白夜の薔薇21 舞は丸山町に着くと花月という老舗の旅館へ案内ました、ノレンをくぐると着物を着た若い女性が、


白夜の薔薇21


舞は丸山町に着くと花月という老舗の旅館へ案内ました、ノレンをくぐると着物を着た若い女性が、

あら舞ちゃんいらっしゃいと挨拶しました、この人は私の友達で奈々ちゃんだよ、こちらがここの

若女将で私の友達なのと紹介したのです、


若女将はいつもの部屋ね、と言うとこちらへどうぞと奥の部屋へ案内しました、その部屋は回廊の

端にあり、閑静な場所で障子を開けると目の前は庭園になっており、とても心が和む部屋でした


そこには座布団が二つあり、舞は奈々に上座に座るよううながし、自分は下座に座り、

幕末に奈々の座っている場所に坂本竜馬、私が座っている場所に西郷隆盛が座り酒を飲みながら

この国のありかたについて熱く語りあつていたんだよ


竜馬が西郷さんに上座に座るように勧めると、西郷さんは坂本せんせ(先生)の知恵のおかげでわが

薩摩藩は助かっておりもうす、どうぞ上座に座ってたもんせ、といつも言ってたそうなの


ある時西郷さんが日本国を外国に負けない強い国にする為には今の徳川幕府では無理なので

長州(山口)と手を結びたいが、薩摩は嫌われているので長州人は話しに乗ってこない

どうすればいいかを尋ねると


商売で仲良くなればいいじやないかと言うので西郷さんが目をまるくしてキョトンとしていると

今長州が一番欲しがっているのは、武器、弾薬である、禁門の変いらい、長州は朝敵とされ

外国から武器、弾薬を買う事はできないが、肥沃の土地が多い為米は沢山取れる


薩摩は白砂大地が多い為、米が取れず毎年食料に困っている、薩摩はサトウキビが沢山とれ砂糖

を作り京、大阪で商いにて儲けた金があり武器、弾薬は外国から沢山買える


薩摩は外国から武器を買い長州に売る、長州はその代金として米を薩摩にわたせば商売で仲良く

なり、やがて本物の仲良しになるよと言ったそうなの

しかし朝敵になっている、長州に武器、弾薬を渡せば、薩摩が朝敵にされかねない、と西郷さん

が頭をかくと


竜馬はだから私が薩摩の変わりに外国から武器、弾薬を買い、長州に売り、長州は米で払って

もらい、薩摩に渡せば問題ないよと言うのでなるほどと感心したそうなの、後の薩長同盟が成立

し明治維新へと繋がる話はここが起点なのよと言ったのです、


ここに座っているとなんか歴史を感じるでしようとはしゃいでいる、舞を見ていて心が洗われる

思いがしたのです、


当時この旅館の下働きにお慶と言う下働きの女性がいたの、竜馬は気に入って一人の時はいつも

部屋によび、酒の相手をさせていたのよ、ある時お慶が金持ちになりたいと竜馬に言うと


これからは外国との商いだよ、日本に沢山あって外国に無いものを売ればあっと言う間に

金持ちになれると言ったそうなの


お慶がそれは何かと聞くと日本茶だよ、まず上海に持っていって売れば、あっと言う間に儲かる

よ、こんど上海に連れて行ってやるよ、行く勇気があるかなとお慶にきいた


当時女性が外国に行くなんて考えられない事だったのだが、お慶も竜馬の話しを何回も聞いて

いたので外国が身近に感じられ行く決心をしたんだよ、竜馬はグラバーを始め知り合いの商人

に紹介し、


お慶を上海に密航させた、当時の上海は外国人でぎわっていて、お慶はみるもの全てに感激し、

胸一杯に夢と希望を取り込み長崎にもどり竜馬に相談すると、ポンと50両の金をわたし、


あげるわけではないよ、お慶が儲かったら返しなさい、出世払いでいいよと言ったそうなの

こんな大金返せなかったらどうしょうとお慶が言うと、まだ何もやっていないのに


先の事を考えてはだめだよ、その時考えればいいんだから、どんなになってもあきらめるな

必ずうまく行く方法があるもんだと諭したそうなの


それからお慶は日本人で初めて外国に日本茶を輸出し幕末に大儲けをし豪商になりそのお金で、

幕末に多くの若者を援助し、その者たちが明治維新の原動力となったんだよ、


のちに竜馬が嵐で船と、積荷を全てなくし、無一文になり、海援隊の隊士たち給金(給料)

も払えなくなった時、お慶が船を買い竜馬にプレゼントしたの、竜馬は窮地を切り抜け

幕末を駆け抜けるんだよ、これはもっと後のことなんだけど


久しぶりに長崎に帰ってきて花月のこの部屋で一人で飲んでいると、そこの襖がひらき

お酒を持ってきましたと、女中が入ってきた、女中にしてはみなりが整っているいる


ので良く見ると、お慶である、先生お帰りなさい、今日は昔にかえって、私を相手に

飲んでください、さあ熱いのを一献と言って酌をしたのよ


竜馬はこれはこれは大浦屋の女将にお酌をしてもらうとはと恐縮すると、先生お慶と呼んで

下さい、今自分があるのは先生のおかげですよ、実は失敗したら、お金返せないから


先生にこの体で勘弁してもらおうと思った事が何回もあったんですよ、そのたびに先生が言った

、あきらめるな、何かいい方法があるはずだよ、との言葉が頭にこびりついて、


しばらく間をおくとうまくいく方法が見つかるから不思議ですね、でも失敗して先生に抱かれた

ほうがよかったかも、と日本酒を湯のみになみなみ注ぎ飲み干したのです、


竜馬は、はははは、僕もお慶がこんなになるとは夢にも思っていなかったんだよ、僕のおかげ

ではなく、お慶に才覚があったんだよ、これでお慶は抱けないのかな残念だよ、さあもう一杯

天下の坂本竜馬の返杯だよとお慶に、酌をしたのよ、



その時襖があいて、若女将が部屋に入ってきて、舞ちゃんは歴史に詳しいでしょう、でも竜馬が

そこに何時も座っていたのは本当なんですよ、奈々さんが座っている後ろは隠し扉になっていて


そこの掛け軸の紐を引くとこの庭の灯篭の後ろに出ることが出来るんですよ、危険がせまった時

に逃げられるようなっているんですよと話し、もう直ぐ夕食のしたくが出来ますので、

お風呂でもあびて来てください、なかなかいい風呂ですよと手ぬぐいを渡したのです。








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