第2話1年ぶりの母と、ファーストキッス
「天太くん!起きて〜!起きないと・・・食べちゃうよ?」
深い眠りに落ちた俺を不意に誰かが現実に引き込もうとする。心地よい夢の中から出たくなくて起きることを拒絶する。
「ふぅん、姉さんにそんな態度取るんだ・・・ほんとに食べちゃうね」
俺の唇に何か柔らかいものがぷにっと触れる、気持ちよくて離れていこうとするそれを捕まえてまた、唇に付ける
「んむ!ちょっと!起きなさい!」
今度は頬に強い衝撃が走った。流石の俺も何かと思いはね起きる。すると目の間には唇を抑えて赤面している、しかもどこか息が荒い萌菜さんがいた。
「・・・あ、もしかして俺まずった?」
分かったぞ、さっきのぷにっとしたやつ、唇だな?所謂キスというやつだな?俺のファーストキスがまさか実の姉に奪われることになるとは・・・ま、いっか
「別いいわよ!許してあげる・・・嬉しかったし。そんなことよりお母さん帰ってきたよ!」
「途中よく聞こえなかったけど、ありがとう母さんにも久しぶりに挨拶しなきゃダメだからね。」
よぉし、またリアクションを楽しめるぞ。
ウキウキ気分でリビングへ行くとメガネを掛けた黒髪の女性が立っていた、母さんだ。
「母さん、おかえり。」
驚かせないように話しかける。まぁ俺が挨拶して驚かせないようにするなんて土台無理な話なんだけどな。
なんつーか、あれだよ雰囲気作りってやつだよ。たぶん
「ああ、ただい・・・貴方ほんとに天太?私にこんなにイケメンなしかも美少年な息子は居なかったはず・・・」
「やだなぁ、もう俺だよ、貴方の息子!七草天太だよ。最近って言ってもここ1年くらいだけどずっと引きこもってばっかでごめんなさい。」
少し目を潤ませて頭を下げる。そしてそのあとに微笑む事も忘れない。これこそパーフェクトイケメンなのだ!
「いいのよ、私もこんなにイケメンな息子と話せて幸せだわ。」
「ありがとう!それでさ母さん、1つお願いがあるんだけど・・・」
「なに?言ってみなさい。貴方の願いなら出来るだけ私が叶えてあげるわ。」
俺の願い事1つでかなりの意気込みだな。こりゃ話が上手く回りそうだ。
「あのさ、俺学校に行っていい?」
そう!学校に行くのだこのパーフェクトフェイスならば間違いなくバラ色、いや瑠璃色の学園生活が送れるであろう。それに学校でも馬鹿にしてきた奴を見返すんだ!
「なに?そんなこと?いいに決まってるじゃない!愛する息子が学校に行ってくれるなら私も嬉しいわ!」
何が愛する息子だよ、この前までブスって読んでたくせに、と毒づくのはやめておく。でもちょっとは毒づく。
それでも快く許可を貰えたのだから明日からはバラ色、いやる(以下略
「じゃあ、俺は部屋に戻って明日からの準備をしてくるよ、母さんは学校に連絡してくれると助かるな。」
「よし!任せて!母さん張り切っちゃう」
母さんの元気な声をあとにして部屋に戻った俺は軽い準備をして、再びベッドに入った。今度はちゃんと部屋の鍵を掛けて。
――――――――――――――――――――――――
翌朝
「おはよう」
「おはよう、天ちゃん」
「おお、おおはよう!お兄ちゃん!」
「お、おはよう、天太くん」
未だにぎこちない挨拶、つってもまだ二日目なんだが、を交わして一年ぶりの朝食の席に着く
「スクランブルエッグかぁ。久しぶりに食べるなぁ。」
「今日は張り切って作ったんだから!」
そう言って胸を張る母を横目にスプーンにすくったそれを口へと運ぶ。
「・・・美味い」
「そうでしょ!天ちゃんのために頑張ったんだから!」
そんなこんなで朝食を食べ終え、初めて袖を通す制服を来て一年ぶりに玄関をくぐる。
「行ってきます」
一昨日の俺からは考えられない言葉だが、そんなことはこれからの期待と緊張で頭の片隅にも無かった。
―――――――――――――――――――――――――
通学路
初めて通る通学路は何もかもが新鮮でほんとに外に出たんだと実感することが出来た。
だって俺、引きこもりだったんだもんっ!
それはいいとして、やはり視線が凄いな・・・特に女性からの目線が。男性からの目線もあるのだが多くは殺気のこもった目線、そして極小数ではあるが獲物を狩るような目線だ。
暫く歩いて学校へ行くための駅へと着いた。久しぶりに電車に乗る俺のテンションはかなり上がっていた。
「久しぶりの電車・・・胸が高鳴るでござる・・・おおっとオタクの言葉が出てしまった。」
やはりまだ俺の中にはオタクが潜んでいるようで、ふとした瞬間に出てしまうので気をつけなければ・・・まぁ、何とかなるっしょ
「って、やべ!もう電車来てるし!」
電車にダッシュで乗り込みギリギリセーフだった
『駆け込み乗車は危ないのでおやめください』
注意された・・・恥ずかしい。と、ふと周りを見ると俺の周りは何故か女性に囲まれていた。そして、後ろからお尻を触られた。
「ひゃぁっ」
情けない声がでる。って言うかこういうのって男の人がするんじゃないの?ってしたらダメなんだけどさ。
そうこうしている内に手は2本になり3本になり、もっと多くなり、そして手は少しずつ前のマイサンに触れるようになった。耐えられなくなった俺は目の前にいた女性に目で訴える
「んー!」
少し涙目になってしまったがこれでやめてくれるだろう。
と、思っていた時代が僕にもありました。
さっきより激しく手が俺のマイサンをまさぐるようになり。立てなくなった俺はまた、目の前の女性にしがみついてしまった。すると女性は小声で
「もう我慢出来ない」
「ひっ!」
その獲物をロックオンしたかのような声に恐怖を覚えた。うん、女性も怖いってはっきりわかんだね!
ってそんなこと言ってる場合じゃねぇー!
「やめて下さい」
明確に言葉にして拒絶する。そんなことをしていると、どうやら目的の駅に着いたようだ。俺は逃げるようにホームに出ると一目散に駅を出た。
「あー!怖かったぁ!でも、まぁうん、悪くなかったな」
悪くなかったんかい!と自分にツッコミを入れてからゆっくりと学校の方へと足を向ける。
そろそろ学校に近づいた頃になると同じ学校の生徒も増えてきた。
「あの制服うちの学校だよね?」
「うん、でもあんなイケメンいた?」
などなどのヒソヒソ話が聞こえてきてまぁ気分爽快!
これから俺のハーレムライフが始まるのだあ!グワハハ
―――――――――――――――――――――――――
学校に入ると俺はすぐに職員室へと向かった。
これまで1度も学校に行かなかった俺は教師の計らいで転校生ということにして貰えることになった。
ありがたやー。
『コンコン』
「失礼します。七草天太です。今日から学校に登校させて頂くと連絡したものです。」
すると中からそりゃあまぁてっペンがね・・・あえてどうなっているのかは言わないんだけど、そんな校長らしき人が出てきた。
「連絡は貰っているよ。今日からよろしく七草君。」
「よろしくお願いします!」
うん、いい人そうでよかった!でもまぁ1つ欠点を言うとしたらてっぺんがねぇ。あ、どうなってるかは想像してね?
それからあれこれと説明されどうやら俺は2年2組らしい事が分かった。
そして案内されるがままに歩いていると
『2年2組』
そう書いてある教室へと到着した。そして担任の先生である田中哲郎先生の支持に従い廊下で待機することになった。
「はぁー、転校生の教室に入る前ってこうなってるんだな」
程なく「入ってくれ」と先生の声がかかったので俺は静かにドアを開け中に入る。
瞬間、女子の悲鳴ったら耳が潰れるかと思ったね。
「今日朝みた、超絶イケメンだ!」
「カッコイイって言うかかわいいって言うか食べたい!」
「ああ、天使だ。」
嬉しいんだけどさ、自己紹介させて・・・
10分間くらい待ってようやく自己紹介が始められた。
といっても自己紹介なんて軽く流す感じで終わらせたんだけども。自己紹介中も女子の目がギラギラしてるわ男子からは睨みつけられるわで・・・
なんて言うか・・・明日から大丈夫かな
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