僕と彼女。
「……なあ?」
「……今度は何?」
「何で僕なんかと付き合ってるの?」
「……どういう意味?」
「いやさ、自分で言うのもなんだけど、僕ってクズだろ?無職だし、取り柄ないし、小遣いで生活してるし、それでいて毎日遊び歩いてるし、自分で言ってて引くくらいクズじゃん?誰かに好かれるところなんて全くないわけだ?だからいつ捨てられても文句言えない身であって、どうせ捨てられるなら、そろそろ今後の身の振り方も考えないといけないなと、ふと思ってさ……」
「うん、確かにクズね……」
「うん、はっきり言われるとなかなかに傷つくな、これは……」
「でも、それでもいいところも沢山あるからこうして一緒にいるの……ちゃんと好きだし、私から捨てるなんて絶対ない。だから、自分なんか〜とか、自分をクズだ〜とか、言うのはやめて」
「……ごめん」
「ん、わかればいい……でもそうだな、具体的にどうして好きになったかって言ったら……覚えてる?」
「……うん?」
「昔、私って、家柄のせいでみんなから嫌われてたでしょ?」
「……覚えてない、昔からずっとみんなに好かれる人気者だったイメージしかない。」
「アホが、そりゃ、昔のあんたらみたいに表立って嫌われてはいなかったろうけど、小学校の時皆に頼られると思って委員長になっても、なんか避けられるし、中学では影で嫌がらせとかされるし、あの頃は今でも時々夢に見るくらい最低な気分だったのよ?」
「いやいや、あれは子供目ながらにもわかるくらいお前が美人だったから、みんな近寄りがたかったんだよ……嫌がらせも多分嫉妬」
「……っ‼︎そ……そんなことない‼︎絶対嫌われてたし‼︎高校の時なんか、靴箱の中に大量の髪の毛やら爪やら入った手紙なんて届いてた日には、怖くて眠れなかったもん‼︎」
「"もん"って……それは、随分と熱烈なアプローチなこったな。そんだけ好かれるとかマジ羨ましいわ、」
「どこがよ‼︎あれは絶対私を嫌ってるヤツの嫌がらせだわ‼︎」
「うん、そうだな、許せんな……(自分も何回かやったことはあるよな?……とは言えない)」
「とにかく‼︎そんな誰からも相手にされなかった私に、唯一手を出してきたのがあんただったの‼︎あれがどれだけ救いになったか、知らないでしょ⁉︎」
「手を出したって……(やばい、むしゃくしゃして八つ当たり的にこいつのスカートめくったことと、宿題忘れた時にこいつのノートパクって名前だけ自分のに書きなおして提出したことと、弁当忘れた時に勝手に鞄漁って弁当パクって全部食ったことと……その他諸々くらいしか覚えてねぇぞ……)」
「それよ‼︎……ちゃんと覚えててくれたんだ……」
「 そんなことがか⁉︎ただの嫌がらせにしか聞こえんが?」
「そんなことない‼︎……確かにちょっとビックリはしたけど、その後きっちり褒めてくれたし『かわいいパンツだな‼︎』一緒に居残り補修受けてくれたし(あの後結局先生にバレて、こいつは共犯扱いで補修受けさせられてた)、それまで食べてみたかったかったけどお弁当があるから食べられなかった購買のパン買ってくれたし(午後の授業中、誰かの腹の虫が暴れ回る音が教室中に響いて流石に悪い事したと反省した)……とにかく、あなたがどういおうと、私は嬉しかったの‼︎そういう優しいところが好きなのよ‼︎」
「そっ、そうか、ありがとう……(//照//)」
「うん、だから、いいの、あなたはそのままでいてくれたら、たとえあなたが周りにクズ呼ばわりされても、私だけはあなたの優しいところちゃんと知ってるから……」
「……わかった、そこまで言うなら、そうする」
「……まぁ、他の女に優しくしてたらキレて何するかわからないけど」
「……うん、ないと思うけど一応気をつけます。」
「……でさ?」
「何?(嫌な予感)」
「愛を……確かめたいの」
「……何して?」
「……デートしたい」
「お金ないから無理」
「私が全部出すから‼︎お願い‼︎外で私達のいちゃつきぶりを見せびらかしたいの‼︎」
「どういう趣味だよ……だいたい男が外で女の子にお金出してもらってる時の屈辱感知ららんだろ?」
「じゃあお金全部渡すから‼︎それならいいでしょ?」
「……まぁ(でもそれはそれで結構……)」
「よし!そうと決まればすぐ行こう!私お寿司食べに行きたい!」
「オッケー……ってまた寿司かい。この前行ったとこだろ?しかもお前あんま好きじゃないとか言ってたじゃねえか。いいのか?」
「あなたの好物だから、いいの‼︎」
「お……おぅ……」
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