警察署に着くとこちらへと部屋に案内され、その中には二人の遺体が安置されていました、顔にかぶせた白い布を係官が取ると、そこには


水色の恋4


警察署に着くとこちらへと部屋に案内され、その中には二人の遺体が安置されていました、顔にかぶせた白い布を係官が取ると、そこには

変わりはてた幸子の顔が、白川幸子さんに間違いないですねと、係官が尋ね、間違いありませんと答えると、


こちらの遺体も確認してくださいともう一体の白い布を取ると、間違いなく彼氏である、これも間違いなく幸子の彼氏ですと答え、遺体に

線香をたむけ、手をあわせたのです、遺体安置室を出て応接室に案内され、イスに座ると、先ほどの男の一人が高知南署の石本です、


こちらは高知県警の塚田刑事ですと紹介し、管轄が高知南署なので私と県警の塚田刑事が担当します、早速ですが昨日お二人と別れたのは何時

ごろですかと聴かれたので、昨日の事をかいつまんで話したのです、


それではお二人は9時半ごろに、はりまや橋の料理屋、大黒屋を連れだって出たんですね、そして貴方は早川さんと近くのスナックに行き

12時頃まで飲んでいたのに間違いないですねと聞くので、私は何か疑われているんですかと尋ねると、いや事実を調べるのが私たちの仕事

なので気にしないでください、


本当に心中ですかと聞くと司法解剖しませんと、はっきりわかりませんが遺体の状況から死亡時刻は今日の1~2時の間だとおもわれます、また

遺留品は幸子さんのポケットに残っていたカード入れとホテルの予約票です、男性には何の遺留品もありません、付近を捜索していますが

遺書、バック等の遺留品は見つかっていません、


捜査本部は自殺、事故死、他殺の線で捜査する方針ですが、遺体に外傷がありませんから、多分溺死でしょう、二人の手首がお互いはなれ、

ばなれにならない為でしょうが、ひもできつく結びつけてありましたので自殺なのでしょうと話し、ところでこの男性の住所は知りませんか


と聞くので、幸子の彼氏なので詳しくしりませんが、昨日一緒だった早川さんと同じ会社らしいので、会社に聞けばわかると思います、と答え

たのです、会社を聞かれたので昨日貰った名刺を出すとお借りしますと言い他の刑事に聞き込みに行くように指示したのです、


しかし、もし自殺とすれば、どこからか飛び込むのが普通ですが、何の打撲の跡もないのが不思議ですね、幸子さんが何か悩んでいたとか、昨日

様子が変だったとか、心あたりありませんかと聞くので、2日間一緒にいましたが、まったく心あたりありませんと答えたのです、


石本が幸子さんのご両親が見えられましたので、遺体の確認をしてもらいます、しばらく待ってくださいと部屋を出ていったのです、もう一人

の塚田刑事が他に何か気になる事はありませんかと聞くので、一時半に着歴があった事を思い出し伝えると、携帯を貸してください、電話会社

にどこから発信したか携帯なら調べられるので調べてもらいますと、塚田も部屋を出ていったのです、


しばらくしてドアが開き石本が両親を伴って部屋に入ってきて、こちらが幸子さんと一緒に旅行していた橘ゆうこさんですと両親に紹介すると、

涙を一杯溜めた幸子のお母さんが、ゆうこさんですか、一昨日幸子から電話があって明後日には88札所におまいりして家に帰ると言っていたのに

こんな事になるなんてと泣きくずれたのです、


幸子のお父さんがみんなあの男のせいだ、だから付き合ってはいかんと言ったのに、親にかくれて付き合うからこんな事になるんだと興奮した

様子なので、石本がまあお座りくださいとイスを勧め、お父さんはお二人が付き合っ知らなかったんですかと聞くと、昔からあの家系と付き合う

とろくな事にならないんですと話し始めたのです、


あの男は鳥越茂といって隣町の香南信用金庫理事長、鳥越伝蔵の息子だよ、昔し悪くどい金貸しで儲けた金で信用金庫を設立しバブルにのり成長した

があいつの親父の貸しはがしにより何人かが自殺している、わたしの親戚もその中の一人なんだ、そんなところに嫁に出すわけにいかんからやめろ

と言っておいたのにと、悔しさに唇をかみしめたのです、


石本が遺体は司法解剖しますので、今日はこれでお引取りください、2~3日かかりますので終わりましたら、連絡しますので、あらためてご遺体を、

お引取りください、ホテルまでお送りします、ゆうこさんも一緒に送りますと、高知南署を後にしたのです、お母さんに私がいながら申し訳ありません

と言うと、貴方のせいではありませんよ、これがゆうこの運命だったのかしらと、目がしらを押さえ、慰める言葉もありませんでした、


ホテルに帰り、脱力感でベットに寝ころんでいると、携帯がなり見ると純一である、電話に出ると、刑事が会社に来て先輩と幸子さんの事を聞いて

ビックリしたよ、今ホテルの下にいるから降りてきてと言うので、ロビーに降りて行くと、純一がいたので、ほっとしたのか急に涙がとまらなく

なり、近づくと大変な目にあったねと彼は強く抱きしめたのです、


近くの個室の居酒屋に入り、警察での出来事を話し、絶対心中ではないわ、何か彼氏に異変がありそれに巻き込まれた気がしてならないの、貴方

は幸子の彼氏の鳥越さんの事を何かしらないのと聞くと、


先輩は2つ年上で、彼は本社の管理部監査室に所属して、2日前から四国営業所の内部監査にきていたらしいけど僕は営業だから何をしたかはよく

知らないんだと答えたのです、あるとすれば内部監査で何かを見つけたのかなあ~、しかし支店ならともかく営業所に殺人をおかしてまで隠さ

なければならないような大きな不正なんかあるとは思えないよ、


しかしどうして彼氏は幸子に高知に来ることを隠していたんだろうと言うと、いきなり電話して高知に来てることを言って脅かそうと思ったんでは

ないのと言ったのですが、ゆうこは納得いかないのです、純一のいうとおりだとすれば、その不正は本社もからんでいるのかもしれない、


私はゆうこと回る予定だった残りの51番札所、88番札所を回って幸子のお葬式に出席して大阪に帰るわ、司法解剖に2~3日かかるらしいから香川の

88番札所に着くころがお葬式だと思うわと、純一さんに頼みがあるんだけどどんな些細なことでもいいから、高知営業所の内部のこと


を調べてと言いいかかったが、そこに勤めている純一さんに頼むのはおかしいよねそんな事できるわけないよね、気にしないでと言うと、そんな事

ないよ、不正は不正だから出来る範囲で調べてみるよと言ったのです、


次の日ゆうこは高知を後にして愛媛の51番札所に向うことにしたのですが、その前に幸子が亡くなった砂浜に花を供えようと桂浜に向かったのです

が、ゆうこはそこでてがかりを掴むことになるのです、その為ゆうこにも魔の手がせまっていきます、




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る