白夜の薔薇17 暫らくして大貫から李紅将軍が高杉に会いたい旨の連絡があった、高杉に依存はないが、今は先方に出かける


白夜の薔薇17


暫らくして大貫から李紅将軍が高杉に会いたい旨の連絡があった、高杉に依存はないが、今は先方に出かける

余裕がない事を伝えると、大貫は李紅将軍が高杉のもとに出向くと言っており、実は今横浜に来ていると

言った、ビックリして公安に知れれば大変な事になるのではと話すと、


全ては前総理の計らいで、日本との友好関係を結ぶ為の事前協議に来たとの事である、それでは目立たない

自分の別邸にきてもらう事にし、高杉は華に連絡を入れ横浜の一緒に別邸へ向かった。



途中、華、に恋人の仇がとれてよかったねと話しかけると、ずっと仇を討ちたいと思っていたけど、願いが

かなっても健一が戻ってくるわけではないし、ただ空しさだけが残ったみたいと、ため息をついた。


願いがかなってホットしたので心が空っぽに、なったみたいな気がしているだけだよ、次の恋人を見つければ

すっかり忘れるさと高杉が笑うと、それでは高杉さんが恋人になってくれる、と華が言った、高杉がいいよと

軽返事をすると、でも別邸の世話をしている綾乃さんに悪いしと高杉の顔を見ると、高杉はう~んそれは困ったと

頭をかいている


別邸に着きしばらくすると、大貫が李紅将軍を案内して表の木戸から入ってきた、内閣情報室の鈴木と奈々が

警護役として付き添っている、奥座敷に案内し、わざわざご足労ありがとうございますと挨拶すると流暢な

日本語で、この前は兄さんにひどい目にあいましたねと言ったので、まさか兄弟とは知らず、失礼しましたと

手を差しだし握手をしたのです。


どうしてそんなに日本語が上手いのか聞くと、李紅将軍は母は高杉のお父さんがよっぽど好きだったらしく

お父さんの言葉である日本語を教えたのです、お父さんは日本人だから、会った時、困らないように、

日本語だけは喋れるようになるんですよ、といつも言っていました、


戦後高杉のお父さんが亡くなった事を聞いて、母はショックの為、暫くは放心状態で、何も手につかない

らしく、家に引きこもっていたのです。


そんなある日、李紅将軍を前にして、自分の家系と日本の係わり合いを話してくれたのです、


それによると昔、豊臣秀吉が朝鮮を経由して唐(中国)に攻め込こもうとして、10万の大軍で朝鮮に侵攻した

その時の水軍(海軍)の将軍が李舜臣であり、李紅将軍の祖先なのである、大軍といえど補給線を確保しなけ

れば、戦いを持続する事はできない


李舜臣は浸出機没に秀吉の水軍に挑みかかり、連戦、連勝で撃破し秀吉の水軍を壊滅に追い込み

制海権を確保した、秀吉の大軍は補給線を断たれ食料、弾薬も底をつき、唐軍と朝鮮軍の猛攻にて

なすすべもなく撤退を余儀なくされる、


秀吉の第二次侵攻も李舜臣の善戦により、秀吉の水軍は壊滅し、撤退を余儀なくされ、侵攻をあきらめる

しかなくなったのである、李舜臣は今でも朝鮮では英雄として尊敬されている


そんな祖先をもつお前は朝鮮人として誇りを持ちなさい、また日本人の血が混っているのだから、大きく

なったら日本と朝鮮の架け橋にならなければならないよ、お前のお父さんは侵略した日本の軍人であったけど、

全ての日本人が悪いわけではないよと諭したのです。


そして母は党の幹部として日本との関係改善をするように、努力したのだが、当時日本軍に肉親を殺された

人が大勢いた為、母の言葉に耳を傾ける人もなく、時間をかけるしかないと思ったそうである


そして朝鮮半島の北と南で戦争が始まり、北はロシア、南はアメリカの代理戦争になり、今の38度線で和平

が成立したが、アメリカの同盟国である日本を敵視する方向へ進むしかなくなり、拉致問題等いままで

日本との関係改善は進展しなかったのだが、今の北朝鮮の政府は、年代がかわり、昔のこだわりが薄くなって

来ているので、改善の兆しがでてきたのです。


それを聞いて安心しました、是非とも友好を促進して下さい、と高杉は話した、綾乃と華を紹介するのを

忘れていたのを思い出し、別室にいた綾乃と華を呼び、こちらが私の秘書をやっていてくれてる綾乃です

そしてこちらが、私のパートナーの華さんですと紹介した、


こんな美人を紹介してもらうとは光栄です、と李紅将軍は手を差し出し握手をしました、

お昼時になり、我が家自慢のトンカッがあるんですが、父も好きでよく食べていましたが、どうですか

と進めると、是非食べてみたいと言う事なので、綾乃にそれでは正吉さんにトンカツをあげて貰って

と頼んだ、綾乃は木戸を出てトンカツ屋の主人に人数分注文し、特別に美味しくあげてと頼むと


へいわかりました、おぼっちゃんの弟さんなら腕によりをかけてあげますよとネジリ鉢巻をした、

その間、李将軍が父はどんな人だったんですか、と尋ねたが、高杉は物心つくかつかない時で、あまりよく

覚えていないんです、肩車をしてもらった様な気はするんですが、と答えると


私と同じですね、母からは気持ちのやさしい、いいお父さんだったんだよ、と繰り返し聞いていたもんです

からどうしても周りの人間が言うアメリカに組している、日本人は東洋鬼(朝鮮、中国の日本人を侮蔑した言葉)

だとは思えなくて、小さいころよくいじめられたもんですよと話した。


やがてトンカツが運ばれてきたので、どうぞと進めると、李紅将軍が一口食べ、これは美味しいと目をまるく

しているので、高杉はみんなも食べてくださいと進めると、みんなが美味しい、美味しいと言うので綾乃が

正吉によかったねと話しかけると、トンカッ屋の主人の正吉はそんなに褒めてもらうと照れくさいですよ

と笑っていました。


食事が終わり、高杉は私たちの祖先が、眠っているところに案内しますと言って、高杉、李紅将軍と護衛の

2人を車に乗せ村富神社に向かったのです。




















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