第124話 祭典(1)
「うぉおおお~!」
「わぁあああ~!」
「きゃ、ああああ~!」
「素敵~!」と。
沢山の人達の騒めき……。
と、いうか?
歓喜が多々、我等の耳に聞こえてくる。
この広場……。
と、いうか?
簡易式ではあるのだが、リング……。
と、いうよりも?
観客席の数が少ないので、立ち見での観客ばかりが、我等の目に映る状態……。
でも、この広場は? ちゃんとした円形闘技場として機能をしている。
だから我等の耳に、先程から観客達の歓喜の声──!
若しくは?
自分達の国の戦士が、相手国の戦士に殴り蹴られて──。
劣勢……。
若しくは?
負けるようなことがあれば、観客達は絶叫を漏らす。
そんな様子と声が、我等の耳に、朝早くから多々聞こえてくるのだよ。
そう~? 今日は、此の国を中心とした隣国……。
硬く同盟を結んだ仲の良いオークの民の国……。
そこに住む国民達が、一年に一度楽しみにしている祭典──。
その中でも特に人気のある、裸の男同士が力と力をぶつけあう戦いである相撲の最中なのだ。
まあ、この物語読んでいる者達も知っての通りで。オーク種族は男女問わず、大変に気性が荒く戦士なのだよ。
だから? 日本で言う、相撲やレスリング……。ボクシングに空手、柔道……。
その他多々ある総合格闘等の、拳と拳……。力と力……。
二人の漢達が血と汗を掻き垂らしながら試合をするのを観戦することが、男女問わず大好きなのだよ。
まあ、その辺りは、健太が此の国の王に直ぐになることができなかった原因の一つであるエリエ集落の惨事を思い出していただければわかると思う?
まあ、それぐらいオーク種族の男女は、一対一の争いを自らも好む傾向があるし。観戦するのも大好きなのだ。
だから女王アイカは、エリエ集落の惨事の時に、健太が戦士シンに対して一方的に敗北したことに落胆……。
それから健太のことを軽視するようになったという訳なのだよ。
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