WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)――某匿名掲示板経由

裏チャットルーム

 サーバーは日本。知る人ぞ知るチャットルームのログ。


>〈シラサギ〉が入室しました。


ナカジ「おー新人さん! いらっしゃーい」

ロッキー「ちわーす。ヨロシク」

シラサギ「単刀直入に言う。悪魔召喚プログラムをくれ」

ナカジ「え? なんすかそれ」

ロッキー「悪魔召喚プログラム?」

シラサギ「禍座まがくらを探すに当たり、少しでも強力な武器を入手しておきたいところなのだ。某BBSで、ここにその手がかりがあると聞いた」

ナカジ「なんか面白いのが来ちゃったねw」

ロッキー「カザ? なんなのそのカザって」

シラサギ「読みも知らないようでは話にならない。ナカジとやら、君は悪魔召喚プログラムについて何か知らないか?」


>〈ロッキー〉が退室しました。


ナカジ「あーあ、接続切っちゃったよ。つまんねー」

シラサギ「もう戻ってこないのか、彼は?」

ナカジ「ロッキーは男じゃねえよ。てか、あんた何者だよ。ここのパス知ってるってことは、絶対素人じゃないよね。誰から聞いたの」

シラサギ「誰でもいいだろう」

ナカジ「いいやおかしいね。BBSの連中がパスまで知ってるわけねーもん」

シラサギ「ワチキはプログラムの入手先だけ知りたいのだ。つまらん詮索に応じるつもりはない」

ナカジ「なんだその態度。むかつく。メシでも喰おうっと」


>〈ナカジ〉が退室しました。


シラサギ「誰もいなくなってしまった」


>〈ロッキー〉が入室しました。


ロッキー「まだいたんだ」

シラサギ「眠い」

ロッキー「URL教えるよ。ここからロダに飛んで、テキストファイル落として。そこにプログラム落とすリンク書いてあるから。五分でファイル消すから早めにね」

シラサギ「済まない。恩に着る。ところで君は女性なのか?」

ロッキー「ナカジに聞いたんだね。彼には嘘ついてるんだ。ほんとは俺男だよ」

シラサギ「何故嘘を?」

ロッキー「そのほうが何かと好都合なんだ。情報をリークさせたりね。その代わり口説かれる率もハンパないけどね。さっきもあいつに誘われて困ってたとこなんだw」

シラサギ「なるほど。確かにネット世界の性別ほど当てにならないものはないからな」

ロッキー「だよねー。君、文章打つのすごい速いね。あとワチキって何?」

シラサギ「ワチキ? 一人称」

ロッキー「マジ? 初めて見るけど」

シラサギ「確かにワチキだけだな。日常会話用に参考にした文献が少々古すぎたかもしれない」

ロッキー「?? 面白いね君ww一言言っとくけど、プログラム作ったのは俺じゃないから、不具合起きても責任取れないよ」

シラサギ「了解した」

ロッキー「動かしたこともないし。天使召喚プログラムとかなら喜んで試すけど」

シラサギ「天使か。作ってみたらどうだ?」

ロッキー「俺が? ムリムリ。アルティア・ハイデルマンぐらいのプログラミング能力があれば別だけど。アルティアのことはさすがに知ってるよね?」

シラサギ「知らないと言えば嘘になるが」

ロッキー「まだ未成年なのに世界トップクラスの天才プログラマーで、霊子学の権威でもあらせられる、俺らしがないSE崩れの憧れの的」

シラサギ「それが作れるくらいなら、ここには来ないのだがな」

ロッキー「は???」

シラサギ「判った。今度作るよう伝えておく。もし完成したら、またここに来て君に報せよう」

ロッキー「君アルティアの知り合い? なわけないかwwwまーいいや、これURL」

シラサギ「かたじけない」

ロッキー「後は自己責任でヨロシクー」

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