第3話泣く者達

ある通りの花屋の前で泣く声がした


小さな小さな泣き声でかすかな風の音の様だった


花屋をのぞくとセロハンでラッピングされて


綺麗に並んだ花達がいた


泣いていた・・・その花達が泣いていた


「どうしたの?」ってそっと尋ねても


何も言えずに泣いていた、風のような音出して


ふと気づくとまた泣く声がした


花屋ではなく外の通りから


振り返るとタンポポが泣いていた


花屋の花を見ながら泣いていた


ある女性が店に来て、泣いていた黄色のバラの花束を買った


振り向くと小さな女の子がタンポポを折って走って行った


泣き声は聞こえなくなった


泣く者はいなかった

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