水色の恋7 翌日すぐそばにある51番札所の石手寺に行く事にしたのです、この寺は安養寺と言っていたのだが。この地域の城主河野息利の妻の産んだ子


水色の恋7


翌日すぐそばにある51番札所の石手寺に行く事にしたのです、この寺は安養寺と言っていたのだが。この地域の城主河野息利の妻の産んだ子

が生後三年たっても手を開かず安養寺の住職が祈祷したところやっと開いた手の中から小石が転がり落ちた、15歳で家督を継いだこの子供は

息方と名づけられ、


十二番札所焼山寺の麓で亡くなった衛門三郎の産まれかわりであると思われ、石は寺に納められ、いつしか「石手寺」と呼ばれるようになった

と伝えられる、入り口にある仁王門は国宝に指定されている、山門をくぐり、本殿におまいりをすませふと庭にある桜の木を見ると、見事な桜

の木であるが何か普通と違うなと思い


純一にねえ、あの桜の木なんかおかしいと思わないと問いかけると、純一はどこがおかしいのとその桜の木をまじまじと見て、あつと声をだし

よく気がついたね、なるほど普通は下の部分が太く段々小さくなつていくが、枝のある部分までの幹がまったく同じにみえ、よく見ると少し

下のほうが細い気がするのである、


ねえここの人にどうしてなか聴いてみようとゆうこが言うと、ここの寺のお坊さんが通りかかったので、あの~と呼び止めると、立ち止まり

なんでしょうかと尋ねるので、ここの桜の幹はどうして下の方が細いんですかと聞くと、よく気がつきましたね、そもそも桜の木は不思議な

木なんですよ、


普通の植物は葉っぱ出てやがて蕾みをつけ花が咲きますが、桜の木は冬の間に蕾みをつけ春になるとパッと咲きすぐ散ってしまいます、そして

青々とした葉っぱをつけるのです、普通の植物とはまったく逆ですね、昆虫は冬になる前に桜の木に卵を産みつけ、春になると孵化し、桜の

葉っぱを食べて成長するんですよ、桜の葉っぱで包む桜餅もこの時期の名物ですね、



桜の木は虫が好むため幹をかじられては大変なので硬い革で幹を包むため大きくなれずほとんど大きさは変わらないんだそうです、昔から

美人薄命と言うように、桜の木のあの春になってパッと咲いてパッと散る、もったいないと皆が思うんでしようね、ゆうこをみて、まるで

こちらのお嬢さんみたいですねと言ったのです、


お坊さんはそれではと回廊を歩いていったのです、純一がそうか~ゆうこちゃんは桜かと感心していると、それはほめ言葉なの、お坊さん

の話しによると上から下まで寸胴で虫がつきやすいと言っていたよ、私ってそんなに寸胴で虫がつきやすいのかなあ~、そうか~純一さん

はゆうこに取り付いた虫だねと笑うのて゜


また~ほめ言葉なんだから、素直に喜んでよと純一が言うので、ゆうこは、でも桜のあでやかさには誰も勝てないよと、こんどほほ紅を

ほんのり桜色に塗るよとにこにこ笑っていたのです、


そぱの茶店で葛湯をのみおだんごを食べていると、座っている長いすにリスがちょこんと飛びのり、ゆうこのだんごをくりくりした目で

まじましと見ているのです、だんごを差し出すとパッとつかみむしゃむしゃと食べたのです、食べ終わるとゆうこの手のひらに飛び乗り、

どこに持っていたのか紙切れを手に置くとパッと飛び上がり屋根づたいに森に帰っていったのです、


それを見ていた店の店員さんがリスよくみかけるけど警戒心が強くめったに人には近づかないんですよ、初めてですよ人からおだんごをもらい

食べるなんて、お嬢さんはよっぽど動物に好かれるんですねと感心しています、



くしゃくしゃの紙を広げるとそこにはお寺の卍のマークに小さなじで何か書いてあります、純一に見せると、これはお経だよ、意味は不動王

の事たね、たまたまリスがお寺の経典の切れ端を食べ物と間違ってもっていたのかなあ、おいしい食べ物を貰ったのでお礼に渡したのかも

大事に持つていれば厄除けになるかも、しかしゆうこちゃんは動物にも好かれるんだからすご~いと純一は感心してしまったのです、


それでは最後の香川の88番札所に出発しょうと純一が言い、駐車場に行き車にのり国道を香川方面へ進路をとり暫く走っていると、純一が

後ろを走っている紺色のセダンは昨日も後ろからついてきたなあ~、ヒョットして僕らの後をつけているのかもと言ったので、後ろを

振り返ろうとすると、後ろを見ないで感ずかれるといけないからと振り返るのを止めたのです、



後ろの二人ずれは夫婦を装った、香南信用金庫の理事の吉川とその愛人なのです、吉川は理事長の親戚で、この信用金庫の財務担当理事で

あり、影の金庫番なのです、死んだ鳥越伝蔵の息子茂は裏帳簿の存在を知っていた為それを持ち出したのではないかと疑っていたのです、


死んだと聞き、あわてて理事長に付いてきたところ、一緒に死んだ幸子の友達がゆうこと知り、何かを渡している可能性があるので後を

つけているのである、どこの金融機関も裏帳簿は存在するが、表ざたになれば大変なスキャンダルとなLり、金庫番の吉川は一番先に矢面に

たたされる立場にあったのです、


吉川は人格の面でも申し分ない金庫番なのだが、女好き、これはもう病気なのかもしれない、色んな女を好きになるがことごとく破局を

迎える不幸な人生なのです、しかし彼はこんどの愛人だけは絶対手放したくないので、どこへ行くにも、なにをするにも一緒に行動する

事にしているのです、


昨日から後をつけていて昨晩となりの部屋に宿をとり、集音器を壁にあて二人の会話を盗み聞きしたところ、USBメモリを持っているらしく、

ヒョットしたらその中に裏帳簿が記録されているのではないかと思っているのです、前の車を見て、後ろから車が走ってくれば、後ろ

を一回くらい振り返るのが普通だが、一回も振り返らない、気ずかれた可能性があるので次の交差点で脇にそれる事にしたのです、


後ろの車が左にまがったので純一があれ左に行ってしまったよ、気のせいか~とゆうこに話かけると、ううんちがうわ、気ずかれたと思って

わざと左に曲がったのかも、そのうち何処かでまた出会うよ、会ったらどうして後をつけるのか聞いてみるわ、さぞかしビックリするでしょう

ねとケラケラ笑ったのです、


しかし88番札所に行く途中で思いもよらない事がまちかまえていようとはこの二人は知るよしもありません、それは小さなトンネルの中で起

こった身の毛もよだつ恐ろしい出来事だったのです、















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