第22話

-翌日の午後


「麗愛那、行くぞー。」

「おまたせ。」


今日は久しぶりの休日。

だから今日は2人で病院に行く。


「有紀さん、あれから大丈夫?」

「うん、元気にしとる。」

「よかった。」


-病室


「有紀さん、こんにちは。」

「こんにちは、麗愛那ちゃん。」

「調子どうですか?」

「何ともないよ。」

「よかった。」

「あのね、回復のペースが早いから取っても問題ない管は朝に取れたの。」

「よかったじゃないですか!」

「これで外に行ける。」

「ですね。」

「有紀ちゃん、お昼どうぞ。」

「ありがとうございます。」

「3人とも、あとで中庭行くなら車いす持ってくるわね。」

「ありがとうございます。」

「姉ちゃん、お茶買ってくる。」

「OK。」

「麗愛那ちゃん、お昼ご飯食べた?」

「食べましたよ。」

「じゃあ、部屋にいるのも退屈だからあとで外に行こっか。」

「そうですね。」

「ご馳走様でした。

優斗、手伝ってもらうから呼んできて。」

「わかった。」

「これ、持っていきましょうか?」

「いい?ありがとう。」

「姉ちゃん。」

「有紀ちゃん、中と外の寒暖差あるかもわからんから上着羽織ったほうがいいわ。」

「はい。」

「車いす、固定してるからゆっくり移動してね。」

「よし、OKです。」

「OK、じゃあ機械とか注意していってらっしゃい。」

「行ってきます。」


-中庭


「ちょっと寒いね。」

「秋半ばだからだいぶ寒くなりましたよ。」

「ずっと外に出てなかったから景色、変わってる。」

「何か、暖かい物いりますか?」

「大丈夫、ありがと。」

「いえ。」

「麗愛那ちゃんがリハビリを始めて2日後だったかな?

最後会った時から全然、会ってなかったでしょ?

聞いた話なんだけど、急に容態が急変したんだって。

そこまでは記憶してるんだけど、意識不明になってそこから気づいたら集中治療室にいたの。」

「わかります。

私も学校で倒れて気がついた時には病院だったんです。

その間の記憶ってわかんないですよね。」

「そうね、何か私なら気になっちゃう(笑)」

「気になるんですか?

聞いたら怖くなりそうです。

私、手術室のある3階にエレベーターが止まっただけで軽い過呼吸を起こすし...。」

「怖い気持ちって覚えちゃうほうなんだね。」

「ですね。」

「不思議にならない?

気がついた時には手術が終わってて、何時間も経過してるって。」

「不思議です、麻酔って。」

「だね。」

「有紀さん、有紀さんの夢って何ですか?」

「私の夢?」

「はい。」

「私の夢ね、今はないの。」

「え?」

「この病気になって、どうすればいいのかわからないの。」

「何か聞いてしまってすいません。」

「いいのよ。」

「私は自分の病気を皆に知ってもらおうと思ってるんです。」

「それは1番いいと思う。

麗愛那ちゃんの夢は何なの?」

「私は日本はもちろん、世界で活躍できるようなダンサーになることです。」

「じゃあ、私が1番目のファンね。」

「はい!」

「私も頑張らなきゃね。」

「ですね。」


それから数日後のことだった。

ある悲劇が起こったのは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る