白夜の薔薇5 防衛省の設備調達の影にはいつもきな臭い匂いがするのは、日本のGNP(国民総生産)400兆円の1% 約4兆円もの莫大な金が毎年予算に計上され、今回のスキンダルで有名になつた会社


白夜の薔薇5


防衛省の設備調達の影にはいつもきな臭い匂いがするのは、日本のGNP(国民総生産)400兆円の1%

約4兆円もの莫大な金が毎年予算に計上され、今回のスキンダルで有名になつた会社は年間約350億円

の資材を防衛省に納入している、これだけの金が動けば利権がらみで魑魅魍魎となるのである。


しかしながら日本の防衛能力はきわめて低くもし北朝鮮がテポドンを日本に向け発射しても防ぐ能力は

ないのが現状である、発射から着弾までの時間が短く、肝心の打ち落とす為のミサイルはまだ少ししか

配備されていない。


過去にも航空自衛隊の戦闘機選定の時にも、政治がらみで政治家、防衛庁高官を巻き込んだ事件が発生

している、それは当時最新鋭戦闘機と言われていたF104戦闘機とそれより数段おちる戦闘機の納入に関

するスキャンダルである。


自衛隊の高官は日本防衛の為にはF104を採用すべきだと主張し、防衛族と言われる政治家は別の戦闘機

を推奨し真っ向から対立、これを売り込む商社を巻き込み一大スキャンダルに発展した。


結果は防衛族の推奨した戦闘機の売り込み価格が自衛隊内部より流失F104側が価格をそれより低くした

為F104の納入が決定したが、流失した機密文書に高官のメモ書きがあった事から疑われ、職を追われ

自殺をした、しかしこれは彼が流出したのではなく彼の部下が流したのである

この事件は制服組と防衛族との痛みわけに終わり、話は沈静化したんだよと詳しく話した。


華は、なんだかこの話を聞いて背筋が寒くなる思いをして、もつと楽しいお話を聞かせてとせがむと

そうかーこんな話は女には楽しくないかと言って、それではためになる話でもするかと語りはじめた


随分昔の事になるがアメリカのケネディ大統領が日本に来たことがあり、日本に行くに当たって記者

会見を開いた、その時一人の記者からもし尊敬する日本人がいるなら教えてほしいと質問があり、

ケネディはそれは上杉鷹山(うえすぎようざん)であると答えた、当時上杉謙信は知っていても鷹山知る

人はあまりいない、どうゆう人かとたずねるとケネディはなぜ知らないのかと不思議な顔をし、それは

こういう人なんだと得意げに話し始めた。


華は経済評論家が時代劇の話ですかと、笑っていると、高すぎはニコッと笑い時代劇の話ではなく

これでも経済の話だよといい話を続けた、


それによると鷹山は江戸時代にある小藩の大名の次男として生まれた、当時大名の長男以外は何か

あった時の予備であり、一生部屋住みの運命のであるので養子に行くのが通例であり、たまたま

米沢上杉30万石に跡継ぎがなかった為養子の口があり、自分の生まれたところより大きな大名の養子と

なり喜んで藩主についた


早速、上杉家江戸屋敷に入り、貧乏な藩に生まれたので思い切り遊びしたいと家老に10両(今の貨幣価値

で約20万)出すように言ったところそんな金はないと言う、びっくりして訳を尋ねると藩は借金だらけで

今日の味噌、醤油代に事欠く状態だと申し訳なさそうにちじこまっている、折角大きなところへ養子に

きたのにガックリして、しかたなく藩の経済建て直しをする事になったのである


藩を持続させる為には跡継ぎが必要であり、その為に正室の他に側室を儲ける事が通例となつており、

早速、側室選びの為、腰元を推薦するよう家老に命じ、家老は奥女中の責任者に美形の腰元を集める

よう指示し、ほどなく50人ほどの腰元が鷹山のまえに集まった、


その席上で鷹山は今推薦されたものはすぐに暇をとらせる、即刻親元に帰るよう命じた

奥女中の責任者が折角粒ぞろいの美形を集めたのになぜか、とわけを聞くと、

鷹山は推薦された者はなるほどみんな美形である、これなら親元に帰ってもすぐに嫁の貰い手がある

であろう、しかし推薦されなかった者はかわいそうだから残るよう申し渡した。


これによって合法的にリストラを敢行したのである、50人の人権費は莫大なもので、食費、着物等

が毎年節約出来、これを始めとして次々とアイデアをだし藩政改革(経済改革)を行い、数年後には

見事に藩を黒字に導いた人であると、ケネディはこれは現代に通用する手法あると力をこめて話な

した


これ以降鷹山の改革手法は日本人の間に深く根ずくことになるが、いつしか忘れ去られ、ケネディに

よつて再び日本人に知られる事となっんだよと高杉が締めくくった。


華を始めまわりの女の子が感心していると、そんなに感心しなくてもいいんだよ、僕はこうゆう事を

喋るのが仕事なんだからと笑っている、高杉は明日講演会があるのでと、早々に帰って行った。


入れ違いに健治がしばらくぶりと店に入ってきた、連れをみて華は、驚いた、なんとそれは奈々

でないか、奈々は華に目くばせをしすれ違いざまに小声で知らない事にしてと言った。


健治は席に座ると会社の早川君だよと華に紹介した、早速お気に入りのエミをよぶと健治は楽し

そうに歓談している、しばらくして健治はつい昨日までインドネシアへ仕事で行っていたのだが

早川君のおかげで商売もうまくいき、彼女は優秀な東南アジア担当のスタッフなんだよと自慢した。


店も終わる時間になり健治はそろそろ帰るよ、早川君を宜しくと、エミを連れて出て行った、華は

奈々に一緒に帰ろうと言って連れ立って店を出、近くの鳥料理専門店に連れていった。


ここは茶屋風の個室があり、話し易いんだよと言って部屋に入ると、奈々が今入り口の両脇にマスに

塩とニンジンがあったけどあれは、なあにと、華にたずねた。


それはね、平安時代の貴族は女性の家に通う習慣があったが、ある女性の家になかなか来てくれない

そこで、その女性は門の両脇に塩をおいたところ、毎晩来てくれるようになった、それは貴族の乗り物

が牛車であり、牛は塩が大好きの為いつもその女性の家の止まった事から、商売の家の両脇に塩を置く

ことなったそうなのと、それを聞いた奈々はそれではニンジンはと尋ねると、ニンジンは漢字で書くと

人参(人が参る)と書くのでさらに人が来て欲しいと言う意味だと、自慢げに話した。


奈々が成る程と感心していると、こんどは、華が高杉経済研究所の所長を知っているか尋ねると

知っているとの事である、いままでの事をかいつまんではなし、秘密組織のボスに違いないと言うと

奈々はそれは違うと、なぜなら重要人物なので内閣情報室にても徹底的に調査したと言い


奈々はカバンからモバイルを取り出し内閣情報室のデータベースへアクセスし高杉のデータを

ダウンロードした、それによると彼は数々のエピソードを持った人物であるとの事である


まず、会社の就職試験の席上で試験官が何か質問ないかと尋ねると、手を上げて何分で退席して

もいいのかと、質問した、ムッときて試験官が最低30分はいるように言うと、キッカリ30分で退席し

次に面接で希望する職種につけなければ入社しないと断言、試験官の印象を悪くし、通常では絶対

落ちるのだが見事に合格してしまう


それは彼がこの会社の入社試験3科目が満点だった為、人事部で扱いに困っている事が、社長の耳に

入り、社長のおもしろそうな人物だから合格させろとの鶴の一声で、合格してしまつたのだ、しかし

組織はこんな性格の人間はろくな扱いはされない、彼の希望職種は営業だったのだが技術部の設計

部隊に配属される


文系の卒業なので人事部に意地悪るされたのだ、希望職種ではないと文句言うのかと思ったが素直に

従った、文系だから技術系の仕事は根をあげるだろうともっぱらの噂だったのだが、意外と技術を知

っており、素晴らしい設計をして回りをビックリさせる、あっというまに設計のエースになった。


そんなこんなで、とんとん拍子に階段を上がり29才で課長の口がかかったが、この会社では前代未聞

の事である、しかし又もや人事部に意地悪るされ、こんどは営業課長として営業部に転出となる


大体、技術一筋に何年もやってきた人間がいきなり営業課長をできるはずがないのだ、しかし彼は

いとも簡単に承知する、まったく何を考えているのかサッパリ解らない奴だと回りは首をかしげる


赴任すると部下の半分は自分より年上ときており、技術からいきなり営業なんか出来るはずないと

冷たい雰囲気なのだ、さっそく古参の年上の部下が大口の取引先から新製品の見積依頼が来て

いるので初仕事として課長みずからやったらどうかと言うと、なんと定価の見積もりを持って行った

のだ


部下が心配になって結果を聞くと定価で出したら追い返えされたよと笑っている、早く謝らないと

えらい事になりますよと言うと、失敗すれば技術に戻れるからいいんだよと、しかし降格かへたした

ら首ですよと言うと、それもいいかあと取り合わない。


しかし普通はお客はカンカンになってクレームがくるものだけど何にも言ってこない、不思議に思

っていると一週間後に電話がかかってきて又高杉は出かけていった、帰ってきたのでえらい値引き

を強要されたでしようと言うと、いや定価で受けてくれたよと、但し納期は守るようにと念をおさ

れたとの事、それはまずい、なんといっても新製品のデリバリィが間に合った試がない、大体一週間

は遅れるのだ。


しかし高杉はまだ2カ月先だからいいじゃないかと涼しい顔をしている、そして納期の一週間まえに

なり、高杉も心配になったらしくかっての技術の部下になんとか一台でもいいのでならないかと頼ん

だが、こればっかりはどうにもならない、ついに一日前になり諦めてお客に納期の延長を申し入れに

行ったが、先方の担当課長に挨拶もそこそこに明日は大丈夫ですねと言われ、うっかり大丈夫ですと

答えてしまつた。(大変だ~)


客は高杉の高飛車な営業にお灸をすえてやろう、どうせ納期には間に合わない事を知っているので

意地を張るなら、すごい値引きをしてやろうと手ぐすねをひいて待ち構えていたのである、高杉は

技術出身なので一台くらい、なんとかなると、高かをくり、あてがはずれ参ってしまった。


しかしこれから高杉の信じられない行動と神業が始まるのだ。


言ってしまった事はいまさら口にもどせない、会社に帰ると部下に明日からしばらく休むからお客に

は事故で入院したと、この件は課長が一人でやっていたので事情がわからないので暫らくまって欲しい

と言ってくれと頼むとさっさと帰ってしまった、部下はそばやの出前(注文してもなかなか来ないので

催促すると今出ましたとうそを言う事)ではあるまいし、こんどこそ本当に大問題になり、課長は

えらい目にあうと寒気がしたと言う。


夏の台風は太平洋の高気圧が張り出している為通常九州地方に被害をもたらし、関東地方は被害は

ほとんどないが、めずらしくこの日に台風が四国に上陸し、日本列島を横切り日本海へ抜けた

関東にくれば交通網が遮断され納期に間に合わない理由にできるのだがそうはうまくいかないと思

っていると


こともあろうに日本海に抜けた台風がその日の深夜に勢力を増し長野県に再上陸し上越地方に災害

救助法が適用され、交通網が遮断されたのだ、工場は長野県にあるので当然りっぱな納期遅れの

理由になる、高杉は事前に予知してたのだろうか、なにはともあれ一週間後に納入し事なきをえた


しかしこれが高杉の課に莫大な利益をもたらす、それはこの客は同じ商品の価格は一年間そのまま

でいいのだ、定価なのだからすごい利益がでる事になり、しかも一年間で大量の注文があったので

ある、これは会社では伝説になり、この記録はいまだに破られてないと言う。


奈々によるとこれは氷山の一角で彼のエピソードはこんなもんでは無いと言い、話を続けた。





























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る