第3話「誤解」
私はなんでことをしてしまったんだろう。凛と颯希を怒らせてしまった。でも私が疑ってしまうのもしょうがないと、罪悪感をまぎわらすように自分に言い聞かせた。だが何を思っても凛と颯希が気がかりでしかたない。あのことを知っているのは私と冬咲くんと凛と颯希。凛と颯希が違うなら冬咲くんしかいない。もし冬咲くんが犯人だったらどうしようと思いながら一日中考えていた。翌日、学校に着くと冬咲くんがいた。私は声をかけようとそばへよろうとした。すると、冬咲くんの友達が先に話しかけてしまった。あきらめようとそばを離れようとしたその時、信じられない話が聞こえてきた。
「なぁ、冬咲。あの嘘告どうなったんだ?」
と、はなしていた。冬咲くんは、
「あぁ、春野のことか。すっかり騙されてたぜ。そんで話を広めたらびびって逃げたしな。」
と、笑いながら言っていた。
自分の愚かさに気づいた。なぜ何の疑いもなく凛と颯希を疑ってしまったんだろう。そう思うと涙が止まらなかった。
昼休み、私は謝ろうと思い凛と颯希を探した。屋上でサボっていたという情報をきき、屋上へ行った。
「うたがってごめんなさい。」
二人を見た瞬間涙が出てすぐに口が開いていた。
「ずっと一緒にいたのに、疑ってしまった。ごめん。ごめん。」
もう私は立っているのも限界で今にも泣き崩れそうだった。二人は黙って私を見ていた。無表情だった二人の顔が笑顔に変わった。
「そんなことはもういい。お前を泣かせるまで傷つけさせて、悩ませた方がつらい。お前と口を聞かねーのもな。」
颯希も凛の言葉と同意見のようにうなづいていた。誤解がとけて安心しているような顔だった。だが、この時すでに私の恋の歯車は大きく動こうとしていた。そんなことを知らない私たちはのんきに笑っていることしかできなかった。
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