水色の恋16 幸子の安置してあるお寺へ戻るとお通夜も終盤にかかっていました、多くの人がお焼香し、若くてなくなった幸子をしのんであちこちですすり泣く声がしていました、
水色の恋16
幸子の安置してあるお寺へ戻るとお通夜も終盤にかかっていました、多くの人がお焼香し、若くてなくなった幸子をしのんであちこちですすり泣く声がしていました、
あらためてお焼香をして控え室にもどると一人の中年の女の人が近づき幸子さんのお友達ですかと聞くのでそうですと答えると、
わたしは幸子さんのお母さんの友達です、なんでこんな事になるんでしょうか、これも幸子さんの宿命だったのかしら、幸子さんのお母さんをどう慰めていいのやら、
途方にくれてしまいますと涙を流すので、昨日まで幸子さんと四国をおへんろしていたんですよ、私がもっと気をつけていればこんな事にならなかったかもしれません、
と言うと、いいえ貴方のせいではありませんよ、みんな鳥越伝蔵のせいだわ、私の主人も彼のあくどい貸しはがしにあい会社が倒産し自殺してしまったのです、
そうですか、それはお気の毒な事でした、彼女は自殺ではありません、幸子の為にきっと犯人を見つけてみせますと言うと、そうですか自殺ではないんですか、
でも危ないことはしないで下さいねと言うとお通夜の席へ戻っていったのです、
弔問客も帰り身内だけになり幸子のお母さんが呼びにきたので、畳のひいてある大広間に幸子の遺体場所を変えたのでこちらにどうぞと案内したのです、
そこには身内の人達と何人かの幸子の親しかった人が座っていました、席を勧められ精進落としの料理を勧められ、皆さんがにぎゃかだと幸子が喜びますとお酒を、
注いだのでぐ~と一息にのむと、
純一がビックリした顔をしています、お母さんが純一にもお酒を注ぐとチビリ、チビリのんでいたので、ひよっとして岡山の生まれですかと純一にきくと、そうです、
どうして解るんですかとたずねると、四国のひとは意外と一口で飲む人が多いんですが岡山のひとはチビリ、チビリ飲む人が多いんですよ言ったのです、
幸子のお母さんは私は用事を片付けてきますから、お二人はゆっくりしてくださいと言い席をたったのです、純一に幸子と行った海や山の事を話し、思い出にふけって、
いると、となりに幸子のお父さんがすわり、ありがとうございました、警察署ではとりみだしてすいませんでしたと謝るので、無理もありませんわ、大事な娘さんを、
なくされて誰も冷静ではいられませんと答えると、
今日はわたしの知らない幸子との思い出を話してください、さあもう一杯とゆうこと純一にお酌をし、こちらはゆうこさんの恋人ですかと尋ねるので、早川純一です、
私まで押しかけてすいませんと頭をさげると、いいえ大勢の人に見送られて幸子は喜んでいますよと言ったのです、
ところで鳥越伝蔵とは面識があるんですかと聞くと、実は彼の貸しはがしで私の親戚が自殺するまでは親友の付き合いをしていたんです、随分昔になりますが、
若い時私と伝蔵は東京の大学に通っていたんです、大学は別々の大学で学生の時は知らなかったのですが、
昭和16年に太平洋戦争が始まり、学生は徴兵(軍隊への強制入隊)猶予されていたのですが、昭和18年になり戦局が段々不利となり徴兵猶予が解除され、
学生も戦争へかりだされる事となり、私も大阪の第4師団へ入営しそこで訓練を受けたのです、
大学出身者は士官へ登用され陸軍少尉として南方へ派遣されたのです、行き先はフイリピンでした、すぐにアメリカ軍が大挙して上陸し激しい戦闘になった、
のです、アメリカ軍の重火器にはかなうべくもなく、私の部隊も壊滅的に被害を受けジャングルへ撤退したのです、
部隊はちりぢりになり私は小隊の生き残り12人とともにジャングルをさまよう事になり、食料もなく餓死寸前になったのです、小さな村を見つけ食料を調達
しようと近づくといきなり銃声がおこり、他の小隊とアメリカ軍が撃ち合つていたのです、
私はアメリカ軍の右方向へ迂回し大声を出し攻撃すると、大部隊出現と勘違いし一斉に撤退したのです、友軍に近づくと小隊は壊滅状態で20人中12人が、
戦死しており、生き残ったのは8名で負傷者2名、小隊長も重傷です、衛生兵に手当てするよう命令したのです、
小隊長の容態を聞くと玉は急所をはずれており、貫通しているので化膿しなければ大丈夫ですが、ここは熱いですから難しいですと言ったのです、村に入ると、
隠れていた村長が出てきて村には食べるものは無い、のこらず別の部隊が徴用したと言う、
部下がゲリラの可能性があります、全員射殺しましょうと言ったので、ばかを言うな無抵抗の人間を殺してなんになると答え、早くここを離れないと、
アメリカ軍がすぐにやってきますよ言うので、こちらを大部隊だと思っているので用意をととのえて明日くるさ、今夜中に移動すれば大丈夫だよと言い、
負傷者を家のなかへ収容し、友軍の戦死者とアメリカ軍の戦死者を埋葬し、米兵は鉄兜の中に認識票をいれたのです、部隊名を聞くと第15連隊の第6小隊で、
小隊長は鳥越少尉であると言ったのです、近くにアメリカ軍の部隊が野営しているので、これから食料調達にいくぞ、全員整列と声をかけ見張りを残し、
16名で出発したのです、
10名はここから攻撃する、後の六名はあの煙の上がっている場所が炊事場だからあそこへ裏から忍び込みすばやく運び出せ、我々の後方まできたら2発銃を撃つ、
よう指示したのです、後はいいか、ここから前には出るな、決して頭はあげるなと命令し倒れた大木の後ろから銃撃を開始したのです、
米兵は激しく機関銃で応戦してきました、玉を節約する為に銃撃を止めると、こちらが壊滅したと思ったらしく、米兵は塹壕からでてこちらにこようとしています、
また銃撃を始めるとあわてて塹壕にはいり、激しく応戦してきます、繰り返す事1時間、後ろの方で銃声が2発聞こえたので撤退したのです、
米兵は警戒して追いかけてきませんでした、仲間に合流すると6人は手一杯に食料を持っています、村へ引き返し、村長に食料を分け与えると、涙をながして、
喜び、明日米兵が押しかけるので今夜中にどこかに非難してしばらくしてから村へ戻るように言ったのです、
村長は乾燥した草を見せ、これはげがを治す薬草ですり潰して水をまぜ傷口に付けていると化膿しないですぐ治ると渡したのです、早速衛生兵に渡し二人の負傷者、
につけるよう命令し、このおかげで二人とも化膿せずギスがなおったのです、飯を食おうと米軍から調達したカンズメとパンを全員にくばり、一休みしたら出発する、
と言い渡したのです、
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