第6話 終
冬空の下、私は鉄柵にもたれかかった。日付はすでに変わっている。
君は手紙を読んでくれたのだろうか。少々の不安はあったが、すぐに、読んだかどうかにかかわらず来なければ無意味なのだ、と気付いた。私の手紙を無視するほど興味を失っているのなら来てもらう必要性もない。
ただ、未開封で
母の死すら、記号的なものになりさがってしまう。
……いや、そもそも思い出す人間がいなければ記号としての意味さえなくなってしまう。
どこもかしこも
私は死ぬのだろうか。
そのつもりで来たような気がしなくもない。
いずれ、私も欠陥品だろう。どこで死のうと変わらないはずだ。
母も欠陥を抱えていた。息子を愛しすぎていたのだ。愛も過ぎると欠陥になるのか、と
母を
男の会社も欠陥品だ。男を加害者にしてしまった。
君にも欠陥はあるだろうか。
私に苦しみを負わせたことが欠陥になっている、とはいえない気がする。その苦しみの原因はむしろ私にあるのだから。ならば、決定的な鈍さだろうか。
考えるほどに、分からなくなってくるが、
私には愛なんて分かりっこないが、君に執着していることだけは自覚できる。それは愛なんていう綺麗なものではないだろう。もっと泥臭くて、ぬるいものだ。それがまとわりついて離れてくれない。それこそが苦しみなのかもしれないな。
手足が
風のない夜 クラン @clan_403
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