第3話 外交と脅威
あれから数ヶ月が過ぎた。いまだに帰ることも、方法もわからない。これから先も、ずっとここで暮らしていくんだろうか。
「考えてばかりじゃ、いけないな」
しばらく領土拡張と軍事拡張が進み、そこそこの国になった。まあ中堅国程度でしかないわけだが。
「そろそろ外交政策を考えないとな」
最近使者が来るようになった。警戒するものがほとんどだったが、1ヶ国だけ友好的な国があった。
それはガルシア王国という国で、2日後に会議を行うことになっている。
「山下、何でずっと黙ってるんだよ?」
山下は俺の向かいに座りながら一度も喋らずにいる。山下は暁皇国の執政だ。日本でいう総理大臣だ。
「陛下の許可がありませんので」
山下はそう言い、頭を下げた。なぜかいちいち俺の許可を求めてくる。その度に許可を出しているわけだが、面倒臭くなってきた。
「なら次からは普段通りにしてくれ」
「はい、分かりました。そろそろ皆集まるはずですよ」
ガチャ。扉が開かれ、4人が入ってくる。
「遅くなりまして申し訳ありません」
「いや、気にするな」
入って来たのは島津、高梨、糸川、猪俣だ。島津は内務大臣、高梨は外務大臣、糸川は国務大臣、猪俣は財務大臣だ。
「ではまず、陛下に国内の状態について報告します。併合した領土の方々は歓迎してくださりました。それに鉱山や森林資源も多々ありました」
「そうか」
「それと、聞いた話ですが、我が国の北にある国についてです。アッシリア帝国という国なのですが……」
「どうかしたのか?」
高梨は少し、間をおき、こちらの機嫌をうかがうように話した。
「…………我々のことを蛮族呼ばわりしました。新興の、ワイバーン兵さえいない低脳国家とは外交しないと…………」
どうやら、アッシリア帝国はそういう国らしい。まるでファンタジーの悪役みたいだ。にしても、蛮族ね。酷い言われようだな。
「そうか、今は争う必要はない。国を安定させよう」
今は抗議する必要はない。国交が結べなかった以上、関わる必要はない。
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