「うえのどうぶつえんにはゾウさんがいて、したのどうぶつえんにはキリンさんがいたね」

　上野動物園の帰り道、そう言って子供がはしゃいでいた。

　上野動物園は山の上の方にある東園と、下の方にある西園がある。子供は、「上の動物園」と「下の動物園」だと勘違いしているようだ。可愛らしい間違いに、僕と妻は顔を見合わせて笑った。

「うえのびじつかんでチョーコクみたね。ひといっぱいだったね」

　動物園の帰りに上野美術館にも寄ったのだ。自分の趣味に付き合わせてしまった。人もたくさんいたし、彫刻など子供にはわからないと思ったが、喜んでくれて良かった。

「したのびじつかんでもチョーコクみたね。ひといっぱいだったね」

　したのびじつかん？　「下の美術館」か？

　他に見たのは、彰義隊の慰霊碑だけだ。人など誰もいなかったが…。

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