第4話手紙の真相

朝から内容の濃い時間を過ごすと残りの時間はとても早く流れて行くようで、もう放課後だ。

さあ肝心の手紙だが、まぁ内容は言うまでもなく屋上に一人で来い、との事だった。


「朝から疲れてるからな〜、あんま気乗りしないな〜、ああ、モテる男はツラいぜ」


と、こんなことを言っているから周りからよくすぐ調子に乗るとドヤされるんだけどさ、俺の自論としては調子に乗れる時に乗っておかないでいつ乗るのさ!って思うよね。


「屋上、屋上っと。・・・ここか、」


『ガチャ』


放課後の夕暮れ空のオレンジに輝く屋上。そこでそよ風に短い髪をサラサラと揺らされている少女が一人ぽつんと立っている。


「綺麗だ・・・」


意図せず口にした言葉が聞こえたのか少女は振り向き少し微笑んだ。振り向いた顔で面識のある少女だと一目で分かった。宇佐美真琴である。



「あ、来てくれたんですね!」


何でいるのかと聞きたいがおそらくは手紙の差出人が彼女なんだろうなぁ、


「ああ、なんか用でもあったかな?」


「分かってるでしょ?七草天太さん、貴方の事が好きです。付き合ってください。」


「は?」


一瞬、時が止まったような気がした。望んでもない女の子からの告白、しかも彼女の様な美少女に告白されたのだから発狂ものである。でも、この告白に心当たりの欠片もないのである。


「どうして俺なの?」


「僕が貴方を好きだからだよ?答えはyes?no?」


今まで底辺の人生を送ってきた俺にその選択肢があるのなら、俺は薔薇色の人生を送ると決めたから。


「yesです。よろしくお願いします」


瞬間彼女の顔がパーと明るくなる、それを見ていると何故かこちらまで嬉しくなるので不思議だ、恋とはこういうものなのだろう。


「ほんとに!?やったー!ふふふっこれで僕達は彼氏彼女の関係に慣れたんだね!」


「でも俺なんかでいいのか?今日あったばっかなのに」


ここで俺の率直な疑問をぶつける、大概の確率で一目惚れだろうが一応は確認しておくのだ。


「初めて?もしかして僕のことを忘れてたわけじゃ無いよね?幼馴染の僕のこと忘れてたわけじゃ無いよね?」


「え?幼馴染?・・・真琴・・・ってもしかして、まこちゃん?」


説明しよう!まこちゃんとは俺の初恋の相手であり中学卒業と同時にアメリカに引っ越してしまった唯一俺を馬鹿にしなかった女の子である。まぁ、これこそ感動の再開ちゅーやつやな。


「そうだよ!久しぶり!あの時から好きだったんだけどさ、言えないまま向こうに行っちゃってさ何とか帰ってこれたのに天太ったら引きこもりになってるし・・・でもでもイケメンになってて、ますます好きになっちゃったよ・・・これから彼女として僕を大事にしてね?」


「ああ、まこちゃんだったのかぁ。そうかぁ、変わったなぁ。成長したね、背も高くなった、お互いに」


お胸の方はあまり成長してないようだけど・・・


「今、失礼なこと考えたでしょ」


「いいえ、全くかんがえておりません」


とりあえず濁しておくのが最前策だな、そんなことよりまこちゃんと付き合うに当たって不安なのはまこちゃんは昔から好きなものには夢中になりすぎるところだ。

邪魔者には容赦がない、それに信じていた者が間違っていたと知っても激しく怒る。

うん、これ怒らせないように頑張るしか無いね!そうしよう!・・・出来るだけ


「まぁ、いいけどさ。僕と付き合うんだから当然他の女の子になんかと話したらダメなんだからね?僕が嫉妬深いの知ってるでしょ?ボクヲオコラセナイデネ?」


「ひっ」


目に光がないんですけどー!莉子のそれと何ら変わりないんですけどー!これマジで怒らせたらダメな奴じゃん、それに俺は今超絶イケメンになってしまったんだから他の女の子に告白されるなんて多分ざらにあるだろうから・・・あ、終わった


「まぁ、天太はさイケメンだから他の女の子に告白されることもあると思うけどさ、他の女の子なんか見ないで僕のことだけ見ててね、ちゃんと断ってくれたら僕は何も言わないから。」


「ありがとう!まこちゃんと付き合えて俺、嬉しいよ!」


思ったよりまこちゃんの心は広かったわ。でも、例えまこちゃんがヤンデレでも俺はまこちゃんを怒らせない、怒らせてもその怒りを受け流す技を編み出したのだぁ!引きこもってた1年間、妄想で生きてた俺を舐めてもらっちゃ困るね。


「改めてこれからよろしく!」


「こちらこそよろしく!じゃあ帰ろっか?」


2人並んで駅へと歩き出す。どうやらまこちゃんもウチと近いところに住んでるらしい。降りる駅が一緒の所だった。


「じゃあ僕の家ここだから、」


「え、俺の家隣なんだけど」


なんということでしょう、たまたま彼女の家が隣だったのでs


「知ってるよだからここに引っ越してきたんだもん」


ですよねー、そんな気がしてましたよ!わざわざ調べて引っ越してきたんかい!俺がもしふってたらどうしたんだよ


「そ、そうか。じゃあバイバイ」


「バイバーイ!明日から一緒に登校しようね」


「おお。」


―――――――――――――――――――――――――


「お兄ちゃんおかえり、あの女の人誰?」


帰るなり莉子が、不機嫌丸出しで話しかけてきた。何故か隣に萌菜さんもいる。なんかまずいことしたかな


「誰ってまこちゃんだよ、居ただろ?俺の幼馴染で中学卒業と同時にアメリカに行っちゃった子だよ、今日の朝再開してさ、付き合うことになった。」


「何で今日の朝会って帰ってくる時にもう付き合ってんの!流れが速すぎるでしょ!もうちょっと考えるとか無かったの?」


あ、妹にツッこまれたなんか新鮮。ってそんなことより


「中学時代からどうやら俺のことを好きでいてくれたみたいでさ、あの時唯一俺と普通に接してくれたいい子なんだよ。しかも俺の初恋相手。更にボクっ娘!」


ボクっ娘、ここ重要!どれだけ大人雰囲気の女性でも一人称が僕だったら可愛く見えてしまうのだ、まこちゃんはかわいいしそこに一人称の僕が加わって素晴らしいのだ、彼女の素晴らしが分かったか!


「最後の奴はよく分からないけど、勝手にすれば!お兄ちゃんなんてもう知らない!」


ドスドスと妹は廊下を行ってしまった。

そして今まで一言も発さなかった姉の萌菜さんはと言うと


「天太くん、おかえりなさい。彼女出来たんだね、そりゃあこんなにイケメンだったら彼女も出来るよね・・・」


落ち込んでるんだけど・・・てか落ち込んでるとこ悪いんだけどさあんたら血の繋がった家族なんだが。てかその時点で恋愛対象以前の問題だから。


「うん、いい子だよまこちゃんは。じゃあ俺は部屋に行くから。」


適当に流して部屋に戻る。帰り道に貰ったまこちゃんのライヌを開いてベッドに倒れ込む。


「俺に彼女出来たんだけど・・・神様の言ってたことはマジのマジだったんだなぁ・・・」


感慨に浸っているといつの間にか俺の意識は深い眠りの世界へと吸い込まれて言った。


―――――――――――――――――――――――――


時は経ち翌日


「いってきまーす!」


もう習慣づいてきた挨拶をして玄関を出る。


「あ、天太おはよう!」


いつもより1時間は早く出たんだけど・・・早すぎやぁしませんかい?これじゃあ男の俺の顔が立たないんだけど・・・


「おはよう、じゃあ行こっか」


「うん!」


なんかめっちゃ自然な感じで腕を組んで来てるんだけどさ、まこちゃんあんまり無いと思ってたお胸が結構あるんだね、当たってるんだが。ちらりと彼女の方を見るとニヤニヤしながらこっちを見ていた。

コイツわざとしてやがる。


「今日も朝から疲れるなぁ〜」


心からの言葉がポロっと漏れた。

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