第2話「信頼」
「僕と付き合ってください!」
と、告白されて嫌だと思う人はいるのだろうか。しかも、初めて告白された側にとっては嫌気どころか嬉しいとしか思えない。そんなことを考える暇もないだろう。そんな私は後先全く考えずに速攻で答えてしまっていた。
「いいよ!よろしくおねがいします。」
間違いに気づいたのは凛と颯希にいわれてからだった。
「楓。冷静に考えろ。お前あいつの事なんも知らねーだろ!俺は考え直すことを進める。颯希は?」
「僕も同感だね。知らない子と付き合うのは良くないよ。ね?考え直そ?」
私も分かってはいるけれど、なんてったって初の彼氏なのだ。これからすきになってもらえばいい。
「いや!斗真くんと付き合う!これから斗真くんのことしっていけばいいじゃん。」
凛と颯希はぎょっとした目で私を見てくる。この二人が何を考えているのかよかからなかった。
翌日、学校へ行くとみんながニヤニヤした顔で私を見てくる。どうしたことかと思いながらも教室に言った。みんながニヤニヤしていた理由はすぐにわかった。教室のドアを開けると、黒板には相合傘が書かれ、そこには冬咲斗真と春野楓はデキてる、と書かれていた。私は恥ずかしくなり教室をでた。昨日の河川敷には同じ学校の子はひとりもいなかったのになぜかみんな知っていた。あのことを知ってるのは冬咲くんとあとは…そう考えるうちに答えにたどり着いた気がした。家に着くと凛たちが先に家に帰っていた。私は思わず、
「あんたたちがやったんでしょ。冬咲くん以外に知ってる人といえば、あんたたちしかいないもん。考え直せってずっと言ってたしね。じゃましないでよ。」
と、怒鳴ってしまった。すると、凛と颯希が
「なんで俺達が疑われんだよ。どう考えても怪しいのは冬咲じゃねーか。」
「そうだよ。他に誰か見たのかもしれないじゃん。ていうかさ、付き合ってんだから別に起こることないじゃん。」
私は図星だった。だから余計に怒ってしまった。
「どうせあんたたちだもん。私は何言われたって信じないから。」
というと、凛も颯希も悲しそうな顔をしてこちらを見た。
「ガキの頃からずっと一緒にいる俺たちを信じず昨日からのやつを信じんのか。」
「僕達信頼しあってるって思ってたけどこんなに信じてもらえてなかったんだ。」
と言って、凛も颯希も帰ってしまった。私は泣きたい気持ちでいっぱいだった。幼い頃からの付き合いの凛と颯希を信じず、冬咲くんを信じてしまい凛たちを傷つけてしまったことに対して自分がとても憎かった。
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