第5話 『君への手紙』 ~二ヶ月前のこと~
交際二年目の冬。今から二か月ほど前のことだ。
忘れているわけはないだろう。
アパートに泊まりにきた君に、私は今までしたためておいた疑問をぶつける決心がついた。なぜ私に声をかけたのか。それを知って最後、実験的な交際はやめようと思ったのだ。これ以上、君の反応を観察して過ごすのも気苦労にしかならないだろうし、なにより、純粋な恋愛というものに興味があったのだ。
愛の探求は永遠のテーマだろう。それを探るためのスタートラインに立つ
そしてきっと、母の死も純粋な悲しみに変わってくれるに違いないのだ。
君が私の疑問に対してどう答えたかは
君によって受けた私の衝撃が分かるか。
君は一度だって嘘を言ったことはない。冗談めかした言葉を口にすることはあったが、それもすべて真実であった。
照れ臭かったから、なんて言い訳はするまいな。私はその瞬間も、君の言葉を信じるほかなかったのだ。それほどまでに毒されていたということだな。
今まで輝いてみえていた
もう私は哀れみに寄りかかることはできないし、哀れみのない優しさの存在を信じることもできない。
君もせいぜい、この手紙によって君固有の感情を
こんな手紙を書いておいて勝手だが、君に会いたいと思っている。その日の夜まではアパートに帰るつもりはないので、訪ねても無意味だ。
とにかく、その夜に会いたい。来るかどうかは君次第だが……。
とにかく、日付が変わるまでに来てくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます