第7話廃墟

小さい頃からそうだった


あんまり笑わないとか 何を考えているのか分からないとか


結局最後は 可愛くない子に収まった


当り前でしょう?


分かるわけがない私は私なのだから


少し大きくなって私は夜の道をイヤホンを付けて徘徊する


そして見つけた  私だけの居場所


そこは無機質な針金で囲まれた 立ち入り禁止の看板の向こう側


私しか通る事の出来ない自由への扉


廃墟


その薄汚れてうらぶれた場所で


美しい月明かりの洩れる暗闇で


私は裸体で踊る  踊る  踊る


汗を飛び散らせ  息を弾ませ


力の限り自分を解放して


そして暗闇に抱かれて幸せな眠りについた


私は歩きだす


耳にはノイズの流れるイヤホンをして


私の空虚な夢に戻って行く




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