第21話

-翌日


「あ、おはよー。」

「りり、おはよ。」

「今日、5時間授業やで。」

「そうなん?

ラッキー!」

「でも、体育あるけどせえへんよな?」

「ん?

せえへんよ、まだ運動したらあかんし。」

「昨日、何してたん?」

「昨日はね、病院が終わった後にあの仲良しの看護師さんとホテルでスイーツバイキング行ってたの。」

「え、いいなぁ!」

「食べ放題だから食べすぎちゃって(笑)」

「私も行きたかった...。」

「りりは学校やったでしょ。」

「そうだけど...。」

「食べ放題3000円だよー。」

「高っ!」

「でしょ(笑)」


それから放課後のことだった。


「あれ?メールきてる。」


[麗愛那ちゃん、有紀ちゃんに伝えたよ。

学校終わってからでも大丈夫だからね。]


「どうしたの?」

「優斗のお姉さん、一般病棟に戻ったから来ても大丈夫だっていうメール。」

「たぶん、優斗くんも病院にいると思うよ。」

「じゃあ行ってくる。」

「気を付けてね。」

「うん、わかってるよ。

まだ早く歩けないし。」


-病院


「麗愛那。」

「優斗、有紀さんは?」

「さっき起きた。」

「そうなんだ。」

「案内するよ。」

「ありがと。」


-病室


「個室でよかったね。」

「何か、戻る時に個室しか空いてなかったって。」

「そうなんだ。」

「姉貴、麗愛那を連れてきたぞ。」

「麗愛那ちゃん。」

「手術、お疲れ様でした。」

「ありがとう。

看護師さんから話聞いたわ。」

「そうですか。」

「もう大丈夫だからね。」

「はい。」

「麗愛那ちゃん、リハビリとか頑張ってる?」

「まだゆっくりしか歩けないですけどね。」

「頑張ってる証拠だよ。

私もこれから頑張らなきゃね。」

「ですね。」

「有紀ちゃん。」

「あ、先生。」

「お取込み中だった?」

「いえ。」

「初めまして。」

「あなたが麗愛那ちゃんだよね?

同じ科だから知ってるよ。」

「そうなんですか。」

「有紀ちゃん、体で痛いとこない?」

「全身痛いです。」

「体勢変えるか体を起こす?」

「起きます。」

「じゃあ、ベッド起こすね。」

「ありがとうございます。」

「まだマスクはつけといてね。」

「わかりました。」

「中庭に行くのは最低限、取らなきゃいけない管が取れてからね。」

「はい。」

「じゃあ、何かあったら呼んでね。」

「はい。」

「有紀さん、何かいる物ありますか?」

「水が飲みたいから買ってきてもらえると嬉しい。」

「わかりました。」

「姉ちゃん、俺1回学校行ってくる。」

「わかったわ。」

「優斗、どこ行くの?」

「ちょっと学校行ってくる。」

「わかった。」

「戻ってくるから姉ちゃんよろしく。」

「うん。」

「じゃあ。」

「有紀さん、買ってきました。」

「ありがとう。」

「有紀さん、退院したら遊びましょうね?」

「もちろんよ(笑)」

「私、有紀さんに伝えたいことがあるんです。」

「なに?」

「私が入院・手術を乗り越えることが出来たのは有紀さんがいたからなんです。

今まで伝えることが出来なかったんですけど。」

「初めて麗愛那ちゃんを見かけた時、寂しそうにしてるのを見て入院生活だけでも辛いはずなのに余計に辛い思いをさせちゃいけないって思ったの。」

「有紀さん...。」

「私も一人だったし、話す相手が欲しかったのもあるけど。」

「そうだったんですね。」

「楽しいって言っていいかわかんないけど、麗愛那ちゃんと会ってたらこうやって手術を乗り越えたし。」

「はい。」

「ありがとう。」

「私が気持ちを伝えに来たのに有紀さんからも言われるなんて(笑)」

「ふふっ(笑)

もう外が暗くなってるから家に帰ったほうがいいわ。」

「ほんとだ、じゃあまた明日も来ます。」

「気をつけてね。」

「はい。」

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