32












…………布団の中で目を瞑る。


少しだけ思い返す。








「…………もう一度訊くけれど」


頷く。


「あなたは……この世界が、私が作ってた狩場みたいな状態になってるって言いたいの?」

「そう」

「…………。わかったわ。聞き間違いじゃないってわかったわ」


そう言って日頼ひよりは考えるような素振りを見せる。

あの後、私はまた日頼を呼び出した。今度は直で来ていいって言葉を追加して。その結果日頼は直接私を謎の空間に呼び込んだ。電話が終わってから10秒ほどの事だった。

そして私は大まかに説明して、今に至る。

この世界に異変が起きてると。

そして、ループの原因はわからないけど、今この空間は偽物だと。


「……で、もう何回目なの?」

「なにが?」

「私を呼び出すの。何回目?ループの日にちは覚えてる?」

「……2回目、それと多分……今日で6日目」

「そう。じゃ、前回の呼び出しで何したかも教えて」

「……わかった」


そこから私は前回したことを話した。

ついでに今までのループで気がついたこととかも。


「……能力で該当者は無し、さらに世界に異変も無し、と。世界は囲われていて……いや、囲われた学校周辺にそっくりな世界にいるって認識なのね」

「だいたいそう。……受け入れるの早いね?」

「ただならぬ雰囲気だったもの、というか受け入れないで話を進めてもなんにも変わらないわ。嘘だとしても、本当だとしても、信じなかった場合不利益しかないもの。だったら今日一日踊らされるのも悪くない」

「……なるほど、そういう考え方するんだ日頼って」

「意外?」

「いや、日頼あまり喋らないし、話しかけてこないし」

「そりゃそうよ……だって、こう……どう話しかければいいかわかんないし」

「それは殺し合ったネタから、こう」

「こうって何よこうって!そもそも殺し合ったじゃなくて殺されただからね!?」

「まぁまぁ」

「………………この件に関してあなたの話すのは全くの無駄だからもうほっとくとして……私は何をすればいいの?」

「今度は……ループの原因、じゃなくてこの世界を作った原因の人を探して欲しいな」

「検索の方向性を変えるってわけね。ま、やる価値はあると思う。……でも、実束。1つ、さっきから思ってる事があるんだけど」

「……?」






その日も、結局新しい事は何も見つからなかった。


だけど……日頼から話されたことが、今も心の中でぐるぐると消化できずに滞っている。





「この世界に異常は無い、って私の能力は判定したのよね?」

「そう」

「なんらかのジャミングみたいなのがかかってないと仮定して、今の状態が正しいとするわよ。狩場みたいな今の状態がこの世界の正しい形。……でも、そもそも正しいって何?」

「正しいの……定義?」

「そうよ、それが重要。異変を感知するにしても、どこ・・と比較して異常なのか……そこ、ちゃんと考えた?」

「…………。」

「でしょうね。……ま、“前回”の私も多分考えてなかったんだろうし、妙な感覚はするけどそこは責められない。そんなことより生産的な話をするわ。あなたが認識している世界は私と同じ?」

「……そのはずだよ」

「そうよね、だってこの目で見てるもの。この世界に生きる人間、生物、全員同じ空を見てるはずよ。……だけど、私の能力は実束の言う狩場のような状態を“異常無し”と認識した」

「私は、今の状態が正しい状態なんだ……って考えたけど」

「違う。いや、合ってる。どちらでもある」


「要は、最初からよ。一番最初にこの世界を認識した時から、この世界は異常だった。私の能力は、そこからの差を計測して“異常無し”としたの」


「最初から……って」


最初。

最初、ってどこ?


「予想もついてる。大方、あの時でしょう」

「……」

「察しはついてるでしょ。明らかに世界が変わった瞬間を私たちは知っている。……世界の認識を違和感無いように弄れそうな人物もよくよく知ってる。私たちだけが知っている」

「日頼」


気がつくと、日頼の喉元に槍を突きつけていた。

無意識だった。本当に。


「もう、いい。いいから」

「だから、やめろ」


槍を認識したのは喋ってから少しした後だった。

認識した後も消そうとは思わなかった。

続けるなら黙らせる。その指令に私の思考は全て賛成した。


「…………言いたい事がわかったなら、これ以上は喋らないわ。けれど、それも考えときなさいよ」

「……」

「……ん。わかった。……あー……えっと、ごめんね?」


槍を消す。


「許さない方がいいのかしら、いっそのこと。はぁ……ほんと怖いわあなた」

「大丈夫だよー、殺しても死なないじゃん日頼は」

「それは貯蔵があったからだから!そも殺される時めちゃくちゃ怖いのよわかってる!?」

「たぶん」

「多分……はい、はい、きっとこれから何回もこういうやりとりするのよね、馬鹿らしくなってきたわ……」

「……でも、一つだけいい?これは単なる疑問なんだけど」

「なに?」


言葉の通り、日頼の目には疑問が宿っていた。

理解できない事への興味、困惑。


「どうして、そんなに殺意を向けたの?別に私は関係がある可能性を示しただけ。……無自覚な可能性だって十分にあるでしょ?」

「まるで私が……そうね、例えるなら、そいつを排除しろとか。そんなことを言ってるみたいな反応だった。……どうして?」






その問いには結局答えられなかった。

自分でも本当に無意識の行動で、そこにあるはずの理由は全く理解できなかった。

……まぁ、その前に日頼が言っていたこと自体は、理解できたけど。

私たちの認識が弄られたタイミングがあるとすれば、間違いなくあのタイミング。

不明晰夢関連の出来事が消滅して、辻妻合わせが行われたその時。あの日からだ。

そしてそれを行なったのは……


…………もちろん、私は行動した。


日頼から話された翌日。






午後、あの教室。

どう切り出したものか、と一瞬考えたけれども、いい答えは多分出てこないから。


「汐里」

「?改まってどうしたの?」


ちょっと深呼吸。

さぁ。


「紡の事は、覚えてる?」

「……つむぎ?」

「そう、織潮おりじおつむぎ

「それは……なんで実束が知ってるの?話したっけ……」


困惑した表情。

……もうわかる。今の汐里の中で、紡の存在はきっと“自分で作った架空の存在”だ。

本当の事は覚えていない。

でも……


「それと、汐里の能力の、正体」

「えっ?」

「思い出して。汐里の能力は、他人の力を増幅させる能力じゃない」

「えと、実束……?」


言ってることがわからない、と言いたげなのは顔を見なくてもわかる。

それでも、そこで諦めるわけにはいかない。

汐里には、思い出してもらわなきゃいけない。

そして、そして、助けてもらわなくちゃならない。

この世界が今どうなっているのか。

原因は誰なのか。

……そもそもの、原因が……汐里じゃない事も、知らなくちゃ。


「汐里の能力自体は存在しない。膨大すぎる力が溢れ出て、近くにいる他人がその力を使ってしまうから結果的にそういう風になってるんだ」

「…………」

「そして、だよ。汐里自身は能力を持っていない、力を持っているだけ……でも、そもそも…力自身は、万能の力。ほんとは汐里はなんでもできるんだよ」


止まるな、止まるな、止まるな。

勢いのままに。


「認識の問題、できるって思わないのが問題。汐里はそれを忘れてるの。だから汐里、わからないなら思い出して。私、そうじゃないと困るから、だから」

「…………実束」


絞り出すような声。止まるしかなかった。

私を見つめるその瞳は、表情は……とても、辛そうだった。


「…………ごめん。今…実束が言ってること、全くわからない……」

「……え…?」


その言葉の意味が、わからない。


「何から何まで……理解できない。わからないの。何がわからないのかも説明できない……考えることができない」

「………………」


汐里にしては妙な言い方。忘れているにしろ、心当たりとかとっかかりぐらいならあるはずなのに……汐里は全くわからないと言う。

そういう言い方をするのは初めてだ。だからこそ、今汐里も困惑してるんだと思う。

その理由は……汐里はわからないだろうけど、でも、私は心当たりがある。


……きっと、今の汐里は……


「……うん、わかった。なら、いいよ。仕方ない」

「実束…」

「大丈夫、心配しないで。……したい事ができたから、帰るね」


教室を飛び出す。

どこにいても汐里には感知されてしまうのは承知の上。

だから、せめて追いつけないくらい早く走る。






結果はそんな感じ。

おかしな行動したって夜を跨げば元通りだ。だから別にいい。

それよりも、汐里のこと。

おそらく、前よりも……いわゆる記憶の封印が強くなっているんだと思う。

それこそ関連する情報を遮断するほどの勢いで。

言葉でも、行動でもきっと無駄だ。汐里は不明晰夢関連の事を思い出す事はない、だろう。

汐里の協力は絶望的。

それだけでもう私は随分と悩んだ。

この謎を解明しようにも、どうすれば状況が先に進むのかがわからなかったから。


世界は閉ざされている。

それをしてしまっているとされる、一番可能性がある人物は、汐里。

でも汐里から聞き出す事は出来ない。

日頼に記憶でも読んでもらおうとも思ったけど、本人は知らないのだし、日頼の力でその封印を解けるとも思えない。何せ、原因が汐里だとしても、日頼の能力には引っかからなかったのだから。


本当に汐里が原因?

ループの理由は何?

世界が閉ざされてるのはなんで?

私だけループを認識してるのはなんで?

考えても考えても答えは出ない。

わからない。

わからない。から。


わからないなりに、行動は起こした。






放課後。

お姉ちゃんはこれ以上巻き込みたくないから呼ばなかった。

本来なら汐里とあの教室で二人っきりになっている時間、私は学校の外……更に言うと人目につかない物陰で待っていた。

隣には汐里。

事情は説明してない。ただ、付いてきて欲しいとだけ伝えてある。

説明しても分かってもらえないのは知ってる。だから、説明しない。

それで汐里は「わかった」って言ってくれた。本当に嬉しいし、助かる。

説明しない事の罪悪感はある。でも、混乱させるよりはこの方がいい…はず。

そんな中、一人の人物が私たちに合流する。


「わざわざごめんね」

「別に。暇だからいいわ」


事情を説明した、日頼。



………………………………。



「これはつまり、汐里さんとのドライブという認識でいいでしょうか?いいですよね!つまりつまりブライダルカー!!実束さん、鉄製でもいいので後ろに空き缶を!」

「……日頼、黙らせられないの」

「協力してもらってるんだからそのくらい我慢しなさいよ。空き缶がなくてもイベリスがいないと普通にご近所迷惑よ?」

「……はぁ」


合流すると共にイベリスを呼び出してもらって、さっそく全員を乗せて鉄製カートで走り出す。

向かう先はもちろん、行けるところまで。徒歩で到達した、あの果て・・だ。

もちろん能力がバレたら騒ぎになる。……ので、認識を操れるイベリスが必要。

ちなみにイベリスが「操れるのはわたくしへの認識だけなのですがー」とか言ってたのでちょっと日頼に弄ってもらった。そも、日頼だって同じことができるはずなんだけどね。

ともかく、そんなこんなで私たちは誰にも認識されることなくまっすぐ道を走っていた。


「実束、まだ?」

「正確な位置は把握しきれてないんだけど……感覚的に、後もうちょっとの、はず」

「ん。……大丈夫、実束についていくよ。気にしないで、好きに使って」

「使う……は、したくないけど。でも、ありがとね」

「汐里さん汐里さん、わたくしも今結構頑張っていまして」

「よしよし」

「はぅんん……」

「……しかし、実束。本当にやるの?」

「可能性があるのならやるべき……と思う。今はそれしか思いつかないの」

「……そう」


それ以降日頼は口を開かなかった。

……これは思考放棄だ。鍵が開かないから蹴り開けるみたいな、そんな乱暴な一手。

……言い訳。

何か正当化しなければならない衝動に駆られる。だから、言い訳をする、ならば。

思考放棄も何もない。乱暴な一手でもない。

先に進めるのならそれが答えなんだ。

私は現実に生きている。世界のルールは誰も決めてない。

罰せられることも、無い。


「————ふ、う」


一呼吸。

大丈夫。私は間違ってない。

この、不思議と湧いてくる罪悪感は無視する。

そのうち忘れてしまうだろうから。

無心で鉄を動かす。

走れ。走れ。走れ。




そしたら、私はなんとなくカートを止めた。

止まったそこにあったのは、ただの道。それまで通ってきたものとは変わらない、普通の道。

だけど私はカートを止めざるを得ない。そうしなければならないと身体中が認識している。


「……ここ?」

「うん、ここだよ。ここが目的地。……降ろすよ」


言いつつ全員をカートから降ろして、改めて道を見る。

何もない。道がある。

だけど、やっぱり私はこの先は無い・・・・・・と認識していた。ここで間違いない。

日頼から声が飛んでくる。汐里に聞かせないために事前に繋いである。


『ここが、言ってた果て・・?何もないけど』

『この先に進める?』

『そりゃ、進めないわ。何言ってるのよ』

『……そう、やっぱりそういう認識なのか』

『?……まさか、これが…なの?』

『大体そう。日頼にはわからないだろうけど、その当たり前の認識がおかしいんだよ』

『そう……なのね。全然わかんないわ、正直あなたが狂ってるとかそういう方が納得できるくらい意味がわからない』

『ほんとに狂ってるかもよ?』

『だったらあなたの心はそんなに静まってないわ。……意味はわからないけど、そして間接的にだけど、まぁ狂ってないとして今日のところは信じてあげる。……この先、って言う意味はさっぱりだけど』

『……そういう心はあるのになんで人殺しなんかしたんだか』

『心に直接傷をえぐるような事伝えないでくれるかな?』


とにかく。

認識……はしていないものの、とりあえず信じてもらえたとして。


さっそく始めよう。


「実束、私はどうしてればいい?」

「側にいて。ここにいるだけで、いいから」

「了解」

「汐里さんわたくしはどうしましょう」

「実束、イベリスはどうする?」

「認識操作の範囲をうんと広げて。全世界に広げてもいい。これから私たちがしてる事に何にも違和感を感じさせないようにして」

「えっと、全世界の人がこれから私たちがする事に何の違和感も感じさせないようにして」

「了解です!汐里さんのためならばこの身体朽ち果てようとも」

「死んでも一瞬で復活できるから存分に朽ち果てて。残機は無限だよ、イベリス」

「おおっとあるじ様、それは中々ブラックな労働環境と思われますが」

「汐里の為ならば」

「ええもちろん!お力添えに感謝します!」

「……で、私は?」


日頼の声に、指を向けて答える。

私の指の先には、鉄でできた的がある。

それはただの道のど真ん中に設置された丸い的。


「先が認識できないと撃ちにくいでしょ。狙い自体はあの的にお願い」

「なるほど。……ぶっつけ本番だけど、うまくいくものかな」

「別にチャンスは一回じゃないよ。……余波は任せて」


イベリスと汐里を守るように半球状の鉄の壁を作る。

その前に日頼が立って……左手で右腕を掴み。まっすぐ、的に向かって右手を構える。


「いつでもいいよ。好きなタイミングでお願い」

「わかった。……じゃー……やるわよ」




「……汐里さん汐里さん。何をするかって聞かされてたりします?」

「全く。でも、実束のしたい事なら別に不安にはならないよ」

「ふむふむ……確かに汐里さんにお願いされたらわたくし何でもしちゃうのありますしね…」

「待って。……何か、凄い力が————」




黒が。

目の前を飲み込んだ。


「ひっ————お、ぉぉぉお……うっわ、これ、うっわ……」

「大丈夫?」

「な、なんか想像以上のが出たけど、な、なんとか。これでいいのよね!?」

「……うん、それでいい。もっともっと強くして。何もかもぶち抜く位の勢いで!」


目視上は、多分同じ。

日頼の手から放たれているのは、ちゃんとお姉ちゃんのレーザー。ビーム?どっちだっけ。どっちでもいいか。

それが放たれている。的に向かって……私からするならば、果て・・に向かって。

これは過去の経験から思いついた事だ。

一度だけ、私たちは…お姉ちゃんは、不明晰夢の果て・・を無理やり貫いた事がある。


本当に汐里が原因なのか。

ループの理由はなんなのか。

世界が閉ざされてるのはなんでなのか。

私だけループを認識してるのはなんでなのか。


それはわからない。

わからないけれど……囲われているのならば、壁を壊せば、外へ出れる。

答えを出すのは諦めた。でも、このループから抜け出すのは、諦めていない!


「まだまだ、いける!正直怖いけどいけるわ!」

「お願い、もっともっと!何も気にしなくていいから!全霊で、全力で、全部……!!」

「ぅ、うううう…ぁああああああああ!!!」


熱で吹き飛ばされるものは全て鉄が受け流す。

黒は更に濃くなる。何か大変な何かを放っている事だけはなんとなくわかる。


「ああああああああああああああ!!!!!!」


黒の周囲が歪んでいる。

濃縮に濃縮を重ねた力は、私でもはっきり感じ取れるくらいに、身体が震えてくるぐらいに強大で。

とんでもないことをしようとしている。そんな意識が生まれてくる。

でも……


「————いっけぇぇぇ!!!!!」


消し飛ばせ。

その願いを乗せて、叫んだ。




「……っは、っはーっ、はぁっ……はぁぁ…っ」


いつのまにか放出は終わっていた。


日頼は息を切らして座り込んでいた。

レーザーが放たれていた跡にはどろどろに溶けたアスファルトとかコンクリートだったと思われる塵とか、そんなものがあった。


「———————————。」


鉄の壁を消す。

いや、消してしまった。維持する余裕がなかった。


「……実束?…ってうわっ……」

「これはまた凄い事に……あるじ様、ご無事ですか?」

「めっっちゃ、疲れた、わ…………っていうか……被害甚大なんだけど……ねぇ、実束、これほんとに大丈夫なの」


もう、これ以上見る意味は無い。

ここにいる意味も無い。

踵を返して、その場から去っていく。


「実束?ちょっと、実束!これどうすんのよ!明日になったら面倒ごとになるわよ!」


立ち止まる。

振り返る。


「なったら、いいね」

「……実束…?」


もう何も話す気にならなかった。

溶けたアスファルト。塵になったコンクリート。

でもそれは、私たちが入れる範囲だけの事だった。



果て・・から先は、何も変わっていなかったんだ。







行動は、起こしたんだよ。


目を開ける。回想は終わり。

その後も何も変わらなかった。

いつも通りの朝が来て、みんなはいつも通りで、もう一度あの場所に言っても破壊の跡なんか何にもなくて。

考えた。

考えた。

考えたけど何も無い。

考えないなりの行動も駄目だった。

行動する気にならない。

この布団の中で、何か方法が思いつくまで、じっとしている。

どのくらいこうしていたかはわからないけど。


「……………………ぁ」


声を出そうとした。

何を言えばいいかわかんない。

不発。開けた口を閉じる。


どうすればいいの?

もう散々叫んだ。

もう散々助けは求めた。

だけど誰も答えない。

叫びは誰にも届かない。


ぐるぐる、ぐるぐる。


同じ事を考えて、何も見つからなくて、同じ事を考えて、何も分からなくて、同じ事を考えて、何も出てこなくて、同じ事を考えて、浮かんだ案はもう試したもので、同じ事を考えて、時間の感覚も消えていって、同じ事を考えて、何も得られなくて、同じ事を考えて、答えを探すこともよくわからなくなって、同じ事を考えて。



そうして今日も、そろそろ終わる頃。






今日も同じように1日が終わる。








たったひとつ・・・・・・




頭に・・浮ん・・でい・・る案・・を否・・定し・・続けて・・・また・・1日・・が終わる・・・・







………………………………。


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