白夜の薔薇15 それでは私からお話ししましょうと、大貫は李紅将軍の生い立ちから話し始めた、それによると


白夜の薔薇15


それでは私からお話ししましょうと、大貫は李紅将軍の生い立ちから話し始めた、それによると

実をゆうと、彼には日本人の血が流れているのです、彼のお母さんは亡くなりましたが、

北朝鮮の裕福な家庭で生まれ、今から60数年前、まだ朝鮮半島が日本に統治されていたころ日本に

留学していたのです、



そこで日本人の軍人と出会い恋に落ちてしまったのです、その軍人は高杉のお父さんなのです、

当時高杉は戦争拡大反対論者で軍からにらまれていました、朝鮮半島は朝鮮人が統治すべきで日本軍は

撤退すべきであると発言していました、そんな考えに李紅将軍の母は共感したのでしょう。


当時軍人は外国人との結婚は軍の許可が必要で、その許可がおりるはずがありません、やがて李紅将軍の

家庭は軍部により、反乱分子の濡れ衣をきせられ、財産を没収、祖父は刑務所に収監され、病気でなくなります、李紅将軍の母は高杉が祖父を死においやった

母は恋人が、自分の祖父を殺した日本軍の将校なので、恋との狭間で悩みましたが、朝鮮に帰り、

抵抗運動に参加します。



暫くして高杉は朝鮮第14師団に配属になり、李紅将軍の母と再会する事になります、

軍刑務所が朝鮮独立義勇軍に襲われた時の事です、当直の高杉が応援に駆けつけ、敵の攻撃を阻止しました

そのとき逃げ遅れた敵を物陰に見つけたのです、その敵は逃げ切れないと思ったのか拳銃を自分の頭に

突きつけました、すばやく、高杉は軍刀で拳銃を叩き落し、覆面を剥がし顔をみると、彼女だったのです。


彼は早く逃げるように促し、狙いをはずして拳銃の引き金をひきました、衛兵がかけつけてきましたが

残念だか逃げられたよと言うと引き上げていきました、

翌日彼女の家に行くと、彼女が出てきて奥の部屋へ案内しました、お茶を進めて私を捕まえにきたの

どこにも逃げないわよ、捕まえないと又、軍のどこかを襲撃すると言いました。


高杉は捕まえるつもりはないよ、自分の考えはいまでも変わっていない、朝鮮は独立すべきだよ

今回ここに赴任したのも、何んかの縁だね、しかし過激な行動は危険を伴うので君の身が心配だよ

と言ったのです、しかし今回の行動がわかれば貴方は大変に目にあうのではと彼女が聞くと

僕の事は心配しなくてもいいよと彼女の手を優しくにぎったのです。


彼女は断ち切ったはずの高杉の思いがこみ上げてきて、手を握り返し、再びかれに抱かれてしまった

のです、そして別れ際、君の方こそ私とこんな仲が知れれば大変な事になるので、日本軍のなかの

協力者だと先にリーダの金に言っておくように、と言うので何で知っているのか、聞くと

誰もしらないが、彼は私の古い友人なんだよと笑っていました。


李紅将軍の母は何回も高杉に命を救われたのだ、高杉が敵と内通しているのは軍の幹部は知っており

彼は敵情を探る指令をうけており、それを最大限に利用して彼らを守ったのである。


しばらくして彼は大本営に呼び戻され、日本に帰っていきました、そして彼女のお腹には新しい

命がめばえたのです、それっきり彼と会っておらず、高杉は終戦直前に亡くなり、終戦後彼女は

独立の闘志として北朝鮮の党の幹部になり李紅将軍を育てたのです。


彼に日本人の血が入っている事はほとんどの人が知っていますが、相手が独立義勇軍の協力者だった

ため彼の経歴は傷ついていないのです、

しかも李紅将軍が今の情報部長になったのは数年前であり、拉致にかかわったのは現在外国に亡命

している、北朝鮮の元幹部で、李紅将軍は常々経済大国である日本を敵にまわすのは北朝鮮として得策で

はないと発言していたのです。


拉致被害者の施設の図面、軍の施設の情報提供者は李紅将軍であり、今回のクーデターもほとんどの

幹部が日本との関係改善を願っているのですと話した。

それを聞いた笹岡は、そうですか、それで安心しました、現在の日本の世論では、直ぐには改善する

のは難しいが、序々に経済封鎖を解くように努力しましょう、そう李紅将軍にお伝えください。


また高杉君と血がつながっているとは、思いもしませんでした、なにか似ている人物だなと感じて

はいましたが、早速高杉君に話しておきますと言った。

クルーザは小笠原列島をすぎそろそろ日本海溝に到達するころである、部屋に森田が入ってきて

今日本海溝に着きました、これから調査にはいりますと言い部屋を出て船倉におりていった


このクルーザは海上自衛隊の偽装船で見た目はクルザーだが深海探査船を積み込んであり、

コントロールセンターが船倉に設けられており、自動で海底の探査をする事が出来るのである、

深海には深海流がながれており、その中にはけして海上にはでて来ない海流があり、


その海流に宇宙船をバラバラにして投機すれば回収不能である、その海流の位置を特定する

のも目的の一つである、森田は探査船をおろし、メインパネルから操縦し海底を探っていった

そして海流を見つけると緯度、経度を記録したのである。


アリカの潜水艦シカゴも探査船の位置を捉えており、その情報を本部に送ると、本部から

カチューシャを威嚇攻撃するように、と命令が来たので、何の為かを問い合わせると

戦闘がはじまれば間違ってクルーザに当たるかもしれないと意味深の回答が来たのである

艦長は了解しましたと返事をし、攻撃態勢に入った。


カチューシャのとクルーザの真ん中ににまわり込み、魚雷を装填、前方1マイルに発射しました

当然魚雷はハズレるが、ハズレた魚雷はユータンし追尾してきます、藤堂はソナー員から魚雷を

発射した事を聞くと、メインタンク、ブロー下げ角15度と命令すると、


スレスレにカチューシャをかすめ真っ直ぐ推進して、元に戻りシカゴに向かっていきました、

シカゴの艦長は面舵一杯と命令し魚雷はシカゴの横をかすめ直進しました、その先にはクルーザが

これを探知した吉岡はすばやく擬似魚雷を発射し、クルーザの横を通過させると、シカゴの魚雷は方向

を変え擬似魚雷ほ追尾し前方2マイル先で爆発し、クルーザは助かったのです。


やはり実践経験の持ち主の吉川である、彼でなければクルーザは海の藻屑と消えていた事だろう


藤堂は魚雷は発射できません、発射すればクルーザに当たることになり、笹岡を拉致する計画は台無し

になるのです、あくまでも脅かして、海上自衛隊のへりに乗せせる事が目的なのです、

へりのパイロットは秘密組織の人間であり、笹岡を秘密基地へつれて行くためクルーザを離脱させなければ

ならないのです。


しかたないので藤堂は全速前進と命令し、シカゴをクルーザから引き離すことにしました、シカゴが追尾して

来る事を確認し、急に反転、前面から魚雷を発射、さらに左にまわりこみ、次の魚雷を発射しました、

シカゴの艦長は左に舵を切りましたが、最初の魚雷をよけるのが、精一杯で次の魚雷が後部に接触し爆発

し後部を吹き飛ばされ、浮上するしかなくなったのです。


そして藤堂はへりの到着時刻になり、全速前進と命令し海域を離脱したのです、へりがクルーザに到着すると

上空でホーバリングをしています、上からロープがおりてくると、笹岡はお客さんを先に言つて

田代にロープを結びつけるように言い、まず田代、次に笹岡、がへりに吊り上げられ、次に大貫をと

思っていると、奈々がこの船はもう大丈夫ですというなり自分の体にロープを巻きつけ吊り上げられ

ました。


奈々はへりに乗り込むと、アメリカの潜水艦シカゴはクルーザを撃沈するつもりらしい、早く離脱

しましょうと、笹岡に言うと、わかった、早く行くように、パイロットに命令したのです、

パイロットは大貫も乗せるつもりだったのだが、促され、進路を北にとり一直線に離脱したのです。


暫らくすると、田代が立ちあがり、どこに持っていたのか拳銃を笹岡に突きつけ、このへりは私の

指揮下にある、動かないようにと言うと、手錠を笹岡と奈々の腕につけたのです、

ヤッパリ君は加来三佐だね、と笹岡が言うと気が付くのが少し遅かったようですねと薄笑いを浮かべ

た。


やがて下降するとそこには藤堂の乗った潜水艦カチューシャが、へりからロープをたらすと藤堂が

乗り込んできて、これから我々の秘密基地に案内しますよと言い、進路南南西とパイロットに命令した

へりが左に旋回し傾いた時、奈々が田代の拳銃をたたき落とし、胸元に一撃、田代はへりの左の壁に

したたか、頭をぶつけ昏倒した、さらに藤堂の顔面を脚でけると、ウッといって前にがくっと

ひざまづいて倒れた、ほんの一瞬の事である。


パイロットが振り向くと拳銃の柄で頭を一撃、パイロットは操縦桿をはなし、へりは左に大きく

傾いた、すかさず後ろから操縦桿を押さえ、パイロットを持ち上げると後ろの座席に引き倒し

笹岡が窓をあけると突き飛ばした、笹岡がへりから落ちると自分も手錠につながれているのだ、

一緒に空中へ、奈々は落ちながら笹岡をうしろから抱きかかえ、背中の紐を引くと、

バラシュートが開いた、


上空のへりはキリモミ状態で下降し海面へ激突し、大爆発を起こし炎に包まれたのだ、これでは誰も

たすからないだろうと笹岡は奈々へ話した、奈々と笹岡は最初からわざと拉致されたふりをして

機会を待つていたのである、着水し、しばらくすると、わかしお、が浮上し二人は、潜水艦の中に


吉川が出迎え笹岡に敬礼した、しかし総理も無茶をするもんですねと言うと、こうでもしなければ

あの二人は乗ってこないだろう、しかし私も奈々から突き飛ばされた時はもう死んだと思ったよ

と首をすくめた。


落下地点でへりが炎につつまれたのは二人は目撃したが、あの二人のことだ、そう簡単には

死なないかもしれないと奈々は笹岡に言った。

もし生きていてもしばらくはおとなしくなるだろう、艦長、真っ直ぐ横須賀基地に頼むと笹岡が吉川へ

言うと、吉川は進路235全速前進と命令し一直線に基地へ向かった。































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