五月

こどもじゃなくてもこどもの日

 五月五日は、こどもの日!

 

 鯉のぼりも立てたでしょ。

 紙のかぶとも、折ったでしょ。


 そうだ!

 柏餅かしわもちやちまきも、買いに行かなくちゃ。


 でも、クマパンちゃんは、なんか口の中で、ごにょごにょ言っています。

 

 「何よ、クマパンちゃん。言いたいことがあったら、ちゃんと言ってよ」

 

 「ごにょごにょ」


 「だから、ごにょごにょじゃなくて、わかるように言ってったら」

  

 「ごにょごにょ」


 「柏餅とちまきなら、ちゃんと、クマパンちゃんの分も買ってくるから安心して」


 「ごにょごにょ」


 「クマパンちゃんも、紙の兜、かぶりたいの?だったら、今、折ってあげるね」


 「ごにょごにょ」

 

 「あっ、わかった!端午たんごの節句は、男の子のお節句っだって言いたいの?あたしは三毛猫だから、女の子だしね。でも、今は5月5日は、国民の祝日よ。男の子も女の子も、こどもたち、みんなの健やかな成長を祝う、こどもの日よ!」


 「だって、ミケちゃんは、こどもじゃないじゃん。猫の6歳って、人間の歳で言えば、完全におばさ……」


 「クマパンちゃん!そこでストップ!そういうエイジハラスメント発言はいけません!」


 「ごにょごにょ」


 「うん、わかった。クマパンちゃんは、あたしが、れっきとしたレディなのに、こどもの日に兜をかぶって遊んでいるのが気になるのね。それなら、教えてあげる。猫はね、人間にとっては、永遠の3歳児なのよ」



 人間って、猫と人間の3歳児が、同じレベルに見えるらしいの。

 だから、人間の間では「猫は永遠の3歳児」って云われているんだって。

 まあね、人間の3歳って、可愛い盛りだって言うしね。

 うん。可愛いのは、わかる。


 それに、時として、こどもの方がおとなより、真実を知っているのは確かよね。

 おとなになると、遊んだりお昼寝したりとか、なかなか、できなくなっちゃうからね。いろいろ、見失ってしまうんだろな。

 たとえば、テディベアのクマパンちゃんとかとも、お話できなくなっちゃうしね。

 そんなの、つまんない。


 あたしは、まだ、なんか「ごにょごにょ」言ってるクマパンちゃんに、折ったばかりの紙の兜をかぶせてあげました♡


三毛猫 ミケ



***



 猫は、人間より、早く歳をとります。

 

 猫は最初の1年で、人間でいえば17歳くらいになり、1歳半で20歳、2歳で24歳くらいまで成長します。

 そのあとは、一年で、だいたい4歳ぐらいづつ、歳を重ねていきます。


 地球という星で、同じ時代に暮らしていても、生物はそれぞれ異なる流れの時間の中で生きているんですね。


 不思議!

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