Happy Valentine’s day!
あたしは、楽しかったです。
三毛猫 ミケ
***
えっ?ちょっと、ちょっと、ミケちゃん、いったい、何したの?
それはね、こういうことだったんですよ。
***
クマパンちゃんは、朝から、ソワソワ、ソワソワ。
だって、今日はバレンタインデー。
大好きなミケちゃんは、どんなチョコレートをくれるのかな。
チョコレートをもらったらなんて言おう、お返しは何がいいかな、なんて考えるだけで、ソワソワしちゃうクマパンちゃんなのでありました。
あっ!ミケちゃんがやってきました。
うわぁ。ミケちゃんたら、プレゼントの包みをいっぱい
クマパンちゃんは、ドキドキドキドキ。
「クマパンちゃん、ちょうどいいところで会った!」
ミケちゃんは、クマパンちゃんを見ると言いました。
「う、うん。ミケちゃん、でも、そんなにいっぱい、チョコレートもらっても、ぼく、食べられないよ……」
「これ、チョコレートじゃないよ、クマパンちゃん」
と、ミケちゃんからの意外なお答え。
「えっ!?」
「クマパンちゃんも、知ってるでしょ。猫も犬も、チョコレートは、食べられないんだよ」
そうなんです。
猫さんも犬さんもチョコレートに含まれている成分で、中毒を起こしちゃうんです。だから、チョコレートが食べたくても食べられないんです。
「ミケちゃん、ぼくは、猫でも犬でもなくて、テディベアなんだけど……」
クマパンちゃんは、口の中で、モゴモゴ言いました。
「わかってるよ、そんなの。今日は、バレンタインデーでしょ。だから、大好きなみんなに、チョコレートの代わりにカリカリをプレゼントするの」
「大好きなみんな?」
「うん。シロちゃんでしょ。きつねこちゃんでしょ。パロさん、ペロさんでしょ。クロさんでしょ。チャコマロンちゃんでしょ。それから、ひろみちゃんに、ハニーちゃんに」
ミケちゃんは、次々に、おともだちの名前をあげていきます。が、
ショックで、
「だから、クマパンちゃんも、みんなにバレンタインのプレゼント、
クマパンちゃんの気持ちを知ってか知らずか、ミケちゃんは、荷物の半分をクマパンちゃんに押し付けました。
プレゼントのカリカリは、チョコレート色のハート型の袋に入っています。
袋の真ん中には、ミケちゃんの肉球スタンプ。まるで、本物のチョコレートみたいです。
それから、ミケちゃんとクマパンちゃんは、1日かかって、バレンタインのプレゼントを配って回りました。
プレゼントをもらったみんなは、もちろん、大喜び!
だって、バレンタインにチョコレートなんて、あきらめていたんですものね。
正確には、チョコレートそっくりの袋に入ったカリカリだけど。
それでも、やっぱり、チョコレートをもらった気分にはなれるというものです。
「みんな、喜んでくれて、楽しかったね、クマパンちゃん」
ミケちゃんも、大満足です。
だけど、クマパンちゃんは、へとへとに疲れてしまいました。
そして、なんだか、悲しくなってしまいました。涙もポロリと
「クマパンちゃん、どうしたの?」
「ミケちゃん、ぼくは、みんなみたいに、カリカリなかったんだよ」
「だって、クマパンちゃんは、犬でも猫でもないから、カリカリなんて食べないでしょ?」
「食べなくはないよ!」
クマパンちゃんは怒って、そう言いました。
「あれれ!知らなかった」
「知らなかったじゃないよ!!!」
「ふうん。あたし、クマパンちゃんはカリカリより、チョコの方がいいかと思った」
そう言って、ミケちゃんは、ハチミツ風味でベリーやナッツのいっぱい入ったチョコレートを、クマパンちゃんに渡しました。
「クマパンちゃん、今日はありがとね。今度から、クマパンちゃんの分も、カリカリにするから、今は、これで我慢して」
「やだよ!カリカリより、チョコの方がいいよ!」
そう叫ぶと、クマパンちゃんは、チョコレートを抱えて、わんわん泣き出してしまいました。
Happy Valentine’s day!!
***
立春を過ぎても、まだまだ、寒い日が続きますね。
心の中が大雪で
浮かべたマシュマロといっしょに、心に積もった雪も、ゆっくり溶けていきますよ。
シナモンを入れたり、おとなの人はラム酒を入れたり。
あったかいチョコレートで、体も心も、ポカポカに。
雪の中だって、お花の
花咲く春は、きっと、もう、そこまで。
きっと、きっと、もう、すぐそこまで、来ています。
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