第133話 祭典(10)

 だから先程のように、健太に対して、女王アイカが未だ気がついていない健太への執着心と嫉妬心が他人……。ウォンがわかるぐらいあるならば。今直ぐに彼女の妹君二人……。プラウムとサラから建太を強引に奪い。自身の後ろに、小間使いの如く従えて歩けばいいのに。健太をまた放置をするから混乱……。彼女自身の隙を邪な想いと陰謀を巡らす二人に隙を突かれる失態を披露することになるのだよ。


 特にこの度の祭典のアイドルは、以前のような、荒々しく勇んだ戦士ウォンから。軟弱、ひ弱。少女のような華奢な肢体を持つのに。この世の宝だと祭典参加の女性達から謳われ、脚光を浴びている。象牙色の肌色を持つ、美少年健太へとアイドルが移り変わっていることに、女王アイカは気がつかずにウォンを従えて仲良く、この場を早々に去ったのだ。


 でッ、去り終えれば、『何処かの誰かさん~?』から。こんな台詞が漏れてくる。


「あの少年(こ)は誰だい~?」とね。


 すると~? 彼女の取り巻き~? 護衛をしている男女戦士なのかな~? 口を揃えたように。


「女王~。『あの子』とは、誰の事ですか~?」


 と、困惑した表情で訊ねる。



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