消費税は上げるべきではないと思うんです

 完全に私的なことになって恐縮なんですが……

 わたくし書店員でなくなった現在も小売業に従事しているわけですけれど、今年のはじめくらいから状況がかなり変わったのですよね。


 あまりお話すると職場バレしてしまうおそれがあるため詳細は省きますが……

 さまざまな要因が重なり、地域でも下から数えたほうが早かった店舗が、上から数えたほうが早くなりました。


 一日の売り上げ(日商)が半年前の2倍を超える日も珍しくありません。

 単純に2倍忙しくなるって、とんでもないですよ。

 にもかかわらずかけられる人員は以前と同じなので負担がハンパなくてですね。

 愚痴が止まらなくなりそうなんですが……あまり書きすぎると本題と逸れるのでこのくらいといたしまして。



 そういえば、売り上げが一時的に倍くらいになって忙しくなった時期が書店員時代にもあったなあ……、とふと思い出しまして。


 それはいつだったかと申し上げますと。

 今から5年前。2014年の2月から3月にかけてです。


 勘のいい方ですと、これだけでいったいなぜこの時期に急に売り上げが騰がり忙しくなったか、お気づきのことと思います。



 そうです。消費税が8%になる前のいわゆる「駆け込み需要」です。



 増税の1カ月前くらいから駆け込み需要、ということでコミックを中心としたまとめ買いが相次ぎ、日商(1日の売り上げ)も一時的に倍近く跳ね上がったのです。


 その時に店長さんとお話したことで覚えているのが、書籍版『ハリー・ポッター』シリーズの新刊が発売した時のほうがもっとスゴかった、とおっしゃってたことですね。


 別の店舗ではありますが確かに新シリーズが出たタイミングごとにとんでもないことになったのは私も経験していますので、ほかのところだってそうだったのだろうことは想像に難くありませんでしたね。



 さて、話を令和となった2019年の今に移しますと。

 消費税がさらに上がり10%になることは既定路線のように話が進んでいるように感じられますし、実際そうなる可能性が高いでしょう。


 生活がけっして楽とは言いがたい庶民の立場からは当然として、書店業界への影響を考えても賛成しかねるのですよね。


 コミックなどの趣味嗜好の消費財はほんと増税となったときにわかりやすいくらいに影響を受けるんですよね。

 

 必需品ではないため家計支出を減らそうと考えたときに真っ先に削られてしまう。

 そして実際増税後の落ち込みは、私の想像している以上でした。


 このまま消費税が増税されてしまえば、ただでさえ苦しいといわれている書店業界へのトドメの一撃となりかねない。


 税率2桁というのは実際に払う額面上の負担以上に、心理的影響が大きいことが予想されます。

 今回も増税前はコミックス・書籍の売り上げは一時的に上向くことでしょう。

 ですがその後は、どんなに楽観視したとしても一時的に冷え込むことは不可避と考えなければなりません。


 もちろんこうした事態は業界の方々は百も承知ではあるでしょう。

 ですが、たとえ予測可能な危機であったとしても、それをすべての書店さんが乗り切れるかどうかは別問題です。

 最後に事実だけ述べさせていただきますと、私のいた書店の売り上げが増税前の水準を取り戻すことは最後までありませんでした。



 政治的なお話になってしまったこと、今回はどうかご容赦いただきたく思います。

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