第18話


 波乱万丈の調理実習は、無事に終わった。

 時を同じくして天候が急変して、東京の景色は雪模様が濃厚に。


 突然の大雪警報に、学校は午後の授業を残して臨時で休校になった。


 電車が停まる前に、お前らとっとと帰れ。

 なにか事故が起きたら、俺たちの責任にされちまうんだぞ!

 責任回避に敏感な大人の汚さはともかく、学生にはありがたい判断である。


 ニュースを見てみれば、お天気お姉さんが雪だるまをダブルクリック。

 シベリア寒気団の影響でうんたらかんたら、関東地方には積雪が見られるでしょう。


 たしかに雲行きは怪しく、不穏な空模様である。

 どんよりと曇った空、冷たく刺すような空気、幸い風はほとんど吹いていない。

 空を見上げると、パラパラと粉雪が降り始めた。


 天候不順だし、今日はもういいのではないかと思わなくもない。

 だが、みぅの決意は揺るがない。


 愛用のスマートフォンを手にする。

 少ない電話帳の登録番号から「中村咲」をフリック入力。


『PLLLLL....なに、美海ちゃん?』


 レシーバーから聞こえてくる、若干の不快感を混じらせた声に。

 みぅは、静かに言うのだ。


「ムラサキ。今すぐ校庭に来なさい」

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