合いだ。
小学校入学時、俺の学年は人数が少なく男子六人、女子七人だった。
男子は二人ずつ仲良しになり、俺が余った。
そんなぼっちの俺に舞い降りた神が親友だ。
当時は『友達いない同盟』だのわけの分からない事をしていたが、今では胸を張って親友だと言える。
親には『モテないズ』と呼ばれ、二人で約束もした。
「「ぜってー彼女なんかつくらねえ!」」
俺らの絆はとても深い。誰にも切り裂けない。
しかしそんな親友にも、俺との壁を作る出来事があった。
それは……――――――――――――……
親友に彼女ができたのだ。
相手は見た目でいくと良いとは言えない。しかし、親友と何かと馬が合うようだ。
俺は親友に裏切られたという憎悪感に加え、親友を取られた悔しさのようなものも感じた。
それ以上に感じたものがある。それはなんと言ってもこれだ。
「……やべえ。俺……彼女できねえ」
焦りだ。
親友に恋人が出来て焦らない方おかしい。
確かに祝うものだが、彼女いない歴イコール年齢には焦りが半端じゃない。
そこで俺は必勝法を編み出した。
「そうだ!ネットで彼女を作ろう!」
当時の俺は自分が天才だと思った。
しかし、できた彼女から返信が来なくなり、遂に気づいた。
「俺、超絶寂しいじゃん!」
よく、顔はまぁまぁ良いと言われる。だから放っておいてもいずれモテると思っていた。
だが、現実はそんなに甘くない。
よく考えてみろ。
馬鹿として学校で名前の知らない者はいない俺。
嫌われ者の俺。
いつモテるのか?
無いでしょ!!
そんな感じで俺は…………
青春を捨てたのだった。
七月二十日
「大地くん。急に呼び出してゴメンね」
「いや、いいよ。何の用?」
俺は校舎裏に呼び出され、呼んだ奴と話していた。
「実はね……私……」
そいつは照れながら俺にいった。
「私、大地くんが好きなの!」
衝撃だった。今までにないくらい。
「俺なんかでいいの?」
「うん。
俺はすげー嬉しかった。人生初彼女だ!
――――――――――――――――――……………………
目が覚めた。
普通に夢だ。
よく考えてみろ。俺の学校。田舎の小さな学校。
校舎裏は立ち入り禁止の山だぜ?
そもそも俺を『大地くん』なんて呼ぶやつはいない。
俺に彼女ができるのはまだまだ先のようだ。
多分……来世くらい。
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