余話
登場人物覚え書き+α
◆エリシュカ・アーデルハイド
本作主人公。七つの時に『託宣』により『国の贄』に選ばれたと知って以来、密かに『国の贄』回避の方法を探していた。エッドと接触できたのはそれほど昔の話ではない。拙い情報収集やらなにやらが高じて、エッドの情報網に引っかかった。でなければ人生詰んでた系主人公。
外見はちょっときつめの顔立ちのそこそこ美人。多分普通に良家の子女としての生活をしていた場合、物言いと相まってちょっと損をすることもあったかもしれない。
作中では知っていることが多く、他の面々より有利に立ち回れるふうだったが、概ねエッドのおかげ。本人のスペックは高いとは言えない。高かったら多分レーナクロードが暴走する前になんとかできた。
◆レーナクロード・シルヴェストル
聖騎士団長という肩書を持つ、本作のある意味元凶。立ち位置的には相手役だが、彼の恋だか愛だかが成就するかは不明なので何とも言えない。
エリシュカの『国の贄』になる運命をどうにかしたくて煮詰まった結果、暴走した。幼馴染兼婚約者への情が深すぎたらしい。そしてそれが恋なのか愛なのかそれ以外の何かが捻じ曲がった結果なのかは多分本人もわかってない。
行動自体は空回りに終わっているが、『国の贄』の仕組みを壊すのにスヴェンも一役買うため、一連の暴走がまるきり無駄だったというわけではない。しかし別に本人が役に立ったわけでもないので、功績というには微妙。
『クソがつくほど真面目な』と作中で評される通りの性格。融通が利かないし思い込んだらわりと一直線。そんな不器用なところが世間のお嬢様方に受けている面もある……のかもしれない。
◆エッド
他称『何でも屋』『初代王の再来』。作中でものすごく使い勝手よく使われた便利屋。
エリシュカの相棒的立ち位置。でも実際の付き合いはそれほど長くない。せいぜい数年程度。
見た目は少年だが年齢不詳。数百年は生きているらしい。
前回の『国の贄』が唯一の肉親である妹だったため、どうにかして彼女を生かそうとしたが失敗。以来、憑かれたように『国の贄』の仕組みを根絶することに執着する。その過程で魔術を究めたり呪術を究めたりなんだかんだしていた中で『目的を果たすまで』は死なない体を手に入れた。
エッドがいなかったらこの話はバッドエンドになっていた程度には重要人物。
現在は飄々と明るく楽しく人をおちょくる言動をしているが、荒れていた時期も長かったらしい。
◆アシュフォード・ルノー
聖騎士団副団長。レーナクロードの親友的立ち位置。
『異世界の少女』をたらしこむ要員として期待されていたが、根が他の面々よりまともだったので、協力はしないが妨害もしない中立の立場に。
レーナクロード不在の間、各所への調整などで一番苦労をかけられた人物。何気に貧乏くじを引くタイプなのかもしれない。
◆スヴェン・エルニル・ロード
宮廷二位魔術師。レーナクロードの筆頭協力者。
レーナクロードの暴走を助長したともいえる人物。協力したのは興味と知識欲、あと同情じみたものからとかそんな感じ。
魔術系統以外にも情報収集・操作能力が高かったという、天は二物も三物も与える典型。危険思想の持ち主ではないが、自分の興味が勝れば何をするかわからないところがある。
結果的に『国の贄』の仕組み根絶に一役買うことになる。不世出の天才が二人揃えばさもありなん。
◆村瀬葉月
異世界の少女。見るからに怪しげな魔法陣に興味本位で触ったら召喚された。
どこの乙女ゲーか異世界ホストか、という面々に囲まれながらも、顔の良さと甘い言葉には騙されず、様子を窺っていた。ら、こんなオチだった。
思考回路は作中で語った通り。何事もなるようになるよね、と適当に生きている。せっかくだからと異世界を満喫していくくらいには図太い。
黒髪黒目の親近感からノアールを気にかけていた。いつの間にやらちょっと惹かれていた自分に気づいたものの、残るつもりは毛頭ないので伝えることなくいい思い出で終わらせる予定だった。ノアールが追いかけてきたのは全くの予想外。多分なんだかんだで丸く収まる。
◆ノアール・フォーゼベルグ
リーヴェンデッテの次期宰相候補の弟。文官。
家系を数代遡っても存在しなかった黒髪黒目のため、ないことないこと言われて育った。更には兄が次期宰相候補と言われるくらい出来がよかったため、いろいろ鬱屈していた模様。家族仲は良くもなく悪くもない。
レーナクロードたちの協力者になったのは偶然が重なってのこと。全部ぶち壊せば国滅んだりしないものか、と深層心理で考えていた程度に破滅思考を抱えていた。
しかしその果てに葉月と出会えたので多分運はいい。
黒髪黒目は、実はかつて『引き寄せられた』異世界人が先祖にいたことによる隔世遺伝だったりする。
◇ノアールと葉月のその後
トリップ→逆トリップの王道をひた走ると思われる。
真面目に考えるとノアールの身分保証の問題があるので、葉月にとんでもチートなコネ持ちになってもらわないと結構詰むような。
あちらの世界でのノアールの地盤固めが終わるまで葉月の世話になるとしたら、わりとノアールが情けないことになるだろうが、多分それで仲が深まるので結果オーライかもしれない。
◇『国の贄』
初代王だかその周囲だかが作った古の魔術による仕組み(役割)。
人ひとりの命を代価に国が傾く要因を排除し、国を恒久的に維持するためのもの。
初代王の所持していた『予言』あるいは『未来視』と呼ばれていた能力を根幹に、必要時期を自動で判断、実行する。『託宣』と連動しているのは、『託宣』も初代王の『予言』が元になっているため。
多分スヴェンが身代わり策について『それしか方法はない』と言わなくても、エリシュカを『国の贄』では無くすだけでは国に影響が出るので、結局は回避策として身代わり案が出たと思われる。
本来であれば、犠牲になる周囲の人間が作中のような考え・行動を起こさないための仕組みも存在していたが、その辺りの魔術が不具合を起こし始めていたので前回~今回において『国の贄』の仕組みそのものを無くそうとする人間が出ることになった。
『儀式』などの核の魔術が起動しているときでないと外部から干渉できず、解析もできなかったのでエッドが長年手をこまねくことになった。念には念をと言わんばかりに防護と隠蔽に力を入れまくるような人間が初代王周辺にいた模様。
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