第115話 他国からの訪問者(12)
彼女達はもう『メロメロ~』他国の女王を荒々しく取り囲むどころではない~。
今の今迄、アマゾネスと化していた彼女達がまた女性(おんな)に戻り始めて──。次から次へと、自身の頬を桜色に染めながら、愛する健太へと絶賛の言葉を送るのだよ。
こんな感じでね~。
「あぁ~ん。健ちゃん素敵~」
「あぁ~ん、愛しているよ~。あなた~」
「あぁ~ん、私の王子さま~」
「もう~。うちは~。殿から~。絶対に離れないから~」
「うぅ~ん、御方の為なら~。うちは死んでもいい~」
と、最後は、只今健太の背に抱きつき──。しな垂れかかり甘えている女性が、健太の為なら死んでもいいとまで漏らす程……。
この場にいる女性達の脳内は、完全にお花畑だから。
自分達の目線の先で、健太が他の国の女王から、荒々しい所業をおこなわれていようが。
愛する彼が、『もうこれ以上、争いをすることは許さない~!』と諫め──。下知をくだしたのだから。
彼女達は戦意損失……。もう他の国の女王と、健太を賭けて争うことはしない。
だって~?
彼女達は、先程健太に自分の物だと告げられたからそれで満足……。
もうこの先は? 彼女達の主さまの機嫌をとって、寝所に遊びにきてもらわないといけないから健太には逆らわないのだよ。
ごく一名を除いてね~。
と、いっても?
このごく一名と言うのが一番の厄介者なのだよ。
だって~?
他の国の女王である彼女は……。
世間では? 雷神の異名を持つ、『ライ』と言う名の、有名な他の国女王さまなのだよ。
ましてや、彼女の場合は? いつもと様子が違う勇んだ健太だとはわからない。
だから彼女の場合は、只自分自身に楯突く、幼い少年のことが生意気で気に入らないぐらいしか思わないので。
先程のような怒号を、怒りをあらわにしながら『ライ』の主さまになった筈の? 健太へと、平気で怒号を放つのだよ。
いけないことなのに~?
だって~、これだと~?
健太の日常の出来事~。
雷神ライも、紅の戦姫アイカと、何も変わらないではないか~?
それだと~? ひ弱で大人しい健太に嫌われてしまうぞ~?
まあ、我等は~。他の国女王ライの様子を遠目から凝視して高笑いをしたのだよ。
だって~。彼女が先程言葉に漏らしたり。自身の脳裏で思った淡い恋心……。健太への想い……。
(可愛いこの子を一目見て気に入った~。だから好き~)と、思ったこと自体が嘘偽りになる。
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