第7話お泊まり会
『ガチャ』
「し、失礼しま〜す」
俺は廊下でまこちゃんを待たせて恐る恐る家族が揃っているであろうリビングへと侵入した。
そこには明らかに不機嫌な顔の妹とこちらを不思議そうな目で見る二人。
ササッとリビングの真ん中のテーブルまで行き3人に説明をするからと座ってもらった。
「え〜と、え〜とですね。あの、その〜ですね、」
「そんなにキョドってどうしたの天ちゃん」
「天太くん大丈夫?」
二人がさらに不思議そうな目で見てくる、だって仕方ないじゃんか!緊張するんだもん、妹はぶすっとしたままだし。
「えっと、単刀直入に言います。まこちゃん家に泊まります。俺の部屋に泊まります!お許しを!」
よし、言ったぞもう知らんからな、怒られても流すからな俺は!善意からの行動だから。
「え?全然いいわよ?私は、」
「私もいいけど・・・」
「まじ?」
「だって天ちゃんの彼女じゃないんでしょ?」
「え?彼女だけど」
「「え」」
「あ」
やっちまったわ、これ。自分で爆弾落としちゃったよ、どうしよう・・・でも許してくれるはず!
「天ちゃんその子をここに呼んできなさい」
「うっ、分かった。まこちゃん入ってきてもいいぞ」
『ガチャ』
「お久しぶりです、宇佐美真琴です。」
「・・・」
なんか嫌な沈黙だな・・・さて母よどう出てくる。それに妹は何をしてくるかわからん。こいつも警戒だな。
「なんだ〜宇佐美ちゃんとこのまこちゃんだったのね〜!そうなら早く言ってよ〜!まこちゃんなら天ちゃんを襲っちゃってもいいんだからね!」
「ぶっ!」
何言ってんのこの母親、でも何とか許して貰えたな。そう言えば姉は・・・え?あれ左手に持ってるのハサミだよね、まこちゃんのこと思い出してなかったらどうなってたの?怖い!
「じゃあ・・・」
「全然いいわよ!むしろ毎日泊まってもいいくらい!」
―――――――――――――――――――――――
何故こんなにもまこちゃんと母の仲がいいのか知らんが戦場から離脱することができた。これはかなりでかい。あとは夜を乗り切ることだ!
部屋に戻った俺達は、とりあえず風呂に入ることにしようと思うが・・・服どーしよ
「まこちゃんとりあえず風呂入ってきてもいいよ」
「いやいや天太先はいって。」
そのまままこちゃんに押し切られる事によって俺は風呂に入ることになこんだった・・・
―――――――――――――――――――――――
いつものように体を洗って頭を洗う。
すると不意に背中に冷たい風が当たってきた。
あれ?ドア開いてたっけな?
「天太・・・」
「なっ!まこちゃん?何で入ってきてんの!」
頭の泡を落として慌てて隠す、油断してたから隠すの忘れてたんだよ。
「ねぇ、天太、体僕が洗ってあげようか?」
「いや、いい。もう洗った」
「うるさい、僕に洗わせろ」
「ええ?そんな強引な」
おもむろにまこちゃんは石鹸に手を伸ばすと手で俺の体を洗い始めた。
「ちょ、まじでダメだから」
「だまって、うるさい今洗ってんの。」
「すいません」
何だこの展開、俺からしたら望んでもないんだが・・・なんつーかテンプレすぎっていうか。なんか手じゃないものまで当たってるんですけど。
俺は叫ぶ
「アウトッ!」
―――――――――――――――――――――――
あのあとさっさとまこちゃんを、置いて出てきた俺は自室でのたうち回っていた。
「ああ、何てもったいないことをしてしまったんだ俺は・・・俺のチェリーがハッピーになろうとしていたのに・・・」
あ、下ネタはダメか。つい言ってしまった、オタク時代の俺は下ネタ連発しまくってたからな、出てしまった。
「出たよー」
「・・・ういっす」
なんだか意図せずよそよそしくなってしまう・・・こんな時はこっちから距離を縮めるのが一番だってギャルゲーの主人公が、言ってた!
『なでなで』
「なに?いきなり」
『なでなで』
「ん、もっと強く」
『なでなで』
無言で撫で続ける。
「そっちがその気ならこっちも行くよ?」
『すっ』
ごめんなさい調子乗りました勘弁してください、という気持ちをのせて手を素早く引き戻す。
「ちょ、何で手を引くのさ!いいじゃんか僕ら行っても」
『すっ』
「体ごと離れていくなぁ!」
――――――――――――――――――――――
「大体引き終わったか?」
「こっちはOKだよ」
「よし、寝よう」
「おー!」
色々あったがやっと寝れるな・・・明日は土曜だし勉強は完璧だし朝起きたらまこちゃんにどこ行きたいか聞こっかな、デートか。
「・・・寝れん」
寝れない、やっぱり横に女の子がいて寝れるわけありませんでした。緊張所の話ではない、心臓飛び出そう。
「音楽でも聞くか」
携帯を取り出しイヤホンをぶっ刺す。
「ん?天太何聞いてるの?」
起きた、やっちまった。音楽で聞こえないふりしよう。好きな歌を流せば周りの音は気にならなくなるはず。最近ハマっているmorry&TKCの歌を大音量で流す。
「なに?無視?はーん聞こえてないふりね、僕を無視したらどうなるか教えてあげよう」
無視したら良いんだ、何をされても最小限の反応しかしないんだ、そうすれば難は去るはず!
上の服のボタンを外された
無視
ズボンを下ろされた
無視
パンツを下ろされそうになる
手で抑える
強く引っ張られる
強く抑える
諦めたのかまこちゃんが服を脱ぎ始める
手で抑える
・・・
「だー!もう分かったよ構ってあげるからパンツ下ろそうとするのやめろ」
「いぇーい」
ったくもう、難は去らなかったよ。まじでずっとパンツ引っ張ってんの。全体重乗せてきた時は流石に焦ったわ。軽かったからいいけど
「で、なに?」
「一緒に寝てもいい?」
「だめ」
『ガシッ』
「分かった、一緒に寝よう」
「ヤッター」
こうして俺は抱きつかれながら眠ることになるのだった・・・
―――――――――――――――――――――――
「おはようございます」
「何してんの」
そこには俺のチェリーを、いじっているまこちゃんの姿があった。
「えへ」
「うわぁぁぁぁ」
―――――――――――――――――――――――
夢か・・・悪夢だな、いや悪夢ではないか。
「おはよう」
「んみゅ?おはよう」
「なあ今日、二人でどっか行かないか?」
「え!いくいく!デート!」
「分かった、どこ行きたい?」
「静かなところ!」
意外だな近場のショッピングモールとかかと思ったんだけど・・・リサーチしてねぇよ
「近くの公園でいいか?」
「全然いいよ!」
「じゃあ1回帰ってから集合な」
「了解でーす」
するとまこちゃんは疾風の如く帰って行った。こんなに喜ぶとは言って良かったな・・・よし、俺も準備しよ
―――――――――――――――――――――――
予定の時間を設定して、一時間前に出て今まで貯めてきたお金でプレゼントを買う。ちょっとませてるけど指輪を買った。
「到着、俺爆誕!」
昼の誰もいない公園にいたいセリフを吐きならが立つ男が1人、もちろん俺だけど。まこちゃんが来ないのでこんな遊びを1人でしている。
「はぁ、流石に一時間前は早すぎたか」
「お待たせー!」
元気な声が後から聞こえてきた。まだ一時間前なのに・・・俺が言えないけど。
「待ってねぇよ・・・」
白いスカートにピンクの上着。ボーイッシュなショートヘアーに白い肌、改めて見ると美少女で服もその美しさを際立たせていた。
「どしたの?」
「いや。なんでもない」
「ふーん、じゃあそのベンチ行こうよ」
「お、おう」
静かな公園でずっと手を繋いで話しているだけだったがずっと心臓は鳴りっぱなしで少しずつ距離を詰めてくる彼女がすごく可愛く見えた。
「ねぇ、お願いがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「僕のファーストキス、貰ってくれないかな?」
多分恋のせいだろう、心臓はずっと鳴ってるし緊張もしている。でも吸い込まれるように・・・二人の影は重なっていた。
―――――――――――――――――――――――
「じゃあそろそろ帰ろっか」
「そうだな、でもほんとにここで良かったのか?もっと賑やかな場所とかじゃなくて。」
「うん、そういう所も楽しそうだけどさ僕は天太といる時間をちゃんと覚えていたいから静かな場所が良かったんだ。」
「あ、あのさ。これ買ったんだけどさ貰ってくれ!」
「ん?なにこれ?」
「ああ、中は帰ってから開けてください、ではさようなら」
ついに限界が来た俺はその場から逃げ出すように走り去ってしまった。明日は日曜か、明日も会いに行こう。
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