『書店員X』さんの新たな挑戦

 当連載の冒頭で『書店員X』の話をいたしましたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?


 この『書店員X』は『文庫X』という、文庫の内容を秘密にしたまま中身が確認できないよう包装したうえで販売する、という型破りな手法で大きな話題を集めた書店員さんの本のタイトルなのですが……


 その方が所属しておられる『さわや書店フェザン店』(岩手県盛岡市)で、また新たな試みがなされているようです。



 それが『帯1(オビワン)グランプリ』と題された企画です。


 文庫本の『帯』(文庫の表紙下部分によく巻かれている宣伝を主にした紙)だけを見せて売る、というもののようです。


 『文庫X』からさらに一段階発展させたような内容ですね。


 お客さまは表紙などの情報がないまま、その「帯」に書かれた売り文句だけをもとに判断して買うというわけです。これは出版社さんやコピーライターさんの腕にかかってますね。その道のプロの方に頑張っていただきましょう(笑)



 また帯以外を覆い隠す黒い紙には、


「せっかく書店で買うんだもん。ネットじゃできない買い方をしようぜ!」


という文章が大きく白抜きで書かれています。


 Amazonさんなどネットでの買い方がいくらでもある時代に「あえて」書店さんに足を運ぶ人の購買力をくすぐる、見事なお手並みです。


 『文庫X』の時にも見られたように他店舗も追随していくような動きも起こっているようで、全国の書店さんを巻き込んだ大きな動きへと発展していくかもしれませんね。


 『りゅうおうのおしごと!』や某バーチャルライバーの特大POPで注目を集めたお店もしかり……


 「取次さんから配られた本を並べて売る」というだけの受身の姿勢ではなく、もっと主体的に「そこだけの魅力」を出すことがこの時代の書店に求められているのかもしれません。


 ただそれとはまったく別次元のレイヤーで、「売れ線もしっかり揃える」ことも同時に求められていることと思うので、非常に難しいですね……

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