第23話

-ある日の午後


今日は通院で病院に来ている。

今日はタイミングよく学校が休校だった。


「じゃあ、次からは1ヶ月に1回に変わるからね。」

「はーい。」


さっきからつまづいたりする。


-病室


「有紀さん、こんにちは。」

「麗愛那ちゃん、こんにちは。

どうしたの?様子が変に思えるけど。」

「さっきからつまづいたり、フラフラするんです。」

「大丈夫?座っとき。

先生呼んでもらうから。」


その時、体の力が一瞬で抜けたように床に倒れた。

頭に激痛が走った。


-3週間後


「んっ...。」

「麗愛那?」

「お母さん、優斗...。」

「麗愛那ちゃん、起きたかな?」

「あの...。」

「私は麗愛那ちゃんの主治医、藤川です。

今回の場合は担当科が変わるからね。」

「そうなんですか。」

「起きてみないとどれくらいの障害が残るかわからないけど、言語障害はないみたいだね。」

「そうですか。」

「あとは下半身の麻痺があるかどうか見るね。

どう?」

「薄っすらしか感じない...。」

「麻痺はあるかぁ。

でもリハビリしたら歩けるようになるから。」

「はい。」

「麗愛那ちゃん!!」

「有紀さん...。」

「大丈夫?3週間も起きなかったし。」

「3週間も?」

「そうよ、心配したんだから。」

「有紀さんが大変な時に迷惑かけてごめんなさい。」

「いいのよ、何もなかったら。」

「でも3週間経って、下半身の麻痺だけなのは奇跡同然よ。

ドラマとかで見たことあるかな?

高次脳機能障害。

重症だとかなりの後遺症が残るの。

でもよかったわ。

もうすぐいつもの先生もいらっしゃるし、今日はゆっくり休み?

明日から頑張っていこ。」

「はい。」

「じゃあ、また明日ね。」

「麗愛那。」

「先生。」

「倒れたって聞いてビックリしたよ。

前々から言ってた血栓絡みの脳梗塞なの。」

「脳梗塞?」

「そう、多分手術した部分に血栓が出来て突然、脳の血管に飛んだことからこうなったと思う。」

「私、歩けるようになる?」

「まだ早期だったから歩けるようになる可能性は十分にあるよ。」

「よかったぁ。」

「それと大事な話があるの。」

「なに?」

「お母様がいらっしゃるから言うけど、手術したでしょ?

心臓の中に小さい機械が入ってるの。

その関係で今後は治療費とか安くなる身体障害者手帳の申請を勧めてるの。」

「身体障害者?」

「そう。」

「嫌...。」

「え?」

「今は何も話したくない。」

「そっか、じゃあお母様に話しとくね。」

「麗愛那...。」

「麗愛那ちゃん、大丈夫?」

「この先がわかんないよ...。」

「麗愛那、お前はいつも迷惑かけたくないって思ってるだろ。」

「そうだよ。」

「前も言っただろ、頼ってくれって。

1人で溜め込んだら余計にしんどいだろ。」

「ちょっと1人にさせて。」

「わかった、1回気持ちを落ち着かせたほうがいいよな。」

「ごめん。」


やっとしんどいことから抜け出せたと思ったのに。

次は違う病気ってもう嫌だよ...。

もうわかんない。

気持ちを落ち着かせたいのに涙が出てくる。


その時、涙が出てたから何も思わなかったけど機械が反応してた。


「麗愛那ちゃん、大丈夫?

ゆっくり呼吸したら大丈夫だから。」

「はぁ、ごめんなさい。」

「何ともないならよかった。

過呼吸起こしちゃったみたいだけど。」

「ちょっとパニックになっちゃって。」

「いきなり色んなことを言われたらパニックになるよね。

ゆっくりでいいから自分がどうしたいか納得する形を決めたらいいんだよ。」

「うん。」


私はその一言で気持ちが軽くなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る