イケメンになったらボクっ娘彼女が出来ました

悟壮司

第1話イケメンになっちゃったよ

ぐうたら過ぎる引きこもり生活をしているといつの間にか自分と言う人間がどこかへ消えてしまうのではないか、そんな気持ちになる。


なーんて誰に言うでもなくカッコをつけてみるけれども俺には喋り相手も居ないので、つか自分から引きこもってるんだけど・・・まぁ今日も今日とてゲームにふける。


「天!今日も学校行かないの?」


あの声は恐らく姉の萌菜さんだろう、つってもまぁ1年は顔も合わせてねぇし推測の域を抜けないんだけども・・・


『ゴンッ』


内側からドアを殴りつける、これが俺の彼女への返事だ、言葉をかわさなくてもこの魔法の合図をするだけで、3、2、1・・・


「はぁ、分かったわよ!好きにすれば!ほんっとにブサイクはこれだからダメなのよ・・・帰ってきたら野垂れ死にしてれば良いのに」


ほらな?まぁ悪口はいつもの事なので気にしないとして追い払うことに成功知るんだなこれが・・・


「さて、今日はパズル&シスターズのイベントだからなァ忙しくなるぞっ」


うすら笑いを浮かべながらスマホの画面に集中すると、不意に胸の心臓らへんに激痛が走る


「がっ!なん・・・だこれ・・・くる、しい」


助けを呼ぶ気力もなく次の瞬間には俺の意識は闇の中へと引きずり込まれていた。


――――――――――――――――――――――――


(ん?ここはどこだ?確か俺は部屋で激痛に倒れたと思ったけど・・・うわーいまっしろいへやだー)


「無」まさにその言葉が合う何も無いただ白く広いどこまでも続く空間に俺はいた。


(つってもなーここからどうやって帰るんだろ?もしかして探したら意外とドアとかあったりして・・・あれ?てか今俺手がないんだけど)


自分の手がないことに驚いていると不意に目の前が輝く。


「おぉー、待たせてすまんな。ワシ、神な」


(あぁー神ね、神なのか・・・ってなるかぁい!)


「まぁ、ワシが神なのは向こうに帰ったらすぐに分かると思うわい。ということで今はワシの話を聞け」


なんだ?この爺さんとは思っては行けないのだろう俺のよく読むラノベでは神様は心が読めるらしいからな・・・良し無心だ無心


「それも読めるがの、まぁよい。早速だがお前は死んだ、まぁ今は魂だけでワシと会話をしておる」


(はぁ?そんな話信じるわけ・・・ホントダー「」ガ()ニナッテルー。これって声に出てないって事なのか)


「まぁそういう事じゃ、で、お主の死はそのなんというか、ワシらの手違いじゃ、と言っても死神が殺すはずだった奴と同じ名前のお前を間違えて殺しちゃったらしいんじゃ」


(あー、なるほどねそりゃそっちの手違いだわな、で?)


「なんだ、その、こちらの手違いということはそれなりにお前さんに謝らねばならん」


(おぉ、それはそれでいいんだけどさ、これから俺はどうなんの?)


「それなんだが、お詫びとしてお主を元いた世界に返すことになった、まぁタダで返すというのも味気ない。そこら辺は帰ってから確認するといい。で、こちらとしてはすぐにでもお前さんを向こうに返したいんだがいいかの?」


元いた世界に戻れるし話のままだと何な特別なことをしてもらえるらしいな、戻れるに越したことはないんだけど・・・ま、いっか!悩んでもしょうがないしね!


(神様!今すぐ向こうに返して貰ってもいいですよ!)


「おぉ!そうかそれは助かる!死神にもワシから強く言っておくからの、今回の件はほんとに申し訳無かった。では、蘇生して向こうに返すぞ」


返事を返す前に足元、つっても今は足ないんだけども、んーまぁ、足のとこらへんが光った・・・


――――――――――――――――――――――――


『ムクリ』


「帰ってきたのか?」


俺氏!帰還!と言いたいところなんだがあの神様の言う通りなら体に変化、又は、魔法的な潜在能力的な、感じ的な何かが俺に施されているはずだ。


「よしっ!まずは体の変化から見てみるぞー!・・・でも、ここ手鏡の一つもない部屋だからな、外に出るしかないかぁー」


『ガチャ』


顔を少しだけ出して廊下に誰も居ないことを確認、そろそろと音を出さないように素早く気づかれないように洗面所へと急ぐ。


『ガチャ』


よし!ひとまずは任務成功!ふぅ、よし、321で鏡を見るぞ、顔に変化が無かったら次は体、それも変化が無かったら自室に戻って身体能力的な魔法的な何かを探るとしよう。


「ふぅ・・・3、2・・・1。そりゃ!」


勢いよく顔を上げ鏡を見るすると・・・




「誰?誰このイケメン?」


鏡に映るのは15年間連れ添ってきた顔に似ても似つかないそりゃもう、芸能人が霞むくらい、てかもうありんこにしか見えんくらいにイケメンな人がいた。


「嘘だろ?落ち着け俺、焦ることはないぞ。きっと俺は幻覚を見ているんだ・・・ふぅ、そりゃ!」


もう1度顔を見直す。そこにはやはり驚いた顔をしたイケメンもとい自分がいた。


「ハハハ・・・はぁ。」


そこから暫く声が出なかったが何とか気持ちを落ち着け、他に体に変化がないか調べる。すると・・・


「腹筋バキバキやんけ・・・足細い!てか背が高い!」


やべぇ、俺今完全にイケメンだわ。うん、お世辞でもないよ?てか自分にお世辞言うほど悲しい奴じゃないけどな?そーだな今の顔を漢字一文字で表すと「美」だな。


「一旦部屋に戻ろう・・・」


来た時とは違う、周りに注意を払うわけもなくとぼとぼと部屋に戻る。幸い誰にも会うことなく部屋に戻る事が出来た。


『ガチャ』


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「いよぉっしゃぁぁぁぁぁあ」


俺の雄叫びが部屋に響く。何故かって?愚問だな、今までブスだのブタだの言われてきた姉、母、父、妹を見返すことができるからだ。といっても父はロシアに出張してるから今年は帰って来ないんだけどな。


「姉と妹が帰ってきたら何事も無いかのように部屋を出てリビングへ行こう!久しぶりのリビングだ、緊張するぅ」


そんなこんなで時間は過ぎて


――――――――――――――――――――――――


『ガチャ』


「「ただいまー」」


どうやら姉と妹が帰ってきた様だ、フヒヒよし部屋を出るぞ!引きこもり、解放!


『ガチャ』


そろそろと部屋を出て姉と妹がくつろいでいる部屋に入る。


『ガチャ』


「あー、お母さん居たんだただいま」


妹がこちらを見ないで俺を母だと勘違いしているようだ。よしよし上手くいってるぜ。そうだな・・・姉の横のソファに座ろうどんな反応をするか楽しみだぞい


「あー疲れたー」


わざとらしく大きな声を出してソファに座る、次の瞬間姉と妹の驚きようったら腹が痛くなるほどだった。


「だ、だだだ、誰でしゅか?」


妹が赤面しながらかみかみで言葉を発する。

よし、ここはさも当然のように話そう。


「ん?誰って忘れたの?天太だよ?そうか、1年も会ってないと顔も忘れちゃうんだ・・・悲しい」


微笑みかけ、そのあと悲しむ顔をする。ブスがしても何もならないがイケメンがするとなると話は別、効果は絶大。例えるならば火タイプのヒノ〇ラシにハイドロ〇ンプするようなものだ。


「ふぇ!?おお、おお兄ちゃん!?忘れてないよぉ?悲しい顔しないでぇ」


焦ってる焦ってるフヒヒ・・・そのあいだの姉はと言うと口をあんぐり開けたまま動かない。

ここは・・・よし、攻めるか


「姉さんどうしたの?熱でもあるの?」


おでことおでこを当て、顔を急接近させる。これも効果は絶大だな。例えるな(以下略


「にゃ、にゃいわよ?にゃにをゆっているにょかしら?」


「そうなの?ならよかった」


もう1度今度は姉に向けて微笑む。そろそろ自分の部屋に戻るかな・・・


「じゃあ、萌菜さん、莉子ちゃん。僕部屋に戻るね、久しぶりに会えて良かったよ」


あ、ちなみに莉子は俺の妹の名前ね。

俺が立ち去ろうとすると慌てて妹が立ち上がり袖を掴んで止めてきた、姉は誰かに電話しているようだ、恐らく母、花さんだな。


「お兄ちゃん、もう行っちゃうの?」


普段はブタと読んでくる妹が上目遣いでお兄ちゃんと読んでくる。実に滑稽だな、ふははは!


「分かったよもう少しここにいることにするよ、でも俺、トイレに行ってくるね」


「・・・分かった」


俺はトイレに行くといって一旦リビングを出るとそのまま部屋に戻った。


「ふぅ、母さんが戻って来るまでしばしの休憩」


俺はそのまま寝てしまった、鍵をかけ忘れたのが俺の失敗だった・・・

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