第2話 貴方とした。約束


僕が目を覚ますと、そこはとても静かな空間だった。

がらりと空いたカーテンから暖かい日差しが差し込んでくる。

ここは、どこだろう。

僕は、何時間ぐらい寝ていたんだろう。

僕が体を起こすと頭に痛みを感じた。

頭には、包帯が巻いてあり、少しだけ血が滲んでいる、僕は、どこでこんな傷を負ったのだろう。全く身に覚えがなかった。

いや!それ以前に僕は、過去の記憶が全く無かった。

「つよしくん お見舞いに来たよ!」

『え?お前は、誰だ?』

「何いってんの?つよしくん!私だよ!はるかだよ!付き合ってたじゃん!」

『俺、お前のことしらないぞ?』

「え、どうして!?幼稚園の時のことは?私に手を差し伸べてくれたよね?たくさん!話しかけてくれたよね?」

『すまん、わからねぇ』

「小学校の頃私にお前には、俺がいるって言ってくれたよね?泣いてる私に寄り添ってくれたじゃん!」

『すまん…』

「一緒にイルミネーション行ったよね?そこで沢山話したよね!幸せだったじゃん!」

『すまん。わからない。』

本当に全部忘れちゃったのか・・

つよしくんは、命の代わりに記憶を無くしてしまったのだ。

これまでの経験、辛い思い出、先ほど付き合った幸せの記憶そして、二人で見たイルミネーションも忘れてしまっている。

生きるために必要な記憶を忘れてしまったのだった。

彼は、手に乗り溶ける雪のように簡単に全てを忘れてしまったのだ。

「大丈夫だよ!つよしくん!私が助ける!絶対思い出させてあげるから!頑張ろ!」

『お、おう』

いつも助けてもらったんだ今度は、私が助けなきゃ。

「とりあえず体を治さなきゃね!」

そ、そうだな。

「じゃ!今日は、帰るね!記憶が戻ったら連絡してよ!絶対だよ!また明日ね。」

『あの女の子、俺にとってどんな存在だったんだ!なんであんなに俺に構うんだ。わからねぇ事がありすぎて辛い。』

「ただいまー!」

⌜あんたなにをしてんの!なんでつよしくんと一緒にいたのに、あなたが何もできてないの!しっかりしなさいよ!⌟

「私だって、わかってるよ!うるさいな!私が助ければよかったんでしょ!私が代わりになれば・・・」

初めて親に反抗した。いつもは、「うん」しか、言ったことの無い私だったが、この事だけは、口を開いてしまった。

親は、反抗した私を見て離れていった。

私は、思ってることを、言ったつもりだが、なぜか、心のどこかにモヤッとするものが、出来てしまった。なぜだろう。また私は、一人になったように感じる。

何も無い部屋の、角にポツンと置いてあるボールのように、私は、一人に思えた。

・・・あれ?私確か、前につよしくんに、何も無い部屋のボールのようになっちゃった、と言うと、イイじゃん!自由で広い空間を独り占めってことだろ!いずれみんな羨ましいと思って仲間増えると思うぜ!っと言われた気がする。「よし!頑張らなくちゃ!」

(次の日)

病院につき、私はつよしくんの部屋に行った。『よ!はるか!お見舞いありがとな!』

「…… えー!!治ったの?ねぇ!治ったの?それなら、はやくいってよー!馬鹿!」

私は、とても喜んだ。つよしくんがやっと私のことを思い出してくれた!

『ごめんな』

「ん?」

『俺治ってないよ!昨日思い出そうと、たくさん考えたけど無理だったんだ。俺の記憶は、まだまだ治りそうにないな。けどさ俺は、諦めないよ!だからさ、頼む!一緒に俺の記憶を探してくれ!』

「つよしくんの馬鹿!当たり前じゃん!昨日も言ったでしょ!私は、つよしくんの、味方だって!」

つよしくんは、笑顔で『そうだったな』

『はるか、不思議だな、記憶なくても分かることが1つあるよ。』

「なに?」

『お前のことが、好きだったってことだよ。』

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君と見たあの日の出来事 ガンバ @ganba634

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