電子書籍の売り上げが紙を上回る。

 お久しぶりです。エッセイやらなにやらぼちぼち更新しています。

 コンテスト? はははなんのことでしょうね? コンテスト参加するだけして更新止まるのが常態化しているのどうにかしたい。



 さてそれはさておき――さておいてはいけない気はするんですが。


 少し前ですが。コミックスの単行本売り上げで電子書籍と紙がはじめて逆転したというニュース(出版科学研究所様調べ:平成30年2月26日付の記事)に触れて衝撃を受けました。

 遠からずそんな日は来るんじゃないかとは思ってましたけれど予想以上に進行が早い……いや、むしろ誰もが予測できていた未来を前にして、ここまで紙の本がよくもったというべきなのかもしれません。



 しかしはじめて電子に追い抜かれたといっても、まだまだ紙の取扱量そのものは巨大です。


 衰退論なんてここ10年くらいずっと叫ばれていたのであって、そのようなものが叫ばれているうちはまだマシでしょう。


 本格的にヤバくなるとしたら、それは流通が維持できなくなった時です。

 書店業界よりもずっと配信の移行が顕著なCDもなんとか存続しているのですから、衰退衰退と言われていても業態そのものの消滅はしばらくないとは思うものの、今のうちから改革に踏み切らなければならないということは確実に言えるでしょうね。


 ……もっとも、こんなこと私なんぞに言われんでも耳にタコでしょうけれど。



 コミックスの売り上げは、紙だけを見ると大幅な下落を記録しているものの、電子売り上げを足せば微減にとどまっているというのが興味深いです。


 違法視聴サイトが幅をきかせているのも売り上げ低下に拍車をかけているとも言われており、そういうところへの対策の意味でも、電子分野の強化はもう不可避の流れであるように感じます。


 紙の本を売るところに身を置いていた立場としては複雑なものはありますが。

 私からしてみれば購入したマンガや書籍を読む時までわざわざスマホやPCを開きたくない、紙でめくるほうが気楽だ、という感覚があるのですが、そういう方いらっしゃらないですかね……?

 

 ネットだとどうしても電子派が多くなっちゃうのはわかるんですが、紙のコミックスないし書籍、雑誌も電子書籍もどれも全部売れる、というような理想は目指せないものなのかな、と……


 景気が上向けばもっと売れると思うんですけど、楽観視しすぎでしょうか。



 しかし、コミックス誌の売り上げの落ち込みは深刻で、ピーク時(1995年)の3割まで落ち込んでしまっているようです。


 一時は3つのコミックス誌を購読していた私としては、こちらのほうがより衝撃でした。


 出版不況といわれているものの大部分は、実を言うとこの「雑誌」の不振なんですよね。もちろんコミックスも書籍も減少してはいるんですけれど……減少幅が大きいのが雑誌です。


 2017年の雑誌売り上げは前年比10%以上下落しているとのことで、この下落幅にも驚かされました。


 ネットで情報を手に入れられる時代ではどうしても速報性で大きく穴を開けられてしまいますから、今後ますます厳しい状況となっていくでしょうね。



 しかし、かといって雑誌の役目が終わったのか、とまではまだ言えないのではないかと思います。


 というよりは、デジタル・ディバイドという観点から、電子媒体に触れられないご高齢の方などにとってますます不利になっていき、情報格差がさまざまな面で今以上に表面化しないかという懸念を抱かざるを得ないと言いますか。


 美容院さんなどの定期購読してくださっていた配達先などにとっては雑誌は必要だと思いますし、ご高齢の方にとってはまだまだ紙の媒体が主体で、それはおそらくそう簡単には変わらないでしょう。


 すでにコンビニに置いているえっちな本なんかにみられるように、今後紙媒体はより対象年齢高めの誌面になっていくのかな、というふうには感じますね。



 じゃあ若い層には雑誌はもう無理なのかというのもまだ早計かなと。ついこの間も「コンプティーク」誌が艦これサントラの付録をつけた結果売り切れが相次ぐなど、雑誌も売り方次第で売れるとは思うんですけど……


 しかし付録の内容次第でブレが出てしまいますし、そればかりにはなかなか頼れないでしょうから、出版社さんは毎度頭を悩ませているところでしょうね……実際特集している内容や付録により売り上げがかなり変化しているようですし。それは私が雑誌を担当していた頃からですけども……


 速報性で敵わないのならば、ネットよりも情報を整理してまとめて提供し、情報媒体としての信頼性をアピールしていくことが必要なのかもしれません。



 さて。話は変わりますが……


 一部で書店員さんのつぶやきを追っていると、書店でも電子書籍を売れるようにすればいいのでは、という意見がありました。


 私が書店員だった頃はそんなことは考えもしなかったのですが……

 もしかしたらPOSAカード(iTunesカードなどコンビニなどでバーコードをスキャンして代金を支払えば特定のサイト決済で使用できるようになるアレ)のようなものがぶら下がってて、お客さんはそれをレジで購入してスマホやPCにデータをダウンロードする、みたいな時代もくるのかな……と妄想したり……


 そうでなくとも、POPなどにQRコードなりをつけて「売り切れ時にはここを読み込めばすぐにダウンロードできる!」みたいなのがやがて始まるのかもしれないな……などと思ったりしました。


 書店業界にも今以上の技術革新が到来して、業態が大きく変わるなんてこともあるのかもしれませんね。

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