裏山

「……これ」

「ああ、そいつのだ」

「……そーゆーことだったのか」



「……まあ、形だけだけどな。どちらかといえば道しるべになればと思って、見晴らしのいいここに置いたんだ」

「道しるべ?」

「ああ、実際のところがはっきりしないし、万が一あいつが帰ってきた時のためにな」


「はっきりしないって、葬式は?」

「葬式はない。実際に遺体が見つかったわけじゃないみたいだから……僕も、あいつの家族も行方不明だと信じ探してるんだ。これも僕が勝手に形だけ作っただけだし。」


「そっか……」


「あいつの家族には詳しいことは何も聞けなかった。たいして親しくもなかった僕が急に聞くのも違うかなと思ったし」

「…………」


「さて、報告も終わったし行くか」


「……わかった」

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