第2話 恐怖

「大地ー。あのネタやってー」

 今日もまた、めんどくさい要求が来た。

 あのネタとは、俺がノリでやった性転換というネタのことである。

 どんなネタかは言わないでおきたい。聞いても損をするだけだろうし。

 さて。めんどくさくて恥ずかしい要求をされた訳だが、今日の俺は違う。そう簡単にホイホイやる男じゃないことを見せてやる。

「いや、今は無理。そんな気分じゃないから。」

 俺だってちゃんと断れるんだ。

 きっとこいつは諦めてくれるはず。

「は?お前つまんな。クズじゃん。ただでさえゴミより要らない存在なのにますます存在する意味ないじゃん」

 ――――――――――――………………

 よおし。喧嘩売ってるんだな。買うぞ。

 ムカついた俺はそいつに向かって拳を振ろうとする。しかし、

「は?暴力?お前マジでゴミじゃん。早く消えろよ」

 ………………

 暴力では解決出来ない。言葉でも相手はただ罵る事しかしない。

 じゃあ俺はどうすればいいのだろうか。


 これはいじめに分類するのか。いじめだとすれば俺は何故いじめられるのか。俺はみんなが望む、みんなが思い描いてる今沢大地になろうとしたのに。俺の何がいけないんだ。


 その日の夜

大地『俺の何がダメなんだ?』

 俺はゲームのメッセージで俺を罵る奴の一人に聞いてみた。

 するとそいつの返答は、

武也たけや『人間性。まず人としてクズだね』

 俺の人間性の何がいけないんだ。

大地『俺の人間性の何処がダメなの?』

武也『は?自分のクズさくらい自覚しろよ』

 俺はそこまでクズだろうか。


 俺は確かに授業は真面目に受けていない。提出物も出さない時が多い。学生としてやるべき事をやっていない事は沢山ある。

 しかし、俺よりも授業中寝る奴や、俺よりも宿題がたまってる奴だっている。

 なのに何故、そいつらはクズ扱いされないか。

 先生に反抗するからだろうか。

 しかし、俺は先生の言ってる事が間違っている、もしくは先生の言っている一般論自体が生物の本質、現実の状況に対して間違っていると思った時に意見を述べているだけである。

 勿論、納得すればそれで終わる。

 しかし、納得出来ない事が多い。

 例えば、筆箱のみを持ってこいと言われて持って行ったら教科書はどうしたかと怒られる。これは意見を述べても構わないであろう。俺ではなくても不満はたまる筈だ。

 だが、俺がいざ意見を述べると周りは俺を軽蔑した様に見る。

 何故だろうか。俺はみんなの意見を代弁しただけなのに。

 何故俺はクズと呼ばれ、ウザがられ、嫌われるのか。


「そうやってブツブツウザイ事言ってるからだよ。馬鹿なのか」


 …………………………………………


 素振りはストレス解消に持ってこいだと思う。


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