第5話 家の下に眠るもの
「家の下を掘ってはいけない」
それが死ぬ前に父が遺した言葉だった。
その言葉が心に引っかかったまま時は過ぎ、家は老朽化し、立て直すしかない状況になった。
住み慣れた我が家を取り壊し、更地になった土地を見ていると、好奇心が抑え切れなくなってきた。
「家の下を掘ってはいけない」
父の言葉を振り切って、土木作業員に、土地を更に掘り下げるように依頼した。
重機を使って土を掘り進めていく、しばらくすると、何かに突き当たった。
今度は手作業で慎重に掘っていく。形がわかってきた。これは何かの遺跡だ。これが、父が掘るなと言い残したものなのか。
それを見た土木作業員がさめた顔で言った。
「遺跡出ちゃいましたね。結構ここら辺では良く出るのですよね。これが出ると、埋蔵物発掘許可申請して調べないといけないのですよ。工期が遅れるから、仮の住まいの家賃とかも大変ですし、調査費用は補助金が出る場合もあるけど基本自腹。勝手に破壊したら、文化財保護法で罰せられます。やっかいなのですよね。どうされます?」
「見なかったことにして、埋め戻して下さい」
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