白夜の薔薇10 綾乃は、華さんと奈々さんの協力があれば、藤堂を倒す事が出来るので、旦那様に力をかしてください

白夜の薔薇10


綾乃は、華さんと奈々さんの協力があれば、藤堂を倒す事が出来るので、旦那様に力をかしてください

と両手を畳につけ頭をさげた

華は綾乃にどうぞお手を上げください、たいした力はないけど精一杯協力するつもりです、と答え

綾乃さんは所長さんを愛していらっしゃるのですね、と言うとこころもち綾乃の顔が赤らんだ気がし


しばらくして高杉がそろそろ帰ろうかと言い、連れ立って新横浜駅から東京へ、新幹線のなかで高杉は

綾乃から色々聞いたと思うけど、お互い宿命を背負って生まれたんだよ、心配しなくても悪が栄えたた

めしはないんだから、藤堂は手ごわい相手だけど一緒に戦おうと華の手を握った

高杉の手を握っていると、なんだかパワーを貰っている気がして、全身に力が沸いてくる感じがした


そのころ藤堂は影の政府の本部で幹部を集め、あらためて光る石を奪う相談をしていた

影の政府の本部は丸の内のお堀に面したビルにある、このビルの横には平将門の首塚があり、今でも

供養されている、丸の内の一等地なので供養塔を移転する話は何回もあつたが、これを動かそうとする

と次々と事故が起こるので今でもそのままになっている


平将門は関東の武士で、平安時代に関東で飢饉があった時、朝廷の食料倉庫を開き民衆を助けるよう、

朝廷に懇願したが、聞き入れられず、民衆を助ける為立ち上がった

向かうところ敵なしで、関東を制覇し、京都の朝廷に対抗して関東に新しい朝廷を作ろうとした、

関東の豪族、藤原秀郷も朝廷のやり方に不満をもつていたので将門に味方しょうとし、将門に会った

ところ、あまりにも心ねの優しい人物である為、祭り事(政治)を司どるのは難しく、うまくいかない

だろうと判断し、京都の朝廷方についた


まともに戦っては将門にかなわないので農繁期、当時はこの時期には戦いは一時休戦の習いであった

のだが、秀郷はこれを無視し兵が集まらない時期に攻撃した、将門は少人数で立ち向かい善戦したが、

ついには眉間に矢を受け討ち死にしてしまう、


これにより将門軍は敗走、将門の首は京都に送られ、三条河原にさらし首となった、首は京都から

今の首塚のある所に一瞬にして飛んできたと言われ、将門の怨念が関東に災いをもたらさないよう、

首塚をつくり供養したのだ、今は御茶ノ水に移転している神田明神は、もともとここにあり、

将門の霊を、慰める為建立したと伝えられる

 

藤堂は華と高杉を監視しているので、村富神社に光る石を隠した事は知っている、しかしここは今

まで何回も侵入を試みたが、いずれも失敗しており、うかつに手を出せないのである

華を拉致し高杉に、光る石をもって来るように言えば、華を傷つけたくない、高杉は必ず持ってくる

はずである、だが華は高杉の配下と奈々が影で守っているのでこれもなかなか拉致の機会が無い


そこでタクシーの中から拉致する計画を立てた、タクシーの後部座席の床が開くようにし、トランク

から後部座席に出入り出来るように改造して、華の乗ったタクシーをマンホールの真上で止め、

トランクに隠れていた男が、後部座席に侵入し華に、睡眠薬を嗅がせ、後部座席の床を開け

マンホールより連れ出せば外からはわからない、もちろん運転手も藤堂の配下である。


華はそうとは知らず自宅近くの交差点で手を上げタクシーに乗った、暫らくして車が赤信号で停車

した時、人の気配を感じ右を向くと男に、いきなり白い布で口をふさがれた、一生懸命もがこうと

したが目の前がぼんやりして気を失った、信号が変わるとタクシーは何事もなかったように走り

去り、配下から華がタクシーから消えたと連絡があったので、高杉は救出の対策をたてる為、新横浜

の別邸へ、綾乃に急ぎ配下を集めるように言った



そのころ奈々は車の中でカーナビの地図上に点滅する信号を追跡していた、奈々はひそかに華の

バックに発信機を取り付けていたのである、藤堂が動き始めた為、華を密かに監視していたところ、

突然タクシーから華が消えたので、追跡装置を作動したところ信号はお台場方面へ移動しており、密

かに後をつけている


しばらくして高杉の携帯電話が鳴った、藤堂からである、光る石と華を交換したい、平将門の首塚の

横にカエルの置物があるのでその口の中に明日の正午まで入れるように、確認取れ次第、華は返すと

言うと電話は切れた、もちろん華を開放するつもりは無い、藤堂は華と高杉をどうしても引き離なさ

なければならない理由があり、それは華の背中にある柄杓の形をしたあざに秘密があるのである


華が気がつくとベッドの上に寝かされており、すぐそばに丸い窓ある、起き上がって丸い窓から外を

見ると見慣れたテレビ局の建物がみえ、周りはどうやら海で、ここは船の中らしい

向かいにドアがあるので、ノブを回したが鍵がかかっており、開かない


ドアの向こうから危害を加える、つもりはないので、おとなしくしているようにと声が聞こえた

机の上には華のバックが置いてあり、中を見たが携帯電話は取り上げられたらしく、入っていない

ここは東京湾に浮かぶ藤堂の、クルーザーのなかであり、周りが海の為侵入し、助けるのは難しい


奈々は信号がお台場から2キロ沖に停泊しているクルーザである事を確認すると内閣情報室の本部へ

連絡しスキュバーの道具と水中バイクを手配した、しばらくしてヘリコプターがテレビ局の

ヘリポートへ着陸し奈々はへりに乗り込み、ウエットスーッに着替え、クルーザから死角になる

海へ降下し、水中バイクで藤堂のクルーザに向かった


クルーザにつくと武装した見張りが2人いる、船に上がり後ろから近づき一瞬のうちに2人を気絶

させた、中に2人の見張りが、異常に気づき階段を駆け上がってきたが、だれもいない、周りを

見渡しているとマストの上から奈々がとびかかり、簡単に2人を気絶させた、4人を縛り上げ別室に

監禁し、閉じ込められてる部屋へ、ドアを開けると華がびっくりした顔をしている、もう大丈夫と

声をかけ、高杉に連絡するようにと携帯電話を渡した


高杉に電話をかけ事情をはなすと、それは良かった、これで藤堂を倒せると喜び、奈々に電話を

変わるようにと、奈々に電話を渡すと、なにやら話していたが、奈々が了解しましたと返事をし、

この船を暫らく占拠するので、藤堂は高杉に任そうと言った

しかしこの船には爆薬がしかけられており、一定時間に操縦席のボタンを押さないと30分後には船

もろとも爆発する仕掛けがしてあつた、そんな事は二人は知るよしもない





















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