第5話 外海からの接触
海軍の増強。それはある程度必要だと思うし、重要課題だと思う。この時代の文明、軍事レベルは俺の国から見て第一次世界大戦あたりだと思う。
「海軍の増強ですか」
「そうだ。陸軍はある程度増強されたし、あと驚異となり得るのは海だ。わかるだろ常夫」
「ええ、まあ。賛成ではありますがね」
「なら―――――」
「悪いけど、失礼するよ」
話始めようとしたそのとき、会議室の扉が開かれた。そこには国防軍総司令官の友紀がいた。友紀は話を始める。
「陛下、ルシ島沖で演習航行をしていた第一駆逐艦隊が国籍不明艦隊と交戦したとの報告があがりました。ですが………」
「?どうしたんだ?」
「敵艦は全て帆船だったと」
「………」
帆船ってことはまだ16~18世紀あたりか?19世紀には戦列艦が主力で、19世紀末には鋼鉄技術が発展して、装甲艦が主力になってくる。暁皇国の海軍は蒸気船を採用している。もしかしたら海賊とかで、技術レベルが低いのか?
銃器に関してはファルシウス王国の歩兵隊がフリントロック式(18世紀採用)の銃持ってたな。それを考えるとボルトアクション式や装甲艦なんて先進国しか所有していないんじゃないか?確かクロウレア連合は後進国の集まりだったはずだから、電気もないんじゃないだろうか。
「そうか、わかった。海戦の結果は?」
「不明艦6隻全て撃沈しました。増援はありません」
「こちらの被害はどうだね?」
「2隻が甲板にかすり傷やへこみが出来た程度だね」
やっぱり、ただの砲弾なんだろうな。帆船の大砲なんて装甲艦にダメージを与えられない。暁皇国の海軍は駆逐艦しかいないが、日清戦争か、日露戦争の技術に匹敵する。すでに防護巡洋艦や装甲巡洋艦、戦艦の建造も行っている。
「海軍の増強、確かに必要かもしれませんな。所属不明艦隊が後進国の海軍だとすれば、先進国の技術は我々と同等かもしれませんしな」
「僕からも、装甲の厚い戦闘車両の開発を急がせていただきたいですね」
「出来るだけ早く予算は回すようにする。まだ経済が安定してないから、確定は出来ないが」
しかしなぜ交戦したんだ?この世界で戦闘を行うのは賊軍か侵略時だけだ。6隻の帆船を持つ海賊がいるとは考えにくい。
「沿岸防衛を強化しろ。敵国かもしれん」
高梨外相にクロウレア連合各国への警戒を知らせてもらわないと。これから戦争とか洒落にならないぞ………。
俺は悪い予感を感じながら、高梨外相のもとへ歩きだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます