第9話

-翌朝


「麗愛那ちゃん、おはよー。」

「おはー。」

「今日は何もすることないからね。」

「自由?」

「そうだけど、無茶はしないでね?」

「はーい。」

「じゃあ、食堂に朝ご飯食べに行っといで。」

「はーい。

検査したことめっちゃ痛い!」

「しばらくは痛いから、ゆっくり歩いてな?」

「うん。」


-30分後


「コンビニ行ってくるー。」

「はーい。」


-コンビニ


「2人が来るなら何かお菓子でも買っとこう。」


-20分後


「ただいまー。」

「おかえりー。」

「今日あの2人、16時くらいに来るって言ってた。」

「はーい。」


-病室


「あー、やっぱり暇やー。

動画でも見よ。」


-3時間後


「え、もう12時?」

「麗愛那ちゃん、お昼ご飯食べといで。

もう12時よ。」

「はーい。」


-食堂


「今日のお昼ご飯、オムライスや。」

「あら、麗愛那ちゃん。」

「あ、有紀さん。

こんにちは。」


この人は同じ病棟に入院している大学1年の先輩、有紀さん。

彼女は特発性拡張型心筋症という病気だ。


「昨日は検査お疲れ様。」

「ありがとうございます。

今日は調子いいんですか?」

「うん。

麗愛那ちゃんは調子どう?」

「調子いいですよ。

でも検査した部分の右足が痛いんですよ。」

「そうよね、歩くと痛いよね。」

「そうなんです、足を引きずる感じに。」

「そうなのね、いつ手術するとか決まるの?」

「何か聞いたら、この検査次第らしいです。」

「そうなんだ。」

「はい。」

「怖い?」

「ちょっと...。」

「大丈夫だよ。」

「はい...。」

「お昼、1人?」

「夕方には友達が来てくれます。」

「それまで、一緒にいてくれない?」

「もちろんです。」


-病室


「有紀さん、有紀さんの病気はどうなるんですか?」

「私の病気はね、もう心臓移植しか助かる道はないんだって。」

「そんな...。」

「でもね、大丈夫だよ。

見つかると信じればね。」

「私なんて手術するだけで治るのに、有紀さんは心臓移植でしょ。」

「そうだけどね、それを責めるのはダメだよ。

普通の手術だけで治るのはいいことでしょ?

私は移植もあるから大変だけど、私は大丈夫。」

「そうですか...。

何か変な話をして、すいません。」

「大丈夫だよ。

そうだ、勉強でわからないとこがあったら教えてあげる!」

「ありがとうございます!」


-2時間後


「じゃあ、今日は部屋に戻ります。」

「またね。」


-病室


「2人が来るまで時間があるし、テレビでも見とこ。」


-午後4時


「麗愛那、入るよ。」

「りり、優斗。」

「どうしたの?」

「中庭に行こ?

2人の為にお菓子も買ったし。」

「いいけど。」


-中庭


「麗愛那、暗い顔してたけどどうした?」

「最近、同じ病棟で知り合った人がいるの。

その人は特発性拡張型心筋症なの。

心臓移植しか助かる道がないって言ってた。」

「麗愛那...。」

「私はさぁ普通の手術で生きれるんでしょ?

でもその人は心臓移植しなきゃ助からないのが本当に悔しいの。」

「麗愛那、その人...。」

「へっ?」

「俺の姉ちゃん。」

「えっ?」

「大学1年だろ?

俺の姉ちゃんだよ。」

「うそでしょ...。」

「俺の姉ちゃん、あの性格だから大丈夫って言ってるんだろ?」

「うん。」

「少しは俺らを頼ってほしいのに。」

「有紀さん...。」

「麗愛那、姉ちゃんに言ってくれ。

少しは頼ってほしいんだって。」

「うん...。」

「ありがと。」

「何かしんみりな話してごめんね。」

「いいのよ。」

「お菓子食べよ。」


-1時間後


「麗愛那、部屋に戻ろ?」

「うん。」


-病室


「外に行くだけで疲れた。」

「そんなには歩いてないけどね(笑)」

「息切れ、酷くなってきたから、横になっていい?」

「いいよ。」

「また久々にキツい症状が、出てきた。」

「誰か呼ぼうか?」

「横になってたら大丈夫。」

「わかった。」

「しばらくさぁ、無症状だったのにさ(笑)」

「確かに。」


私は眠たかったのか寝てしまった。


-1時間後


「麗愛那、起きた?」

「寝てた?」

「ガッツリ寝てた(笑)」

「寝るつもりなかったのに(笑)」

「息切れとか、治まった?」

「うん。」

「そういや、麗愛那が寝てる時に先生が来てたよ。」

「え、マジ?」

「夜にまた来るって。」

「わかった。」


-その夜


「麗愛那、入るよ。」

「先生。」

「夕方行ったけど寝てたから今、来させてもらったよ。」

「眠たくなっちゃって。」

「2人から聞いたけど、今は呼吸大丈夫?」

「うん、寝てたら落ち着いた。」

「それでね、明日朝に昨日の検査結果を言いに来るね。」

「うん。」

「もう寝なさい。」

「おやすみ。」

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