シャケの皮 vs カボチャの皮
めぞうなぎ
シャケの皮 vs カボチャの皮
赤コーナー、シャケの皮。
青コーナー、カボチャの皮。
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「お前青か? 緑じゃなくて?」
「信号機の通念に照らして考えれば青だろ。なんだ、黄コーナーの方がお好みか?」
「運動会でも黄色組なんぞほとんどありえんのだからやめろ」
「まあ、まずは自己紹介といこう。俺は緑黄色野菜だ」
「俺は赤身だ」
「こそげ取られてほとんど残っていないくせに、臆面もなくよくいけしゃあしゃあとほざくものだな」
「お前もかなり倹約家の家庭から出たゴミだから、相当皮寄りで切られてほとんど黄色い部分ついてないぞ?」
「まあそう赤くなるな。カリカリするな。カロチンするな。ところで、ニンジンは緑黄色野菜だが? お前が赤いのは譲歩か? 魚類から野菜への歩み寄りか? 一蓮托生油の中へ、フィッシュ・アンド・チップスか?」
「……いや、俺は赤の群なだけだけど」
「緑と黄両方満たした俺の方が偉い!」
「そもそも緑黄色野菜の括りが緩すぎなんだよ! 大根の白い部分とか不法入国だろ! レギュレーションちゃんとしろよ運営! 追放しろ!」
(いやでも、一応葉っぱの部分の配偶者という扱いなので……。うち、現在宥和方針採ってるんで、そういうのはちょっと厳しいかと……)
「俺の判定勝ちだな、赤というよりピンクのお前では決定打に欠ける」
「くっ……俺はこのままカボチャ頭野郎に負けるのか……」
「お前なんかハロウィーンの主役張れないだろ! せいぜい七夕の短冊の代わりが関の山さね! おお笹が魚臭いこと! 天の川遡って産卵ですか? 織姫と彦星気取りですかぁ!? うりうり」
「なにコイツ超ウザい。それを言えばカボチャだってアルファベットで書けばKBTじゃねぇか、クボタじゃねえか。うわ、カボチャのクボタ感すごい!」
「サーモンさぁ悶レッツアス悶!! ああいやらしい! 劣情を掻き立てる海産物の生臭坊主め! 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、袈裟のお前も嫌われろ!」
「ぐぬぬ……」
「ぐぬぬ……」
「皮!」
「皮!」
「分厚い面の皮しやがって!」
「――目から鱗だ」
「どっちかと言えばそれは俺のセリフだろ!?」
「うるせえ、きたねぇアルミホイルの切れ端みたいな見た目しやがって」
「やめろ、結構気にしてんだぞ。お前こそビリジアン塗りたくって経年劣化で罅割れたキャンバスみたいな外見だろうが」
「いいか、カボチャの俺はアート、一方お前は所詮ゴミだ。草間彌生はシャケの皮のオブジェを作ったか?」
「人類史を通して作られる気がしない……」
「ふん、その傷に塩でも揉みこんでな。こんなん朝飯前よ。北海道のクマにでもしばかれてろ」
勝者、カボチャの皮。KO(こきおろし)勝ち。
************
皮相な戦いでしたね。似た者同士、化けの皮を脱いで仲睦まじくすればよいものを。
可愛さ余って憎さ百倍とは申しますが、皮さ余って憎さ百倍、ということでここはひとつ。
座布団一枚。
シャケの皮 vs カボチャの皮 めぞうなぎ @mezounagi
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